第5話 魔女図鑑を作る男⑦ 挿絵あり
その後。ノレッジは消えていった。
アキセとナタルと合流すると何かと面倒くさいので、一目散に逃げようとした。
「おいおい。迎えに来ないなんて薄情な奴だなあ」
――なんでこいつは空気を読んで現れるんだよ
呆れた目を見せる。
「なんだ。ノレッジに脳みそ食ってないのか」
「おまえもラプラスにくたばらなかったのか」
アキセが嫌味に返す。
「相手はラプラスじゃなかったので、くたばりません。でも、首を払えなくてがっかり」
「ラプラスじゃなかったのか!」
「そういえば、あのナタルは?」
アキセを無視する。
「どっかに飛ばした」
よかったようでよくないような。
「あのしぶとさだ。どうせ生きてるさ」
そこは否定しなかった。
「これで二人きりになったし。いつでも夜を過ごせるな」
アキセがジャンヌの肩を回して触ろうとした時、ジャンヌは裏拳でアキセの顔に当てる。
「う・・・」
「ふざけるのは対外にしろ」
アキセを置いて歩き出すジャンヌだった。
本が棚に隙間なく敷き詰めており、本に囲まれている空間だった。
その中央で白いテーブルの上で紅茶を一杯飲み、白い椅子に座りながら、女は本を読んでいた。
青に近い長い黒髪は縛って肩を乗せ、体の前に下ろす。青紫色の目。白いシャツ。群青のズボンとロングコートを肩に乗せずに胸で留めている。
「ただいま!ラプラス」
ルシアが戻っていた。
「おかえりなさい」
カップを置き、優しく迎える。
「聖女と鉢合ったそうね」
本を読んでいたラプラスが頬杖を立てる。
「やっぱり見てたんだ」
「本を読んでても分かっているわよ」
ルシアにノレッジの権利を渡しても、ラプラスはノレッジと繋がっているため、視界情報が得られる。
「ごめん。聖女に本を燃やされちゃった」
「あら、まあ酷似本があるからいいけどね」
「本当にごめん~」
ルシアは謝る。
「あと聞いて!」
子供のようにルシアははしゃぐ。
「その聖女さ。ラプラスが気にしてただけあったよ。僕の正体も気付いたんだからさ。あとノレッジが騒いでたのも気になったけど」
ルシアは、首をかしげる。
「ああ。たぶん。それはね」
ラプラスはルシアに教える。




