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魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク  作者: 白崎詩葉
第2章

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第12話 銀の街 前半 ③

「ここにいたとはな」

「あれから6年か。大きくなったもんだな」

 修行が終わり、外に出すことを許され、早速復讐を果たしにジルがいた教会に行っても、もうなくなっていた。後を追うにも手かがリが何一つなかった。

「君が逃亡した後でな。いろいろとあったんだ。私も聖女に睨まれているからな。行方くらませるのは苦労した」

「なぜここに・・・」と鋭い目つきで返す。

「ここも俺の研究施設だからね」

「研究施設だと・・・」

「私は君に話があるんだ。だから、大人しくしてくれないか」

「その前におまえの首を払ってやる!」

 怒声を上げる。

「物騒な言葉を覚えたな」

 ジルは銃を撃つ。その時肩に何かが刺さった。急に眠気に襲われる。



 目を覚めれば、どこかの部屋にいた。

 ベッドの上で眠っていたようだ。

服も変わっていた。白を基調とした修道女の服。白は白女神に象徴し、浄化の意味を持っている。

首になにか違和感あると思えば、首輪が付けている。

 わざわざ着替えさせやがって。気色悪い。

 窓を見れば、暗くなっていた。長く眠っていたようだ。

周囲を見回すと、扉の前にヴァルキリーが立っていた。

「ヴァルキリー・・・」

 ヴァルキリーはジャンヌに気づき、顔に手を当て、何かを話しているようだ。

「聞こえているんでしょ・・・?」

 反応がない。操られているのだろうか。

 教会に連れてかれた聖女は洗脳される。意思を失い、人のために尽くす聖女として。以前にも救出した聖女が、逆に聖騎士団を呼び、救出しにいった聖女が捕まることもあったようだ。そういった経緯もあってかイヴとマリアは、教会に連れてかれた聖女を見捨てている。

 でも、ヴァルキリーは洗脳とはまだ違う。

「ヴァルキリーは私としか話せないよ」

 声をした方へ向けば、ジルが部屋に入ってきた。

「ヴァルキリー。部屋の前にいなさい」

 ヴァルキリーは、指示通り部屋から出ていった。

「彼女といたら、話しづらいと思ってね」

「ならいい。おまえを殴れるからな!」

 ヴァルキリーがいれば、止められる。

 拳に殺意を込めて、ジルに向けるが。

 急に首が苦しい。その場で膝をつく。

 首には首輪が装着している。首輪から何か仕掛けている。

 痺れがなくなり、咳き込む。

「首に仕掛けてあるんだ」

 ジルは見せびらかすように手の中に小さなボタンを見せる。

――こいつ

 押せば、遠隔に痺れさせる仕組みだろう。それは魔術のものではない。

「聖女様は、『呪い』や魔術が効かないものの、病気や毒で簡単に死んでしまう。この道具もロストテクノロジーの一種だ。科学といったモノか。まあ、それもラプラスのおかげで消えてしまった」

「その消えてしまった知識をなぜ持っている・・・」

「それは君に関係ないものだ。あまり使いたくないんだ。話ができないだろう」

 ジルは近くにあった椅子に座る。

「私は、あれをどうしたかと訊きたいんだ」

 おそらくあのことだろうか。だとしても答える気はない。

「やはり答えてくれないか。いいだろう。君の質問に答えよう。そうだな。話が長くなるから2つまでならいいだろ」

「だったら、ヴァルキリーとあの聖女のことを話せ」と声を上げる。

「いいだろ」

 話してくれるようだ。

「まずヴァルキリーか。僕の別の支部に自ら入ったんだ。彼女はとても優秀だ。人のために魔女や魔族も退治してくれる。だか、少し命令違反なこともあってな。とても手に余ったそうだ。私にまで相談に来たものだ。その時丁度パンドラの箱を見つけたという話を訊いたんだ」

 その発言で察してしまった。

「パンドラ討伐に命令を出したのは・・・」

「私になるな」

 プチ切れた。殺意が込みあげる。

「さすがに退治までできるとは思ってはいないさ。ただ肉体が残るか、心配だった。改造することも考えていたからね。けどよかったよ。両手を失っただけで改造しやすかった。とてもいい子になったもんさ。それで管理するために手元に置いているんだ」

「ならよかった・・・指示を出したがおまえで。まとめて殺せるんだからな!」

 ジルに殴ろうとしたが、首輪から電気が流れる。

 膝をつき、首を抑える。

「まだ途中だぞ」

 ジルはボタンを放す。

 咳き込む。

「あとノエル様についてか」

 何食わぬ顔で言う。

「ノエル・・・」

「君が知りたいもう一人の聖女様だ。ノエル様が血を流してくださることでこの街をノレッジから守られ、技術の向上も進められた」

 ノレッジは、しょかんの魔女ラプラス・ライブラーの使い魔である。知能や技術の高い者の頭を食べ、本となり、ラプラスの元へと帰る。

「『光』に浴びて入れば、血は切れることはない。ただ情緒不安定でな。時々暴走しかける。そのたびに麻酔で落ち着かせているんだ」

『光』と血の垂れ流すだけでも体への負担が大きいはず。暴走するたびに麻酔で強制的に抑えている。それが長く続いていたら、いつか壊れる。

「それに他の聖女様と特殊でね」

 普通の聖女でもあそこまでの『光』を生み出す聖女は滅多にいない。あの力を引き出すために何かしたのか。

「知っているだろ。聖女は、処女と白女神様の声が聞こえた女に限るということ」

 その時ゴトっと物音がした。

 まさかとは思うが・・・

「ノエル様は聖女として目覚めたが、以前の聖女に宝石心臓(セラフィム)を入れられたんだ」

 ジルは何もなかったように話を続ける。

 もしかして、心臓をあげるという行動の意味が理解した。以前にもその方法で聖女になったというのか。

宝石心臓(セラフィム)が二つ持っているのか」

 ただでさえ、最古の魔女でも触れただけで重症を得る強力な『光』を二つも持っている。簡単に抑え付けられないはず。

「ああ。まだ互いに拒絶反応が今でも続いている。だから『光』を含めた銀の水を垂れ流し、感情を抑えることでノエル様は耐えている」

「耐えているわけないだろうか!」

 声を上げて、ジルの話を遮った。

「あんなに血や『光』を垂れ流し、暴走するたびに麻酔を使って・・・しかも宝石心臓(セラフィム)を二つも持っている・・・あの子を死なせるつもりか!」

「私だって、簡単には死なせるつもりはない。ただノエル様も死にたがっているようだ。以前もヴァルキリーを襲った。あの時も止めるのに苦労したものだ」

「まさかヴァルキリーにも・・・」

「君の質問には答えた」

 言いかけたが遮られた。

「教えてくれるか。君が『光』を使えなかった頃にあげた宝石心臓(セラフィム)をどうしたのか」


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