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アスレチックに行こう!

導入部分なので少し短いです。

今回のお話はほぼシリアスなしです。

勘兵衛、田吾作の職種が重なっていたので勘兵衛の方の職種を変更しました。

姉御にご注意①をご覧ください。

 少し天気の悪い空・カジュの村

 お昼の時間もすぎている時刻

 

 

 

「ねぇねぇ!連れてってよ!」

「頼むよ!さくや姉ちゃん!」

 

 村の子供のつばさ君とふぶき君が駄々をこねています。そんな二人に困り顔の村一番手先が器用なさくやさん。

 

 今日、子供達にお勉強を教えてたのはさくやさんでした。本日の授業内容は木を使った工作でした。子供達はそれぞれがノコギリと接着剤を使って工作を楽しんでいました。

 

 そんな授業の最後の質問の時間にさくやさんは言いました。

 

「私が子供の頃はよくアスレチック場に遊びに行ったのよ」

 

 その一言を聞いた好奇心旺盛な男の子二人は、さくやさんにそのアスレチックに連れてってと頼んでいるのです。

 

 

「連れてってあげたいのも山々なんだけど、私これから自分のお仕事があるんだよねぇ」

 

「「えぇ〜!!そんなぁ…」」

 

 さくやさんは午後からお仕事があるので、二人を連れていけません。つばさ君とふぶき君はその場でショボンと座り込んでしまいました。今日はお昼すぎに雨になる予報なので、外で遊べないからさくやさんにお願いしたのです。

 ちなみに日々の天気を予想するのは、この村一番の天気予報士いつきさんです。

 

 他の子供達のすずちゃん、まこちゃん、しのぶちゃん、みさおちゃんの四人は、はるかさんの家で折り紙とおままごとをしています。

 

「誰か他の人に……あ!」

 

 顎に手を当てて悩んでいるさくやさんの目に二人で歩いているの村の男を見つけます。

 

「仁、田吾作ー!ちょっといい?」

 

 さくやさんは大手を振って二人を呼びます。

 

「ん?呼びましたか?」

「どうしたん?」

 

 さくやさんの呼び掛けに答えた村一番頭のいい仁さんと村一番の洋服職人の田吾作さんです。着物以外は田吾作が全部仕立てています。

 二人はお昼を食べ終えた後の食休みで村をぶらついていた様です。

 

「丁度よかった。仁に頼みごとがあるんだけどいい?」

 

「僕にですか?まぁいいですよ。いつもさくやさんにはペンやら必要な実験器具やらいただいてますし」

「なんだよ。俺いらないじゃん」

 

 さくやさんの言葉に二人が答えます。

 

「丁度よく田吾作もいたからね、田吾作にも頼みたいことあるわよ」

 

「それで頼みごととはなんですか?」

「ついでかよ。まぁ別にいいけど」

 

 二人がさくやさんに頼みごとの内容を聞きます。

 

「実は今日ね、子供達に私たちが遊んでたアスレチック場の話したのよ。それでね、この二人がどうしても行きたいって言うのよ」

 

「なるほど、理解しました」

「え?ごめん、俺はわからないんだけど」

 

 仁さんは即座にさくやさんの頼みごとを理解します。田吾作さんはまだわからない様です。

 

「頼みごとってのはね、この二人を連れてって欲しいのよ。仁が送迎で田吾作が引率で頼みたいの。お願い!」

 

 さくやさんの頼みごととは、つばさ君とふぶき君をさくやさんの言うアスレチック場に連れてってあげてと言う事でした。

 

「わかりました。それぐらいならすぐにでも」

「俺も服の卸とかないからいいぞ。暇だし」

 

 二人は快く了承してくれました。

 そんな話を横目に見て聞いていたつばさ君とふぶ君がすぐに走って三人に近づきます。

 

「ほんとう!?やったー!!」

「やったね!」

 

 大はしゃぎです。

 

「それにしても懐かしいですね。最後に行ったのは…何年前でしたっけ?」

「まだ先代の村長が星間旅行に生身で行く前だったから……やべ、俺もわかんね」

「私も随分昔の事だったから…今日の授業の途中にふと思い出したのよね」

 

 三人が思い出に浸り始めます。

 

「あのアスレチック場にある遊具や施設は親切設計ですからね。子供達でも安全に遊べるでしょう」

 

「まぁ、万が一があるから俺が引率な訳だな」

 

「そゆこと」

 

 田吾作さんの意見に、指を立ててさくやさんが答えます。

 どうやら皆が言うアスレチック場は、小さい子供でも安心して遊べる遊戯場の様です。

 

「早く行こうよ!」

「早く早く!」

 

 つばさ君とふぶき君が催促をかけます。

 

「それでは二人とも田吾作さんの腕に捕まってください」

 

「「は〜い!!」」

 

 二人は田吾作さんの腕にしっかりと捕まります。

 

「それでは今から五時間経ったら村に戻ってくるようにしておきますよ?いいですね」

 

「五時間か、俺も久しぶりに遊んでくるか」

 

「あまりはしゃいじゃだめよ。田吾作は引率なんだから」

 

 仁さんがどうやら三人をアスレチック場に連れて行ってくれるようです。迎えに行く時間もしっかりと言っています。

 

「つばさ君とふぶき君、思う存分楽しんできてくださいね。あと田吾作さんも」

 

「「うん!!」」

「ついでかよ」

 

 仁さんが三人に楽しんでくるように伝えた後、指パッチんをします。

 直後三人の姿は村から消えました。

 

「ありがとね。わざわざ転移してもらっちゃって。本来だったらちゃんと歩いて向かわないといけないのに」

 

