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「よし、ハンバーグが出来たぞ!」
「とてもいい香り、美味しそう!」
ついに出来上がったハンバーグがお皿の上で、玉ねぎソースをまとい、キラキラしていて食べるのが勿体無いけど。お腹はグウグウ鳴るし、ヒーラギの口の中はヨダレの大洪水だ。
「ヒーラギ、このナイフとフォーク使って」
「ありがとうございます」
「フフ、このハンバーグ、われながら美味そうにできたな……いや、絶対に美味いな。……そうだ、付け合わせに何かあったな」
ブランはカバンを漁り、密封容器のガラス瓶を2つ取りだした。その密封容器の瓶の中には透明な液体に浸かった、緑色の野菜が入っていた。
「それは何ですか?」
「これか? 俺が作った獣人産のガーキンのピクルスと、ジンセンのピクルスだ。美味いって家族にも評判いいから、味には自信あるぞ」
「ピクルス? 食べてみたい」
「いいよ、ヒーラギの丸いパン貰っていい? あとレタも欲しい」
レタ? あ、レタスのことか。
「いいわよ、どんどん使ってください」
ブランは丸いパンを半分に切って、バターを引いたスキレットで片面を焼き。レタを数枚剥がして今度は水魔法で洗って水をきると、ピクルスと一緒にハンバーグの皿に乗せた。
「じゃ食べようか、いただきます!」
「いただきます!」
声に出さず、食べ物達に感謝をして。
ブランが作ったハンバーグにフォークを入れると、中からジュワッと透明な肉汁が溢れた。それを一口大に切ってパクッと食べる。
(んん~、ソースに使った玉ねぎの甘さがお肉に負けていないし、この玉ねぎソース美味しいわ)
さっきバターを引いたスキレットで焼いていた、丸いパンはそのまま食べるの? と、隣のブランを見た。彼はそのパンの間にハンバーグ、レタ、ピクルス、ソースを全部、挟んで大きな口で食べている。
「その食べ方は何? すごく美味しそう」
「ああ、美味いぞ。これはハンバーグをパンで挟んだハンバーガーって言うんだ、ヒーラギもやってみて?」
「ハンバーガー? やってみるね」
ブランの真似をして、ヒーラギも全部パンにハンバーグとレタス、ピクルスを挟んで齧り付いた。
「んん、これも美味しいわ! 焼いたパンは香ばしいし、ハンバーグはそれだけ食べても美味しいのに、パンで挟んだら違う食べ物になったわ。レタはシャキシャキで、ブランが漬けたピクルスは少し酸っぱい味だけど、ハンバーガーのいいアクセントになってる」
「クク、俺が漬けたピクルスは美味いだろ」
「凄く美味しいです。ありがとうブラン」
お皿に残った玉ねぎソースまで、ヒーラギは追加したパンでぬぐって食べた。
「ふぅ〜お腹いっぱい!」
いまブランが使った、スキレットの後片付けはどうするのだろう。水魔法で洗うのなら、ヒーラギにも手伝える。
「ブラン、後片付けを手伝います」
「いいや、大丈夫、アイツに任せるから」
「アイツ?」
「俺の友達、クリーンスライムのスラだ。出て来い、スラ」
「ニュ!」
ブランに呼ばれてマジックバッグからピョンと、青色のスライムが飛びでてきた。
――え、図鑑でみたスライムと形が同じだわ。
「こんにちはスラ。私はヒーラギっていうの、よろしくね」
ヒーラギの声がスラに届いたらしく、ニョキッと細長いスラの手が伸びて、ヒーラギの手を突っつき挨拶した。
「2人の挨拶は終わったな、よし後片付けをしよう」
ブランがスラに使ったスキレットを渡すと、体の中に入れて、ジュワッと汚れだけ綺麗に落とした。
「ニュ!」
「お、サンキュ、美味いか?」
「ニュ、ニュ」
「そうだろ……おいスラ、そんなに美味いからって急かすな、いま渡すから」
「ニュ!」
スラにもハンバーグの味がわかったのか、手を伸ばしてブランに催促している。最後に火を消した、消し炭までスラは綺麗に消化してしまった。
クリーンスライムのスラ。スラは汚れたものをキレイにしてくれる、クリーン魔法が使える変わったスライムだ。
「すごいね、スラ」
「ニュ、ニュ」
「ん? ヒーラギ、スラがお礼を言いたいってさ。――ヒーラギ、友達の傷を癒してくれてありがとう! だって」
プルプル、プルプル揺れて、スラはヒーラギにお礼をしてくれた。
「どういたしまして……ブランはスラにとって大切な友達なんだ。それにしても友達のブランは"かなり無茶"をしたわね」
「ニュ、ニュ――!」
そうだ!と、怒ってるとスラは細い手を伸ばして、ポカポカブランを叩いた。
「スラ、そんなに怒るなよ。俺だってあの時は限界だったし……心配かけてごめんな、スラ」
「ニュ! ……ニュ、ニュ」
「ちょっ、わかってるって……のがしゃしねぇーよ」
今度は二人で、何やらコソコソ楽しそうに話している。ずるい、ヒーラギにはスラの言葉はわからないのに。
「ブラン、何を逃さないの?」
「ん? これは男同士の話だよなスラ」
「ニュ」
二人で楽しそうに肩を並べて笑った。




