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Gold Plum ー 西多摩地区鎖国国家地帯 ー  作者: 宿り木
第二章 交錯 ~みのり&善郎の場合~
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頑固おやじ、考える(朝川)

≪ 山波善郎視点 ≫



「そ、それより、場所の特定をしませんとな」


 善郎は白眼視してくる碧の視線から逃れ話題を変えた。だが、みのりのほうはそうもいかなかったらしい。居住まいを正し、頭を下げてくる。


「うちの側近が失礼なことを言って、すみませんでした」


 やはり若いながらもきちんとした方だ。必要な時に間違いを認めることができる人間はそうはいまい。善郎は深い敬意を込めてみのりを見やる。なんと大人げないことをしてしまったのだろう。己の短慮を恥ずかしく思い頭をかいた。


「いやいや、こちらこそ。つい私情を挟んでしまいました。面目もございません」


 深々と首を垂れると、みのりがはっきりとした口調で宣言してくる。


「いえ、いいんです」


 凛とした声に身の引き締まる思いで顔を上げると、みのりの後ろに控えていた碧が不服そうな声を上げた。


「僕はよくありませんけど」

「黙りなさい、碧」


 明後日の方角を見て告げてくる碧をみのりが叱責する。 仲のよい兄妹の喧嘩にしか見えないその光景が、なんとも微笑ましい。善郎は目を細め、一人っ子で育った娘のことを思った。


「それで、えっと場所ですよね」


 話を元に戻してきたみのりに対し、善郎は慌てて頷いた。


「あ、はい。そうですそうです」


 思い出に浸りすぎて現実を見失っていたらしい。善郎は決まりの悪い気分で頬をかく。それをよそにみのりが顎に人差し指をあてた。


「そういえば、昔何かの本でずっと梅の実が青いままの木があったような?」


 よく思い出せないのか、自信なさげに目を上向けるみのりに善郎は尋ねる。


「本、ですか?」

「そうなんです。あれは確か文兎(ふみと)先生の授業の……」


 自分も本を扱う稼業ではあるが、そんなことを書いた本にはあまりお目にかかったことはない。


(子供用の絵本か何かかねえ……)


 だとすると、まずは図書館に行き調べてみるのが得策だ。結論づけて声をかけようとすると、碧がおもむろに口を開いてきた。


「お嬢様、それは黄梅に存在する神社や寺院の授業の宿題ではないですか?」


 なるほど、と善郎は内心で唸る。さすがは梅宮家の次期当主。黄梅に伝わる伝承についての勉学にも力を入れているのだろう。


「神社や寺院、ですか……」


 黄梅にはそれこそ無数の社寺仏閣がある。だが、いつまでも青いままな梅の実が成る木のある神社や寺院には、聞き覚えがない。腕を組み考え込んでいると、みのりが唐突に手を叩いた。

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