 どうやら仁さんは三人を魔法で目的地まで転移させてあげたようです。

 仁さんの他にも転移魔法を使える人は村にいるのですが、あまり使いません。

 何故なら、自分の足で歩いて仕事に向かったり、目的地に向かう事を是非としているからです。毎日仕事に向かう際の道途中でも、ある日何か素敵な物や人に出会うかもしれないからです。

 

 

「いえいえ、今日は雨が降るといつきおばさんが言ってましたし。風邪でも引かれたら大変です」

 

「そう言ってもらって助かるわ。そういえばさ仁、あのアスレチック場の名前覚えてる?私はどうやらど忘れしちゃったみたいでさぁ」

 

 さくやさんが、遠い記憶にあるアスレチック場の名称を仁さんに訪ねます。

 

「ん〜なんでしたっけ……確か…ーー」

 

 仁さんがアスレチック場の名前を答えます。

 

「タルタルソースみたいな名前ではなかったですかね?」

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 南の大陸にある大きな建造物

 その建造物の名前はタルタウス。

 世界に名だたる巨大迷宮である。

 

 大きな建造物であるのだが、内部に入ると巨大な空間が広がり、外観からは想像つかないほどの高さまで階層が連なっている。階層の数はおそよ100階層。タルタウス迷宮は、一つの階層の踏破に何ヶ月もかかる場合もあるほどの階層が100まである巨大迷宮。

 各階層には数多の罠と魔物が所狭しと配置されており、踏破するのは至難の技であった。

 

 しかし、これまで何人もの人間がこの迷宮に挑んでいた。何故なら迷宮内には、巨万の富を得られるほどの金銀財宝が眠っていると言われているからだ。

 挑戦する人たちは30階層半ばで断念したり、悪いと命を落とす者まで出ている。

 何故この迷宮が南の大陸に存在するのかは誰も知らない。世界が創生された時よりあるとも言われている。

 

 そんなタルタウス迷宮の半分50階層まで上り詰め様とする人物がいた。

 

 一人の男性であった。

 

 年は30歳半ばと言える見た目、背中には旅道具でも入っていると思われる荷物を背負い、腰には湾曲した剣が布に巻かれくくりつけられている。

 

 男性の名前はシャルディナ。

 彼はトレジャーハンターである。手に入れた財宝で生計を立てる命知らずの男だ。

 トレジャーハンターになる前、彼は凄腕の傭兵でもあった。ある日迷宮の虜となってしまい、現在もタルタウス迷宮に挑んでいた。

 踏破困難な迷宮を踏破するのを目的に何度も挑み続けていた。

 

 そして彼はとうとう50階層に続く階段の前に立っている。

 

「ここからが本当の地獄か…」

 

 階段を見上げて呟く。

 それは再度覚悟を決めるためであった。

 

 喉を鳴らすほどの唾を飲み込み彼は、階段に足をかけた。

 すると、階段が設けられている上から彼の耳に声が届く。

 

「うわぁぁぁ!」

「うぉぉぉおおおお!」

 

 彼はその声を聞いてすぐに階段を駆け上る。

 子供の叫び声であった。まだ幼い子供の声。

 彼は何故こんな場所にと思いながら手に剣を持ち50階層へと足を踏み込んだ。

 

 襲われていると思われる子供達を助けるために踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?他のお客さんもいましたか?」

 

 シャルディナは唖然としていた。

 

「ねぇねぇ!おじさん!あっち!あっち行っていい!?」

「おじさんじゃない!お兄さんと呼びなさい!!」

 

 シャルディナは未だ唖然としていた。

 

「見て見てぇ!この動物とっても人懐こいよ!!」

「お前…それは懐かれてんじゃなくて噛まれてんだよ」

 

 子供の頭にかじりついていたのは体長3mは超えるであろう獰猛な魔物である。

 シャルディナは意識を失いかける。

 

「ほら!二人とも他のお客さんもいるんだから少し静かにしろー!迷惑だぞー!」

 

「「はーい!」」

 

 

 シャルディナが唖然とし気を失いかけ硬直してしまったのは、50階層に広がる光景に理由があった。

 一人の男性と二人の子供。

 死と隣り合わせの迷宮にいるはずない子供を連れていたのは、これまたいるはずない荷物一つ持たない男性。

 

「いやはや、すいませんね。他に人がいると知らなくて…ほら二人とも挨拶しなさい」

 

「「こんにちは」」

 

 シャルディナは理解できずに三人に目を泳がせていた。50階層からはこのような事が起きるのかと考え出していた。

 そんな考えをしていた時にシャルディナは口を開き言う。

 

「な…なんで…こんなところに…!?」

 

 それは率直な疑問であった。

 

「ん?ここに来た理由ですか?えーと、今日は雨が降りそうだったので屋内に設置されているアスレチック場で子供達を遊ばせようと思いましてね」

 

 この場に似つかわしくない言葉であった。

 どこの世界に雨が降るから迷宮に遊びにいくと言う人間がいる。目の前にいるが。

 

 シャルディナは未だ困惑をしていたが、なんとか現状の把握に勤しんだ。

 引率と思われる男性は、そんなシャルディナを不思議そうな顔して見ている。

 二人の子供は迷宮内を走り回っていた。一人は未だに頭に魔物がかじりついたままで。

 

 

 一人のトレジャーハンターと三人の村人。

 

 

 

 

 今回のお話は、そんな彼らが主役となります。

 

 

 

 

 


スポーツでなく、自由に外を駆け回らなくなった事を思い出し書きました。

あの頃のように無邪気に遊びたい物です。


迷宮の名前は、奈落を意味するタルタロスから参考にしました。



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