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 人の言葉を話した……もしかすると、この子は精霊か魔物なのかもしれない。だけどフワフワで可愛い、この子に帰る家がなかったら、私の話し相手として別荘へと連れて行きたい。


 その為に、この貰った桃をたらふく食べさせて……と、思ったのだけどこの子よく食べる。この子用にと剥いた桃が足りなかったようで、ヒーラギの桃も子犬は欲しがった。


「ダメ、これは私の桃です!」

「いいや、俺のだ」


 食いしん坊同士の取り合いの末、一口残った桃を食べようとした、ヒーラギに飛びつきパクッと桃を食べてしまう。


「おまえのそばにいるだけで、体が軽くなってきた」

 

「体が軽くなった? あ、私の桃を食べないで!」


 全ての桃を食べたフワフワな子犬は、徐々に大きくなり……150くらいのヒーラギよりも身長が高く、短い白銀の髪と琥珀色の瞳の男性にかわる。


 そしてキズを受けていお腹を触り、首を傾げた。


「なに? 傷跡となくケガが治っている? それに枯渇していた魔力も回復してきた?」


 スラスラと言葉を話した。

 この人は精霊でも、魔族でもなく獣人?

 

 そう言えば書庫にあった書物で、魔族国の他にカザール国の隣国には、狼が収める獣人の国があると本で読んだことがある。だけど彼らは人間を嫌い、恨んでいるため、国境は開いていないから図鑑でしか見たことがなかった。


 彼のフワフワな耳と、フンワリな尻尾……可愛いけど、この人はなんと裸だ、全裸だ!


 ヒーラギは彼の裸を見ないように後ろに向いた。……でも私は成人男性の裸は騎士団で慣れてる。騎士の彼らは全然気にせず、天幕を張ったキャンプ地で鎧を脱ぎ裸で歩いた。


 最初は子供だったヒーラギが大人になっても、彼らは同じ対応だった。


「魔力回復もした――あのキズをどうやって治した?」

 

「どうやったって……普通に魔法で治療しましたけど……」


「嘘つけ! あれば魔物に受けた瘴気を纏ったキズだ……普通の癒しでは治らない!」

 

(瘴気を纏ったキズ? 気付かなかった……もしかして、私が元聖女だったことが彼にバレてしまった?)


 彼に王城に連れていかれると、ヒーラギは閉じ込められるかもしらない。または騎士団の遠征に着いて行けと言われて、騎士達のケガを治せと言われるかも。


 どれだけ祈っても、彼らのキズを治しても……周りは、お前は聖女なのだから当たり前だと言う。それでも、文句を1つも言わずに今までやってきた。

 

 ようやく新しい聖女が来て……婚約破棄をそれ、ヒーラギの力も要らないと言われた。やっと外に出られて、自由になったんだ、あの場所には戻りたくない。


 ――私は捕まりたくない!


「どうした? お前、顔色が悪いが平気か?」


 ヒーラギは男性が伸ばした手を避け、後ろへと下がる。

 

「い、いや、近寄らないで! 私は王城なんかに、絶対戻らない!」


「はぁ? 王城? ――ち、違う! 俺はお前を捕まえにきたんじゃない。俺はお前の力を借りたいんだ……お前、聖女なんだろう?」


 裸の男はヒーラギにそう言った。

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