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『高卒で人生終了?――伝説の投資家に資本主義の裏ルールを学んだ俺、4年で資産1億円を築いて元同級生を見返します』  作者: 月神世一


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EP 5

10月1日内定式のドヤ顔と、全自動裏アカ特定AI(リスクスコープ)で純資産6億5,000万円突破!

 十月一日、木曜日。

 日本全国の主要都市で、来春入社を控えた大学四年次生たちの「秋季内定式」が一斉に挙行された。

 大手町や品川、丸の内のオフィス街には、仕立てたばかりの真新しいリクルートスーツに身を包み、誇らしげに内定通知書のフォルダーを抱えた学生たちの姿が溢れかえっていた。

 だが、正午のサイレンが鳴り響いた三晃紙器工業の第一工場・社員食堂の空気は、爽やかな秋の青空とは真逆の、ドロドロとした嫉妬と阿鼻叫喚の業火に包まれていた。

「……ぎゃあぁぁぁっ! 内定式! スーツ着て高級ホテルで飯食ってる同級生のSNSで、俺の網膜が焼き切れそうだぁぁぁっ……!!」

 パイプ椅子を派手に蹴倒して床に突っ伏し、スマホのタイムラインを血走った目で見つめながら床板を両手でバンバンと叩いていたのは、同期採用四年目の山岸だった。

 今年で二十一歳になった山岸だが、作業着の袖口を涙と鼻水で濡らし、目の下に張り付いた三重の隈を痙攣させている。

「おい山岸、床で暴れるな。埃が舞って弁当に入るだろ」

 俺――倉科湊が、保温ランチジャーから熱々の豚汁と、母が持たせてくれた若鶏の治部煮と丹波の黒豆ご飯弁当を取り出しながら声をかけると、山岸は鬼のような形相で俺の足元へ這いずり寄ってきた。

「埃どころの騒ぎじゃねえよ倉科ぁぁぁっ!

 今日、十月一日……大学四年組が待ちに待った【内定式】当日だぞ!?

 高校の同級生たちのインスタとX(旧Twitter)を見ろよ!

 帝国ホテルやパレスホテルの大宴会場で、金屏風の前で内定証書を掲げた写真!

 『東証プライム大手の内定式わず! 夜は同期と銀座で祝勝会!』『春からは丸の内勤務のメガキャリアウーマンになります!』って、ワイングラス掲げたキラキラ写真の絨毯爆撃だ!

 その一方で、俺たちの現実を見ろよ!

 先月の社会保険料改定で手取り十二万円台に落とされ、今日から十月だからビールや発泡酒の酒税が引き上げられて晩酌すら奪われ、これから寒くなれば灯油代と暖房の電気代で一発破産だぞ!?

 片や十万円のスーツを着て一流ホテルでフレンチ食って内定式、片や四年目の作業着で底上げ弁当食って手取り十二万……!

 なんで同じ高校を卒業して四年で、こんな天と地ほどの身分格差がついちまうんだよぉぉぉっ!!」

 周囲のベテラン工員たちも、手元のスマホを苦々しい顔で見つめながら「大企業の内定式は華やかでいいよな」「うちの息子も今日内定式だけど、初任給で親孝行するって息巻いてたよ」「こっちはインフルエンザの予防接種代四千円すら惜しいってのにな」と、力なくため息をついて安売りのカップうどんをすすっている。

 俺は小さく息を吐き出し、温かいほうじ茶を一口喉へと流し込んだ。

「山岸。中学生でもわかる、内定式の演出効果と新卒囲い込みの算数をしよう」

「算数なんか聞きたくねえ! 俺にもホテルのフレンチを食わせろ!」

「食わせるわけがない。

 そもそも、企業がパレスホテルや帝国ホテルを押さえて豪華な内定式を開く本質は、学生を歓迎するためではなく【他社への内定辞退を防ぐための心理的ロックオン(返報性の原理)】だ。

 一人あたり数十万円のコストをかけて豪華な演出を見せつけることで、『自分は選ばれたエリートなんだ』というプライドを満たし、入社までの半年間に内定を辞退させないように首輪を締め直しているに過ぎない。

 そして来年の四月に入社式を終えた瞬間、その『お客様扱い』は跡形もなく消え去り、手取り二十万円の過酷なノルマと満員電車、そして理不尽な社内政治のラットレースが始まる。

 他人が用意した豪華な舞台装置に酔いしれ、自分がただの『資本の歯車(コスト)』に過ぎないことに気づけない連中は、四年制大学を出ていようが、一生他人の手のひらの上で踊らされ続けるんだよ」

「ぎゃあぁぁぁっ! エリートたちの晴れ舞台を首輪の締め直しとか言うなよぉぉぉっ!!」

 耳を塞いで食堂の隅へと逃げ出していく山岸。

 山岸は震える指でスマホを取り出し、自暴自棄に画面をスクロールした。

「……あ、そういや倉科! 内定式に出て調子に乗ってる同級生連中、裏アカでとんでもない暴言吐きまくってるぜ……!」

「暴言?」

「ああ! 鍵付きの裏アカウントで『内定式の社長の話クソ長くてワロタw』『配属希望に地方工場とか書く奴マジで情弱w俺は絶対本社一択w』って、企業の悪口と配属マウントを連投してやがるんだ!

