第12話 銀の街 前半 ①
「おい!いい加減起きろ!」
その声で目を覚める。
目の前にはマントをかぶったアキセがいた。最悪。
「なんで・・・あんたか・・・それにどこよ」
「銀の街だ」
その一言で目が覚めた。
「銀の街?」
「そうだよ。聖騎士団に連行されたんだ」
「もう頭が痛い。状況説明して」
もう素直にアキセに訊く。状況を知るために。
「魔女を退治したのは、覚えているか」
「覚えてる」
「あの後、聖騎士団の増援に連行されたんだ。着いた直後で俺が起きて咄嗟にこのマントで姿を消して逃げたんだ」
よく見れば、アキセはマントをつけ、一部体がない。
コルンの発明品『なんでも遮断マント』で着れば、見えなくなるという。
「指輪は取られなくてよかったぜ。武器庫と思わなかったんだろうな」
「武器庫って?」
「魔術師はなにかと道具が多いんだ。道具を仕舞えるようにな」
「え?何。その指輪以外にもできるの」
「おまえがいたら、発動できなくなるだろうか。それに武器庫作るのも結構面倒くさいんだぞ。記号とか文字とか刻むから大変なんだぞ」
「あっそ」
そんな魔術師事情は知らない。
家の角から町を覗いていた。
白を強調とした芸術な建物。水路が多く、銀色の水が流れている。その水から『光』が溢れている。聖女の地ほどではないが、通常よりも『光』の濃度が高い。それに鼻につく。少し生くさい。
ん?ここまで『光』の濃度が高いとなれば。
「あんた。『光』の濃度が高いのに、なんで平気でいられるのよ」
魔族の血が混ざっているアキセが平気でいるわけではない。
「さすがに耐えられないって。このマントが命綱なんだぞ」
「そのマントって姿消えるだけじゃなかったの」
「なんでも遮断できるんだ。『光』でもな」
――なんでも遮断できるとしたら、空気とか吸えなくなるんじゃ。
「まあ、それでもびりびりするけどな。この濃度だから、魔術もロクに使えないし」
魔術は『呪い』を利用する。『光』の濃度が高ければ、『呪い』を減少される。あまり期待できない。
「じゃあ、コルンの発明品便りか」
コルンの発明品は『光』や『呪い』の影響を受けず、しかも解明できないほどの技術を持っている。
「あれ、ないの?転送できる発明品一つや二つあるでしょ」
「もうない」
その一言でプチ切れた。
「壊れた。切れた。持っていたらもう使ってる」
「役立たず!」
「あ?」
「クズを補償できるように役に立ちなさいよ!」
「声を出すなって。そんな急かすな。転送はできないけど、通り抜けはできる道具ならあるぞ」
「それってそのマントを使って、出口まで歩くってこと」
「はい。そうです」
「と考えると夜を狙うしかないか」
「敵も考えていると思うけど」
「隠れる道具他にあるでしょ」
「これだけ」
「あんた。コルンから盗んでいる割に肝心な時に他にもないってどういうことよ」
思わず突っ込んでしまった。
このマントでうまくいくしかないか。確実に密着高いが。
いや、待てよ。コルンの発明品ならどうにかできるかもしれない。銀の街にはあいつがいる。だとしたら。
「ねえ・・・」
その時、何かが落ちてきた。地面が揺れるほどの衝撃だった。
それは鎧を着た者だった。
「やば!」
鎧は腰にある細い剣に手を添える。
「あれって・・・」
その剣はとても見たことがあった。
鎧は剣を引き抜き、光の波を放つ。
ロザリオを取り出そうとしたが、手元にない。捕まった時に取り上げられたのだろう。
「しまった・・・」
鎧の衝撃で広間に出でしまう。噴水を中心に水路が四方に広がっている。白い格好をした住民が唖然としている。
隠れるところが目立つ広間に出でしまった。ここで戦っては聖騎士団が集まってしまう。
なぜかアキセがいつの間にか消えていた。
――あのやろう。逃げやがって
小道から鎧が剣を突き出していく。瞬時に白い炎を結晶化させ、剣を作り、剣を受け止める。
やっぱり。この剣はヴァルキリーの剣『ヴァルホル』だった。まさか。この聖剣を使える者としたら。
その時、剣を光の刃で拡大するが、白い炎の剣の力を抜け、地面に剣が刺す。
距離を取るも、鎧は剣を地面ごと払い、破片を飛ばす。
白い炎の剣で破片を弾く。
鎧が突っ込み、腹に膝蹴りを食らう。腹の骨が折れそうだった。背後に飛ばされ、噴水の支柱にぶつかる。支柱は衝撃で後ろへへし折る。
「クソ!」と悪態をつく。
白い炎で体を包み、衝撃を防いだ。それでも体中が痛む。
鎧が近づいてくる。
力量的に鎧の方が上。逃げるにしても骨が折れる。どうしたものか。
考える暇を与えず、鎧は剣を構え直し、迫ってくる。
その時、噴水から銀色の水に包まれる。
「何!?」




