表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク  作者: 白崎詩葉
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/155

第6話 ナリカケ 後半⑤ 挿絵あり

 よし。逃げよう。

 レオンは森の中を走っていた。

 ジャンヌから言われたことはやった。タンガはおそらくアキセが殺した。さっきの爆発が証拠だ。決して裏切っていない。やることはやったから裏切ってはいない。ジャンヌはムカデの魔女と戦っている。あの戦いではセイラムと呼ばれる魔女もジャンヌを無視できない。

 レオンはこのチャンスを逃さなかった。

 あとはジャンヌに任せて逃げるだけ。

その時だった。



 膝をついたジャンヌは、白い波によって広げた景色を見つめていた。

 木をなぎ倒し、大きい道が開いていた。まるで竜巻が木の道を切り開くように。

 今回のナリカケは、元の魔女が弱かったのもあったのか、聖女一人でどうにか退治できた。

それでも体力、『光』もかなり消耗していた。おまけに腹の傷口が広がり、深手を負う。

乱れた呼吸を落ち着こうと一息をついた時だった。

 バン!

 銃声が響いた。

 肩に衝撃がする。弾が肩に的中し、そのまま倒れてしまう。

 肩から血が流れる。これ以上出血しないために肩を押さえるが、生暖かい血は止まらない。

 後ろへ振り向けば、右腕を失ったセイラムが怒りを露わにし、銃を向けていた。

「よくも計画を潰しやがったな!」

 セイラムは顔を崩れるほど怒声を上げる。

「私に人間の武器を使わせたな!聖女が!」

 プライドの高い魔女は、下等な人間の武器を使ったことに許さないのだろう。

 セイラムが引き金を引くが、ガチっと音がして弾が出で来ない。弾切れだ。

「クソ!これだから人間の道具は嫌いだ!」

 セイラムは銃を捨てる。ジャンヌに近づき、肩の傷口に踏みつける。

「ぐ!」

 声を出せない呻き声を出す。

抵抗する力も出せない。セイラムはジャンヌが動かないことをいいことに踏みつける。

 このアマ。

血が止まらない。

空を見上げれば、風で吹き飛んだ雲が月を覆っている。運はこちらに向いていないらしい。

 その時、セイラムが急にジャンヌを飛び越えた。

 それは、地面から伸びた土の槍を避けるためだった。

 おしい。

「おいおい、八つ当たりとは見苦しいねえ。おばさん」

 声をした方へ向けば、アキセが銃を構えていた。

「たく。あの中性子。逃げ出したな」

 アキセは呟いた。おそらくレオンのことだろう。

「リリム風情が!私を見下すな!」

 セイラムが叫ぶ。

 計画が潰され、右腕を切られた。相当頭にきている。

「そんだけ傷負ったんだ・・・俺でも殺せるか試してみるか」

 セイラムは、ジャンヌから右腕を切られ、白い炎で浄化も進んでいる。それなりに重症はしている。あと一発『光』を与えば、浄化できるほどだった。

 見下したアキセが引き金を引こうとした時だった。

 アキセの背後から何かが横を通り、木にぶつかった。

 その正体はレオンだった。体中が傷だらけ、左腕と右足が折られている。

「これって…」

 アキセが振り返れば、あの時、毒の塊で死んだはずのサイクロプスが睨んでいた。

「げ!生きていたのか。あれ、猛毒なんだけど・・・」

 サイクロプスは、目が血走っており、口から泡を吹いている。

「ラギャム!この場にいる敵を殺せ!」

 セイラムはラギャムと呼ばれるサイクロプスに命令を下す。

「殺せえええええええええええええええええええええええええええ!」

 セイラムは声が枯れるほど叫ぶ。

 ラギャムはアキセと目が合う。

「イタクシタヤツダナ…」

さらに目を血走りする。

「ヤバ…」

 アキセは冷や汗をかく。

 ラギャムは拳を作り、アキセに向かってハンマーのように地面に叩きつける。

 アキセは、後ろへ避ける。

「クソ!死に損ないが!」

 アキセが銃を打ち出す前にラギャムが素早く手を伸ばし、アキセを体ごと握る。

大きく腕を上げ、アキセを地面に向かって投げる。地面にヒビが割れるほどの強打し、血反吐をはいた。

 彼の体は人間だ。あの強打で無事ではいられない。骨は確実に折っている。

「オマエナンカ!キライダ!」

 ラギャムが地面に向かって、拳を落とすも拳が止まった。

 陣が光っていた。一瞬で陣を書き、アキセの魔術の結界で拳を防ぐ。

「ムカツク!」

 逆鱗に触れたのか、ラギャムが拳で何度も殴りにかかる。爆発したように怒り狂う。

アキセは魔術で防いでいるが、あの攻撃では長くは持たないと予想が的中した。

 バリンとガラスが割れる音がした。結界が力まかせで壊された。

「オレガイチバン!ママニアイサレテイルンダアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 ラギャムが渾身の拳をアキセに向かうが、ぴたっと止まる。

 なぜ止まった。

「ママ・・・」

 ラギャムの視線がアキセではなく、視線を変える。

 怒り狂っていたセイラムが豹変した。怯えるような目だった。

 ジャンヌは、セイラムの向いた先へ視線を向く。

その先には女が優雅に歩いていた。

腰までに長い金髪。胸が黒いコルセットのようなもので留められている。腰に生えた黒い翼は黒く輝いている。腰に長いドレスのような黄色の布を巻き、左足に黒い紐が結んでいた。女は明らかに人間ではなかった。

「ママ…」

 ママ?セイラムのことではなかったのか。

 ラギャムが女に手を伸ばすが、女が目と合った瞬間、ラギャムが吹き飛んだ。あの巨大な生き物を目と合っただけで飛ばした。

 女は、地面に倒れているアキセへと近づく。

「あら、元気そうね。ガルム」

 女は、負傷しているアキセを気にせず、冷たく言う。

「お久しぶりです・・・お母様・・・」

 アキセは、冷や汗をかきながら言う。

 リリムであるアキセがお母さまと言った。


つまり彼女は、よきの魔女リリス・ライラ・ウィッチャーだということだった。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