 さらに『高卒四年目で工場勤務の倉科や山岸、今頃油にまみれて機械のオイルでも啜ってんのかなw負け組の人生ってマジで哀れw』って、俺たちの実名を晒してゲラゲラ笑い合ってんだよ!

 あいつら……内定証書を盾にして完全に無敵の人になった気でいやがって、悔しくて胃液が逆流しそうだぜぇぇっ!!」

 他人の傲慢さに歯ぎしりし、パイプ椅子を殴りつける山岸。

 だが、その山岸自身も、手取り十二万円と秋の物価高に怯えて震えているのだ。

(山岸、お前には見えていないんだよ。

 東京の内定者どもが金屏風の前で内定証書を掲げ、裏アカで高卒の俺たちを嘲笑っている横で……

 あいつらが内定式でタップしている専用タブレットと社内Wi-Fiの背後で、今夜どんな【完全自動裏アカ特定・コンプライアンス判定AI】が作動しているのかがな)

 同級生たちが大学を卒業し、社会に出て自らの市場価値の低さに絶望するまでの、残り百八十日。

 前話(第79話)で、東証プライム企業連合六十社との内定式包括DX契約を締結し、確定総純資産は【6億1,500万円】を突破。

 そして本日十月一日――全国の大手企業の内定式本番で、俺たちが仕掛けた【真のトラップ】が静かに発動した。

「定時で上がるぞ。今夜、あいつらの無敵の仮面を剥ぎ取る」

 午後十七時零二分、定時退社。

 タイムカードをパチンと切った俺は、秋の心地よい夕暮れの風を切り裂き、地方都市の駅前に構えたミナト・ホールディングスのオフィスへと自転車を疾走させた。

 ◇ ◇ ◇

 午後十七時三十分、合同会社ミナト・ホールディングスのオフィス。

 ダイキンの最新エアコンが静かに二十四度の快適な室温を保ち、ディフューザーからはペパーミントとベルガモット、そして上品な白檀と完熟和栗の甘やかなアロマがふわりと漂っていた。

「湊くん……! お帰りなさい!」

 扉を開けると、そこには白石詩織が待っていた。

 淡いマロンブラウンの上質なカシミヤ混タートルネックニットに、清楚なチェリーレッドのチェック柄ロングプリーツスカート。

 ショコラブラックの豊かな髪を首元ですっきりとハーフアップにまとめ、黒縁メガネを外した大きな茶褐色の瞳が、夕陽を浴びてキラキラと輝いている。

 二十一歳の洗練された美しさと落ち着きをたたえ、株式会社スタジオ・シオリの代表取締役としても堂々たるオーラを放っていた。

 部屋に入った瞬間にふわりと広がる甘い石鹸と和栗のアロマに、俺の心拍計がピクリと跳ね上がる。

 デスクの上には、最新のM4搭載iPad Proと、湯気を立てる特製の耐熱グラスが用意されていた。

「白石、待たせたな」

「ううん、全然待ってないよ! 湊くん、工場のライン作業お疲れ様……!

 これ、外はすっかり風が冷たくなってきたでしょ? 買収したハーブ園の無農薬カモミールと、丹波産の完熟焼き栗をじっくり煮出した『特製ホットハニーマロンロイヤルミルクティー』だよ! 温かいうちに飲んでね!」

「サンキュー、白石。生き返るよ」

 グラスを受け取り、一口喉へと流し込む。

 焼き栗の香ばしく濃厚な甘みと、カモミールの優しい香り、そして上質なミルクのコクが、冷えた身体の芯までじんわりと温めていく。

 めちゃくちゃうまい。

 だが、俺は彼女の華奢な指先に、内定式リアルタイムトラフィック監視およびセキュリティダッシュボードの集中UI監修による微かな強張りがあるのを見逃さなかった。

(……いかんな。また俺の経営者センサーが過敏に作動している)

 俺はデスクの引き出しから、あらかじめ用意しておいた重厚な桐箱をスッと取り出し、詩織の前に差し出した。

 京都の老舗名門サロンが完全予約制で仕立てた『最高級・特選丹波和栗と金箔宇治濃茶の極上生絞りモンブランパフェテリーヌ』と、高密度ナノグラフェン温熱と超音波ナノミスト温冷機能で指先から手根管までを深層ケアする最新型コードレスメディカルハンドエステ機だ。

「ほら、白石。これを受け取れ」

「えっ……!? これ、すごく細い糸みたいに和栗がたっぷり絞られた生モンブラン……! それに、最新のエステ機……!?

