表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク  作者: 白崎詩葉
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/155

第8話 勝利の聖女③

 箱から現れたのは、体中に黒い入れ墨を入った体。腰まである長い黒髪の黒目の少女だった。体中、布で覆われている。

「私、起こされるの。嫌いなんだよね」

 イタズラな笑みで不機嫌に言い、『呪い』を可視化した黒いモヤが広がる。

 黒いモヤが騎士団を包み込むが、ジャンヌとヴァルキリーは避ける。

 騎士団は苦しむ中、体が溶けていく。

「あら、聖女いたの」

 パンドラは静かに箱から離れ、石段を下りる。

ジャンヌはロザリオを構える。

 ヴァルキリーは鞘から聖剣『ヴァルホル』を引き抜く。細い剣だか、『光』を注ぐことで剣の幅を広げ、大剣へと変える。

「ここで食い留める!」

ヴァルキリーが前に出る。

パンドラの『呪い』は災害を起こす。洞窟の外に出しては対処しきれない。

ここで押さえるにしても、崩れやすい洞窟の中では大技を出せず、日からの『光』の吸収も得られない。

 どう考えても勝ち目がない。

 それでもヴァルキリーは『ヴァルホル』を大きく振り上げ、パンドラに振り下ろす。

 パンドラは腕で受け止める。

「何?相手してくれるの」

 パンドラの余裕の顔。

 その時だった。

 ヴァルホルがパンドラの腕を斬り落とした。

 ヴァルキリーは距離を取り、ヴァルホルを構える。

 ヴァルキリーの『光』が最古の魔女に効いた。

 パンドラはきょとんとした顔で切り落とした腕と切口を見る。

「へ~」

 不適な笑みを見せるパンドラが瞬時にジャンヌに近づく。

「邪魔」

 ジャンヌを腕で払う。

 勢いよく飛ばされ、ヒビが入るほど壁に右肩から当たる。骨が砕けたような音がする。

――右肩やられた

さらに壁に張り付いたカースネロが落ちる。その中にカースホタルが入ったカースネロも一緒に。このままでは落ちた衝撃でカースホタルが爆発し、周辺のカースホタルを巻き込み、大惨事になる。

 すぐさま白い炎を放ち、カースネロごとカースホタルを浄化する。爆発は免れた。

「久しぶりにやりがいのある子ね。少しは付き合ってもらおうかしら」

 ジャンヌの行動を気にせず、パンドラは、失った腕が黒い手に再構築され、二本の黒い剣を生み出し、ヴァルキリーを襲う。

 敵わないのは分かり切っているが、邪魔扱いされるのにイラつくと思っていても、間に入る隙間がない。

 パンドラは踊るように2本の黒い剣を振り回すが、ヴァルキリーがヴァルホルで受け止める。目が追い付くのが精いっぱいだろう。

「よくついてこれるわね」と余裕な顔を崩さずにパンドラが言う。

「だったら!」

 ヴァルキリーは距離を取り、『ヴァルホル』の先端に溜めた光の球を飛ばす。

「何よ。それ」

 パンドラが黒い剣で光の球を刺した瞬間、光の球が結晶化し、光の刃へと変わり、パンドラに向かって集中に飛ぶ。

 その一本の光の刃がパンドラの箱を刺した。騎士団で撃った弾には傷つかなかった箱にヴァルキリーの光の刃が刺さった。

 その直後、黒いモヤが一斉に放たれた。ヴァルキリーが放った光の球を飲み込むほどだった。

 黒いモヤの隙間から見えたパンドラは、これまで以上に目が血走っていた。

「殺す」と発した時。

 ヴァルキリーの両腕が唐突に斬られる。

「え・・・」

 一瞬にパンドラがヴァルキリーの両腕を斬った。

「うわああああああああああああああ」

 ヴァルキリーが叫ぶ。

「よくも私の箱に傷ついたな!」

 パンドラは寝床である箱を傷つけて、逆鱗に触れてしまったようだ。

 パンドラはヴァルキリーの腹を足で倒す。

「うるさい!」

 パンドラは足で踏みつけ、ヴァルキリーの腹に穴を空く。その穴に黒いモヤを大量に注がれる。口や耳、腹の穴から黒いモヤが溢れていく。

「ヴァルキリー!」

 叫ぶ。

 体内で『呪い』と『光』が反発しあっている。あのままでは体がもたない。

 黒いモヤが止まったようだか、ヴァルキリーが動いていない。

「あ~あ、スッキリした」

 パンドラは清々しく言い、足をヴァルキリーから引き抜く。

「そうだ。前から見たいものがあったんだ」

 無邪気な笑みを見せる。

「見せなさいよ」とパンドラはヴァルキリーの胸を引き裂く。

ヴァルキリーの胸から赤く輝く。

「綺麗。これが宝石心臓(セラフィム)ね」

宝石心臓(セラフィム)は聖女に覚醒した女の心臓が宝石に変化する。それが聖女の『光』の心臓になる。

 『呪い』に抗体がない聖女を守っているため、通常のエンジェライトより強力。最古の魔女であるパンドラでさえ、宝石心臓の光に浴びただけで顔が焼ける。それでもパンドラは苦しむことなく、宝石心臓(セラフィム)に手を伸ばす。

 ヴァルキリーの宝石心臓(セラフィム)を引き抜くつもりだ。

 ジャンヌはロザリオで白い炎の波を放つ。

 白い炎の波は確実にパンドラに当たったが、パンドラには何一つ傷がついていない。

 パンドラの『呪い』の力量が高く、『光』が浄化しきれなかったからだ。

「まだいたの」

 パンドラはヴァルキリーから離れる。

「せっかくだから、あなたのも見せなさいよ」

 宝石心臓(セラフィム)を狙ってくる。

 左手でロザリオを構えた瞬間、パンドラが消えたと思えば、目に映らない速さで移動し、黒い剣が迫ってくる。

 ところが、あと、指一本のところで黒い剣が止まった。

 冷や汗をかく。

「あれ、こんなに小さくなっちゃった」

 パンドラは幼い姿になっていた。

 『呪い』を浪費して、幼くなっただろうか。

「それにもう眠いし」

 口を手で塞ぎ、大きなあくびをしながら、箱の中に入る。

「寝よう。おやすみ」

静かに眠りに入り、箱は閉じられ、消えていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