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Gold Plum ー 西多摩地区鎖国国家地帯 ー  作者: 宿り木
第二章 交錯 ~みのり&善郎の場合~
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頑固おやじ、更なる逃亡に巻き込まれる(朝川)

≪ 山波善郎視点 ≫



「あと、5分ほどしたらここへ到着するそうです」


 携帯を切ったみのりが視線を向けてきた。


「え? もうですか? それはそれは……」


 そんなことで大丈夫なのか、と内心で思うが口には出さない。みのりはそれをよそに無駄のない所作で腰を上げた。


「車で来るそうなので、玄関で待っていましょう」

「それはいささか目立つのでは……?」


 善郎は居間を出ようとするみのりに懸念を示す。一抹の不安を胸に立ち上がると、みのりが自信たっぷりに断言してきた。


「大丈夫です。側近以外の囮を出したようなので、今はそちらを追っています」


 そうか、それなら問題もなさそうだ。密かに胸を撫で下ろしていると、みのりが、それに、と微笑んでくる。


「黒い車だから目立ちませんよ」

「は、はあ……」


 それではかえって目立つのではないだろうか。油汗をかきながらも直接異議を唱えることもできないまま、みのりの後についていく。玄関先へ行き、しばし無言のままみのりの側近たちが来るのを待った。


(く、空気が重い……)


 話すこともなく沈黙を持て余す。と、ほどなくしてみのりの携帯が鳴った。


「もしもし、紅? ええ、わかったわ」


 みのりが要件のみの短い会話を終え向き直る。


「山波さん、到着したようです。行きましょう」

「え? 俺もですかい?」


 驚いているところへ、和子が台所から顔を出した。


「あら、もうお帰りですか? なんのお構いもしませんで」

「お邪魔しました」


 みのりが丁寧にお辞儀をしたアド、薔薇のように華やかな笑みを見せてくる。


「もちろんです。このネバネバを成らせたのは山波さんなんですから」

「いやあ、こりゃまた……」


 有無を言わせない微笑みに絡めとられ、善郎は語尾を濁した。まったく、厄介なことに巻き込まれてしまったものである。まいったなあ、と呟いていると、ふいにチャイムが鳴った。


「ちょっとご主人をお借りします」

「え? ええ、どうぞ」


 みのりの言葉に、和子が首をかしげながらも承知する。そんな和子を尻目に善郎はゴム草履を履いて軽く声をかけた。


「じゃあ、行ってくる」

「はいはい」


 返事をしてくる和子に頷いていると、みのりの携帯が再び鳴った。

『お嬢さま? 早く』


 ドアの向こうと携帯から緊張を孕んだ声が聞こえ、ハウリングを起こす。みのりが「ええ、わかったわ、紅」と返答して、通話ボタンを切った。


「それでは失礼します。山波さん、急いでください」


 みのりが勝手に引き戸を開け、腕を掴んでくる。


「は、はいぃ!」


 善郎はそのまま引きずられるようにして外へ出ながら、玄関口で唖然としている和子へ向かい弱々しく手を振った。

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