第5話 魔女図鑑を作る男⑥
なぜ、消えない。
使い魔のくらいなら、白い炎に触れただけで消えるはずなのに、消えない。
考えられるとしたら、『光』の抗体を強くしたか、魔女が倒さない限り消えないことだろうか。
ジャンヌは鉄のオオトカゲと戦っていた。
鉄のオオトカゲは、大きい尾を振り回し、足で踏みつけようとする。
白い炎が効かないなら、後は、ロザリオで切るしかなかった。
ロザリオは、『光』を結晶化し、物理攻撃を可能にする。
だか、使い魔を相手するより魔女を退治した方が手っ取り早い。
「その子。結構強いでしょう。別の世界だとね。その子たちのことベスティアっていうんだって。機械の生き物でティラノサウルスって言うんだって。面白いでしょう」
面白くない。
空に浮かんでいるルシアが、陽気に説明する。
「そうだ。もっといいの。紹介してあげる」
ルシアは本を取り出し、ページをめぐる。
「じゃあ、これ!」
ページが光出す。
「リトグラフィカ!」
ルシアが名を叫んだ瞬間に森から飛び出してきた。
体型は鳥に似ているが、前足には鋭い刃のような羽がついたガキ爪、鋭い足。鋭い羽が密集した尾。大きさは、2メートルほどだろう。ティラノサウルスと同じように鉄でできている。
リトグラフィカは、尾についた鋭い羽を大きく振り、矢のように飛ばしてくる。
これだ。
鋭い羽をロザリオで弾ける。
弾けた鋭い羽の一部をルシアに飛ばす。
「うわ!」
ルシアは避けるが、本が鋭い羽に刺される。
「あー」
ルシアがやってしまったような叫びをする。
その瞬間、ベスティアの動きが鈍くなった。
この隙を逃らず、ティラノサウルスの背中から頭に乗り、思いっきりルシアにまで跳ぶ。ルシアの目の前まで距離を詰め、白い炎をまとったロザリオをルシアに振ろうとしたが、ルシアに届かず、本を切るだけになった。
――ちっ!もう少しだった
舌打ちするジャンヌは、本と一緒に地面に着地する。
本は、白い炎に燃やされ、ベスティアは消えていった。
本を取り出してからリトグラフィカが呼び出した。
使い魔の正体は、おそらくあの本だったから、本と共に消えた。
「ああ!本を燃やしたな!ラプラスに怒られちゃう」
その時だった。
ノレッジが急に逃げ出す。
「あれ。ノレッジ逃げてる」
「どうやら、見つかってくれたようだね」
ジャンヌは、白い炎をまとったロザリオをルシアに向かって振るうが、ルシアは華麗に避ける。
「あぶないあぶない。今回はここまでかな。そうだ。帰る前に名前を教えてよ」
「嫌よ。これ以上魔女に覚えて溜まるか」
「な~んだ。がっかり。でも風の噂で知ってるけどね。リリムとできた白の聖女のジャンヌ・ダルク」
「こら!」
手を伸ばし、白い炎をルシアに向けるが、受ける前に消えてしまった。




