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 ヒーラギたちは国境近くの、アスール街に来ている。私物のアタッシュケースを質屋に売り、手に入ったお金を持って服屋へと向かっていた。


「あのさ、ブラン。……服屋はあとでいいから、先にたこ焼きを食べようよ。丸く焼いた……たこ焼き食べたい。隣の串に鶏肉をさして炭火で焼く、焼き鳥でもいいよ!」


「はいはい。ヒーラギ、後でな」

「ニュ、ニュ」


 駄々っ子中のヒーラギの意見を受け入れず、ブランとスラはヒーラギの手を引き服屋に連れて行く。


 ――私、服屋は苦手だ。


 元婚約者のローザン殿下に散々、貧相だなと言われて傷付いたから……ブランに、自分の貧相な体を見せたくないのだ。


(10年経っても身長は余り伸びす、胸もない)


「ブラン、私の服は古着でいいわ。そうだ、ブランのお下がりを着ます」


「俺のおさがり? ……別にいいけど、俺のは殆ど尻尾穴が空いているから、ヒーラギのケツが見えるぞ」


(え、尻尾穴? お尻? ということは下着が丸見え⁉︎)



 ブランのお尻を、あらためて見て納得した。


「わかった……動きやすいワンピースを買う」


「あぁ、そうしろ。色はグリーン色な、いまから向かう森に、溶け込める様にした方がいい」


「うん、そうする」


 服屋を探して街の中を歩いていたが、ブランが何かに反応して後ろを振り返り。しばらく街の中を見て『ふうっ』と、ため息を付いた。


 そしてヒーラギに小声で話す。


「ヒーラギ、落ち着いて聞け。何者かが、俺たちの後についてきている」


「え、誰?」

 

「コラ、キョロキョロ見るな……質商の奥にいた用心棒の奴らかな? ヒーラギ、あのアタッシュケースは何処で手に入れたんだ?」


「あのアタッシュケース?……あれはローザン殿下からの贈り物だったけど……売ってしまったらまずかった?」


「ローザン殿下? ああ、アイツからの贈り物かぁ。だとしたら、何処かに王族のマークが入っていたのかもな。それか、王族しか使えない高級な生地、素材で作られていたのかも。……なら、今ついてきている連中はヒーラギを、この国の王女と間違えたようだな」


「えぇ、私が王女⁉︎」


 来い! ヒーラギ、走るぞ! と、ブランに手を引かれて賑わう街の中を走る。路地に入り込むとブランは私を胸に抱き寄せて。


「【身消し】」


 素早く魔法を唱えた。その後すぐ、数人の足音が近付いてくる、私は怖くてブランの服を掴んだ。


「安心しろ、魔法で俺達の姿は消した……俺の魔力が足らないから使いたくなかったが、いまは仕方がない……ん? ヒーラギ、スラは声を出すなよ」


 コクコク頷くと、後を追ってきた男達の話し声がした。どうやらヒーラギ達のすぐ側にいるらしい。


「アイツら、こっちに来たはずなんだがな。お前、本当にあの貧相な女が前聖女なのか?」


 ヒーラギを貧相だと聞いた男に。

 一人の男が声を上げた。


「ああ間違いねぇ、オイラが騎士団にいた頃、顔を見たことがある。あの顔で間違いない」


 男達の中に騎士団へいた者がいたのか……魔物と戦う戦場で、ベールは邪魔になって付けていなかったから。


「だったら、俺達にもとうとう運が回ってきたな。最近はどこの国でも魔物が暴れていると騎士団にいたころ聞いた……あの女を捕らえて隣国に売れば大金が入る、俺たちは一気に金持ちだ!」


「はぁ、金持ちになりてぇ。早く女を見つけようぜ!」


「「おう!」」


 男達はこの辺りを隈なく探し。


「ここにはいないな?」

「あっちを探そう」

「わかった」


 と男達は、ヒーラギを探しに走っていった。

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