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 家の外で、ヒーラギはブランの手を取り喜んだ。


「よかった、ブラン。リコさんの瞳が治って……」

「ああ、よかった。ありがとう、ヒーラギ」


「でね……いまの私なら、できると思うの」

「できる? なにをだ?」


 ブランの瞳を真っ直ぐに見て、伝える。


「あのね、私。まだ使ったことがない……回復魔法を使ってみようと思うの」


「使ったことがない、回復魔法?」


 ブランの家に着くまでにケガをしたり、大怪我を負った村の人々を見た。いまブランに伝えた回復魔法を使うのなら、とてつもない魔力量は必要だけど。この『広域回復魔法』を使えば一気に、村のみんなのケガを、治せるんじゃないかと思う。


 この魔法を使ったあと、ヒーラギはしばらく動けなくなるかもしれない。だけど、いまはブランの昼食も食べて元気だから……絶対に回復魔法はいけるはず。


「それで、なんていう魔法なんだ」

「広域回復魔法なんだけど……」


「広域回復魔法? ……ヒーラギがその魔法を使うのはいいが、魔力切れを起こすんじゃないか?」


 そうだと、コクリと頷いた。


「えぇ魔力切れを起こすと思う。だから、ブランには横で手を繋いで、私を見守っていて欲しいの」


 魔力切れは、一歩間違えれば命に関わるからか、渋い顔をするブラン。でも私の顔を見つめて、ため息をついた。


「無理なときにはやめろよ」


「うん、わかった。……じゃ、始めるね」


 ブランと手を繋ぎ、片方の手は胸にすえた。目を瞑り魔力を高めて高めきったら、それを全て出し切るようにヒーラギは唱えた。


「広域回復魔法【ワイドエリアヒーリング】」


 ヒーラギの足元に癒しの魔法陣が広がり、この村を覆い尽くす。魔法陣が消えると同時に『癒しの雫』が、雨のようにキラキラと村全体に降り注いだ。


 魔力枯渇まではいかなかったけど……大量の魔力は使い、ふらつく体をブランは支えたくれた。


「大丈夫か、ヒーラギ」

「うん、平気みたい。ブランのご飯のおかげだね?」


「ブラン! ブラン嫁!」

「ニュ、ニュー!」


 散歩に出ていた2人が巨大な魔力を感じて、こちらに向かって走ってくる姿が見えた。


「ハァ、ハァ……。村のみんなと話していたら、とてつもない魔力量を感じた、けど……もしかして、ブラン嫁がやったの?」


 その問いにヒーラギではなく、ブランが答えてくれた。


「そうだよ、いまヒーラギが"広域回復魔法"を使ったんだ」


「広域回復魔法? ……すごいな。その癒しの光りを浴びたら、治らなかった胸の古傷が治ったよ」


「え? ほんと? いろんな癒しを試してもダメだった、ロン師匠の……奴隷焼印の痕を治したのか?」


 "そうだと"嬉しそうに、ロンさんは頷いた。


「ニュ!」

「スラも喜んでくれる?」


「ニュ――!!」

「ありがとう! ボクの嫌いな奴隷の火傷アトが消えた、こんなに嬉しいことはない!」


 二人は手を繋ぎ、喜び、しまいに2人は踊りだした。

 

 そこに白いマントを付けた、真っ白な大きなオオカミが現れた。その白いオオカミはヒーラギの側まで来ると、姿を変え、真っ白な耳と尻尾、真っ白な長い髪が印象的な女性に姿なる。


「「⁉︎」」


 この女性の登場にロンさんとスラは踊りをやめて、一歩下がり頭を下げた。


 その畏まる姿に。


「ロン、スラ、かしこまらないの。いま、とても懐かしい癒しの力を感じた。可愛いあなたが、この回復魔法を使ったの?」


「は、はい、そうですけど……」


 ブランに支えられながら、答えると女性はニッコリ笑い、隣のブランに話しかけた。


「ねぇブラン……この子が、子供のブランを助けてくれた、前からズッと好きな子?」


「そうだよ、母さん」


 か、母さん? 


 この人が、ブランのお母様?

 そうだわ、挨拶しないと。


「……は、初めましてヒーラギと言います。ブラン君には……大変お世話になっております」


 会釈すると、ブランのお母様はニコッと微笑んた。


「ふふっ、ブランの母です。私、次に女の子が欲しかったの……こんなに可愛い娘が出来るなんて、お母さん嬉しいわ。ブランとの挙式はいつ? 子供は何人産むの?」


 キラキラの瞳をしたブランのお母様はガシッと、ヒーラギの両手を掴んだ。


「えっ、子供ですか⁉︎」


「ま、待って母さん⁉︎ ヒーラギが可愛いのはわかるけど、結婚だとか子供は気がはやいよ」


「そうなの? ヒーラギちゃん、ウチのブランはよく働くし、いい子よ。ぜひ、お婿さんに貰ってやって。ずーっとウチの子、ヒーラギちゃんが『好きで、好きで、大好き』だから、移り気の気がかりはいらないわよ。ウチの旦那の様に、愛は重いかもしれないけど……」


「母さん!」


 誰もウキウキ喋る、ブランのお母様を止められなかった。

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