第2話 女の国 後半①
公演中に魔女の出現、男の進入、男の女装の騒ぎで公演は中止となった。
結局、魔女は逃げられ、夜になっても逃亡中だった。クレア女王から権限を使い、騎士を借り、全力を挙げて、捜索に取り込んでいる。
そんな中、ジャンヌは牢獄に行くことにした。
アガタから様子見てきてと言われたことと個人的にも気になっていたからだった。その時のアガタは女の対応に忙しかった。
牢獄は町から離れたところにあった。
主に罪が犯した男が監獄しているという。
クレア女王から権限をもらっていたため、楽に入れてくれた。
看守に案内され、地下にある檻の前に着く。
「おー来た来た」
ジャンヌは、その声で顔色が変わった。
視線を向けば、檻の中で余裕な様子で壁に寄り添い、手には枷がはめられ、水ぼらしくボロイ服を着ていたアキセだった。
似合っている。
「俺に哀れんできてくれたのか」
「それはない」
速攻で拒否する。
「つーか。おまえ。俺を売ったろ。かばうことなく」
数時間前、アキセが騎士に連行される時だった。
「この人、知り合いですか」と騎士から言われたが、「知らない」と返した。
そのまま涙目になりながらアキセは、「あー」と情けない声と共に連行された。
現在。
「あんたを檻に閉じ込めるいい機会と思っただけよ」
「甘いな。これくらいならすぐ出れる」
「あっそ。頑張れば。用事があるのは」
ジャンヌは隣の牢屋に視線を向く。
昼間、クレア女王をかばった男が壁に寄り添って、手に枷をはめていた。
「あなたでしょ。昨日私に声をかけたの?」
昨夜、城から脱走し、ジャンヌに話しかけたフードをかぶった男が、この男だった。
「いろいろと話してくれるかしら」
ジャンヌは声をかける。
「クレア様を・・・助けてほしい・・・」
男は縮こまりながら言う。
名もなくこの国に生まれた男は、奴隷となる。性奴隷として女たちから虐待を受けていた。
青年となったある日、女を殺してしまう。
この国では女を殺害した男は重罪となる。
怖くなり、脱走を謀った。騎士に追われる中、必死に逃げた先で、クレアと出会う。
通報されると思い、クレアに脅しかける。
しかし、幼い頃から女たちから虐待を受けていたため、視線がまともに合わせられず、声も体も震えが止まらない。それでも脅しにかけるが、クレアは、優しく声で返してくれた。それに騎士からもかばってくれた。
それから回復するまでにクレアが身を隠してくれた。その時にクレアからロランと名付けられた。
クレアは女王候補者の1人で選挙に抱えていたにもかかわらずかばってくれた。
そんなある日、クレアに理由を訊いた。
クレアはこの国の出身者。
母親は奴隷であった父と駆け落ちしようとしてこの国に出ようとしたが、捕まってしまう。しかし、男が連れ出されたと周囲から言いがかりをつけられ、罪が父に全部押し付ける形になってしまった。母は無罪を求めたけど、周囲の圧力で何もできず、父は拷問されて死んでいった。母は何もできずに悔やみながら、クレアを産んだという。
母の過去を知ってから、この国に疑問を持った。男だけでない。男と交際し、生まれた子供を穢れた女と差別されている。クレアはこの国を変えようと決意した。
男に権利を与え、平等な国に変えると。
クレアだけでない。この国を変えたい者も増えていた。クレアは代表に立った。
数日が流れ、選挙前になった。
クレアはロランを国の外へ逃がそうとした。
この国を変えたら帰ってきていいと。抜け道を教えてもらい、国の外へ出ることにした。
ところがもうすぐ国の外に出られた途端に気を失った。
気が付いた時には裸体のクレアが怯えた目で見ていた。自信も服を着ていない。どうやら襲ってしまったらしい。
全く記憶がない。なぜここにいることにも、クレアを襲ってしまったのも。その場にサッフォーが見ていた。
ロランは、サッフォーの部下に取り押さえられてしまう。
クレアは、「やめて」とロランをかばった。
サッフォーは、クレアに条件を出した。
サッフォーの言うことを訊くことだった。さもなければ、ロランを牢獄に入れられ、より虐待にさせる。さらに処女の喪失だと知れば、女王の失脚になり、国外追放になる。
クレアは女王としてやるべきことがあった。ここで終わるわけにはいかなかった。
クレアはロランをかばい、サッフォーの言いなりになるしかなかった。
しかもその出来事が女王として当選した日だった。
クレア女王は、処女の喪失とロランの人質に女王になりながらもサッフォーに従われることになった。クレア女王が考えた政策をことごとく潰され、サッフォーが定めた政策しか進まなかった。城内で悪質ないじめも起きていた。
ロランは奴隷として城の地下に閉じ込められていた。夜にはロランの目の前でクレアとサッフォーと夜を交わしていた。それが5年も続いた。




