第11話 黒影の魔女①
夜になり、近くの浅瀬に野宿することにした。
ジャンヌは、焚火をみながら考え込んでいた。
数日前のことがあやふやでウィムと会って、その後のことが思い出せない。以前にも似た感覚だった。さいかの魔女にも部分的に記憶がない。
その時だった。
気配がする。警戒する
「魔女じゃない・・・」
焚火を消し、川岸に出し、ロザリオを構えながら様子を見る。
月明かりが出でいる。敵の的にもなりかけないが、『光』が届かない森の中では不利になる。
どうにかして敵の正体を明かしてやる。
その時、森から何かが飛んできた。
避ける。
ロザリオで跳ね返すこともできないことはないが、正体を知るためにわざと避けた。
川に刺さったのは、透明な宝石の矢だった。
ジルコニア。
ジルコニアは、『呪い』や『光』の吸収性が高い人工鉱物。聖女に向かってジルコニアを使った。聖女の力を知っている者。聖女以外に考えられるのは一つだけ。
おそらく相手は聖騎士団。
聖騎士団は、教会の攻撃部隊。『呪い』、魔を持つ者を排除し、そして聖女狩りも行う。
聖女は宗教の象徴。聖女を所持することでより宗教が強大になる。
捕獲された聖女は、教会に連行され、洗脳され、操り人形になる。
教会はこれ以上関わりたくない。
ロザリオに白い炎を纏い、森に放ち、浅瀬に沿って走る。
相手は人間で攻撃は効かなくても、攪乱くらいならできる。反対に逃げてもいいが、反対側にも敵がいる可能性もある。月明かりが満ちている川に沿って、距離を取って森の中に入るしかない。
さらに白い炎の波を森に放つ。
またジルコニアの矢が放たれる。走りに追い付かず、ジルコニアの矢は、川に刺さる。矢の数からみて、多くはいない。一部隊だけだろう。数が少ない。逃げ切れる。
その時、ぼっと抜けるような音がした。
「何?」
何かが発射されたようだ。どこに。
警戒するも目の前に弾が落ちる。途端に弾が散弾する。それは、ジルコニアの刃だった。ロザリオで払うが、背後からジルコニアの刃が刺さる。
力が急激に減る感覚がする。体内の『光』が吸収されている。もう立てない。




