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「あの人たち、行ったみたい……」

 

「そうだな――奴らは質屋の用心棒ではなく……ただの騎士崩れの連中か……よかった、王族の連中ではなくて……なぁ、ヒーラギ、この国の結界は後どのくらい持つんだ?」


「――結界ですか? えーっと昨夜、舞踏会を出るときに一度強化したきりなので……今日の祈りをアリカが捧げていなかったら……もって数時間かな? 祈りを捧げていれば明日まで持つと思う。心配なら祈りを捧げるけど?」


 しなくていいと、ブランは首を横に振る。


「いいや、ヒーラギはこの国の聖女じゃねぇ、聖女はアリカという女性なんだろ? その聖女が祈っていたら一日、祈りをしていなかったら……数時間で結界が消えるのか……まぁ、消えても直ぐに魔物は襲ってこないとは思うが。念には念だ、直ぐにこの街を立つ」


「ニュ!」

「はい!」


 ヒーラギは姿消しのままで、ブランは服屋により妹の服だと言って、買ってきた言った袋を渡された。中身は緑色と真っ白なワンピースが入っていた。


「ブラン、ありがとう」

「いいや」


 次に屋台に寄り――たこ焼き、焼き鳥、コロッケ、食材を買ってブランの国へと旅立つ。街の反対側から出れば、国境はすぐ目の前なのだけど。


 ブランは国境とは全く違う、場所に行こうとした。


「国境は直ぐ、そこだけど?」


「それは人族の国境だ、俺達の国境というか国への出入り口はこっちなんだ。たこ焼き食べながら行こう」


「う、うん」


 カリカリに焼かれ、甘いタレがかかる丸いたこ焼き。

 それを串にさしてパクッと食べると、外はカリカリで、中はトロトロ……中にタコが入っていた。


「美味しい、カリカリでトロトロ、ジュワーってお出しがでてくる」


「トロトロの中に入ってる、ポルポ(タコ)はコリコリで美味いな」


「ニュ、ニュ」


「スラも美味いか」


 たこ焼き、焼き鳥を食べながら十二分くらい歩き、国境の壁の途中で足を止めたブラン。


「確かここに師匠が作った……ゲートがあったはず。ここだ! ヒーラギ、俺たちの国に行こう」


「ニュ」


「えっ、ええ?」


 驚く私の手を二人は引き、壁の中に入っていった。

 



 +




 ヒーラギ達が国境を越えた夜。国の付近の森から魔物の鳴く声が聞こえた……その声は段々と国へと近付いているように感じた。


 朝と昼はアリカと過ごしていた、ローザン殿下は部下らかの報告を受け、このままではまずいと聖女アリカに頼んだ。


「聖女アリカ、どうやら魔物が付近まできている――貴女の祈りで、この国に結界を張ってくれ」


「え、結界を張る? そんなこと、私にはできませんが?」


「ハァ? 君は聖女なんだろ? 頼む、祭壇で祈りを捧げてくれ!」


「待ってください、私は何度も癒しの聖女だと伝えました。……結界を張るなんてできないです。今まで行っていた聖女ヒーラギに頼んでください」


 しまいに、アリカは「何度言われてもできません!」と叫び、部屋に篭ってしまった。この日から一晩中、魔物の叫び声が、森から続いたのだった。


 翌日、国境近くのアースルにでヒーラギにいたと、書いた書面が質商から早馬が早朝に届く。ローザン殿下は直ぐに騎士団を派遣するが、ヒーラギは見つからなかった。

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