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魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク  作者: 白崎詩葉
第2章

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第7話 墨鯉の魔女⑥

 リカルドが飛ばしたウィーン辞典を読んでいた。

「用事があるならさっさと言え」

 アキセはリカルドに銃を構えていた。

「おまえ。何者だ?ただの人間じゃない。魔族(アビス)が混じっているだろう」

 リカルドは黙り込むので、足元に銃を撃つ。

「さっさと答えろ。次は一発ずつ体を撃っていく」

 リカルドの顔色が変わらない。

「そうか、気付かないのか」

「は?」

 その時だった。

「リカルド!」

 ジャンヌが近づいてくる。

「悪いが、用事があるんでね」

 リカルドは、ウィーン辞典を雑に落とし、ジャンヌの元へ歩く。

アキセは舌打ちする。

リカルドを追い越し、ジャンヌに近づく。

「何よ!」

 ジャンヌの腕を引っ張る。

「ちょ!?」

「気に食わない」

「は?」

 アキセは、『飛ばしコイン』を召喚する。工作の魔女コルン・ゴボルドの発明品の一つ。何も刻んでいないコインに触れれば、ランダムに飛ばされる。正確に思い浮かべば、コインに座標が刻み、着地点を選べる。

 街の外と思い浮かべ、コインに触れる。

 ジャンヌと共に転送する。

「聞きそびえた」とリカルドが呟く。



 図書館のどこかに別の部屋に繋がる扉がある。

 その先にはラプラスの部屋に繋がっていた。

 その扉からくうそうの魔女ルシア・ファンタジアが入ってくる。

「ラプラス。本は元に戻したよ」

 少し疲れ気味のようだった。

「お疲れ」

 ラプラスは本を読みながら言う。

「なんでこんな面倒ごとするの?どーせ人間が片付けるのにさ」

 ルシアが少し不機嫌に言う。

「本には罪がないもの。あそこまで汚されて人間たちに直せると思う」

「完璧に戻すのはラプラスしかいないけどさ」

「本当ならあの魔女が本を片付けさせてからでもよかったけど。それに聖女も本を見るのは初めてだったのかしら。本を投げるなんて」

 ラプラスの口調が強くなった。本を雑に扱ったことに怒っているのだろう。

「それでも行かなかったよね」

「まだ本を読んでいるからよ」

「だから、聖女に代わりに退治させたんでしょ」

「それが彼女らの仕事でしょ」

「そうね」

「そういえば」

 ラプラスが話題を変える。

「噂好きの魔女が駆け回っているようね」

「そうなの。聖女に川を落としたのも絶対知っててやったんだと思うよ。それで僕は戦わずには済んだけどね」

「どのくらい把握しているかは知らないけど、邪魔する気はなさそうね」

「今のところはね。今度あったら、訊いてみるよ」

「素直に話してくれるといいわね」

「あとさ」

 ルシアが話を切り替える。

「墨鯉の魔女だっけ。もしかしてあの魔女だったりして」

「それはないね」

 ラプラスは断言する。

魔女文字(ウィーンもじ)と名前の一部も受け継いでいないし、呪力も違う」

「そうなんだ」

「あの本は魔女に弄ばわれるのも嫌なの。けど、あの本には載っていないわね」

 ラプラスは本を閉じる。


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