 湊くん、私がお茶を出しただけなのに、どうしていつもこんなに高価なものをくれるの……?」

「勘違いするなよ」

 俺は腕を組み、冷徹な仮面を必死に張り直して早口でまくしたてた。

「中学生でもわかる組織財務と全国一斉内定式トラフィック防衛に伴う人的資本BCP防衛の講義だ。

 純資産六億円を突破した我がグループの最高アートディレクター(お前)が、秋の急激な寒暖差によって浅指屈筋および手根管周辺の柔軟性を低下させ、本日稼働した全国六十社向け内定式セキュリティログ解析ダッシュボードの最終ベクター検収を〇・四秒遅延させた場合、サーバー負荷分散の検知遅れに伴う事業機会損失は【試算で最低でも月額九千五百万円】に跳ね上がる!

 丹波和栗の高純度ビタミンB1と食物繊維による代謝促進、ならびにグラフェン温熱による指先の微細神経機能維持は、グループ中核クリエイターの【中長期的アジリティを担保するための戦略的初秋BCP防衛および役員福利厚生投資経費】だ!

 お前への甘やかしなどではない!

 今夜生み出される何億円ものSaaS純利益から逆算すれば、このモンブランテリーヌ代などROI(投資対効果)は【実に十三億%】を超える!

 極めて合理的でドライな財務上の防衛支出だから、一ミリも遠慮せず胃袋に収めて手を突っ込め」

 息をつかずに言い切った俺の、世界一長くて過保護な言い訳。

 詩織は桐箱を胸にぎゅっと抱きしめ、目をパチクリさせて聞いていたが――やがて、その桃色の唇をふにゃりと綻ばせ、クスクスと愛おしそうに笑った。

「ふふっ……あはは! セキュリティログ……? ROIがじゅうさんおくパーセント……?

 湊くんの言い訳、本当に世界一長くて……世界一甘くて幸せだよ!」

「な、何がおかしい。純粋な企業防衛だぞ」

「うん、そうだね! じゃあ私、湊くんの『防衛経費』で美味しく手をポカポカにして、十三億パーセントのお返しができる世界一可愛いデザインを描き続けるね!

 ……あ、湊くん! モンブラン、お栗のクリームがすっごくフワフワで金箔がキラキラだよ! はい、あーん!」

 フォークに濃厚な和栗のクリームと宇治濃茶テリーヌをたっぷり乗せ、夕陽に照らされた満面の笑顔で差し出してくる詩織。

 至近距離から漂う芳醇な栗のアロマ、彼女自身の透き通るような白い肌、潤んだ茶褐色の瞳。

「お、おい……自分で食える……」

「ダメー! 内定式完全制覇の景気づけなんだから! ほら、あーん!」

 観念して口を開けると、濃厚でホクホクとした和栗の自然な甘みと、ビターな抹茶の深いコクが口いっぱいに広がった。

 めちゃくちゃうまい。

 そして――心拍数が異常なスピードで跳ね上がり、俺の脳内プロセッサが完全に一時停止しかける。

(……ダメだ。この女の『あーん』の破壊力は、資本主義のどんな強固なセキュリティをも一瞬で溶かしてしまう……)

「ふふっ、美味しい? 湊社長!」

「……ああ、最高だ。……よし白石、本題に入るぞ」

 ◇ ◇ ◇

「白石、今から中学生でもわかる、大企業の人事セキュリティの最前線――【内定者コンプライアンス&裏アカ自動特定AI(ミナト・リスクスコープ)】の算数をしよう」

 俺はノートPCを開き、ホワイトボードの前に立った。

「本日十月一日、全国の大手企業の内定式で、学生たちに配布された内定者専用タブレットと社内Wi-Fiポータル。

 そこに実装されていた、俺たちの最新セキュリティモジュール――

 ――【『ミナト・リスクスコープ(SNS炎上・コンプラ違反予兆AI)』】だ!」

「リスクスコープ……?」

 詩織が大きな瞳を見開いた。

「そうだ。

 近年、大企業が最も恐れているのは、内定者が内定式後にSNSの裏アカウントで『社外秘の研修資料をアップする』『配属や人事の悪口を書き込む』『不適切発言で炎上する』という、コンプライアンス爆弾だ。

 そこで俺たちのシステムは、内定者が専用ポータルに登録したプロファイルをベースに、公開・非公開を問わずWeb上のテキストデータ、行動パターン、構文特徴量を自然言語AIで自動照合。

 『この内定者が裏アカウントで社外秘や同期への誹謗中傷を書き込んでいる確率』を【即座に99.4%の精度で特定】するんだ!」

 カタカタ、ターンッ!

 俺はエンターキーを叩き、大手メガIT企業の人事役員向けダッシュボードを大画面に映し出した。

【内定者コンプライアンス・リアルタイムアラート(本日検知)】

・内定者A(大学同期・マウント主犯):

 裏アカウント『@tokyo_elite_xxxx』を特定。

 内定式直後に「社長の話クソ長くてワロタw」「高卒四年目で工場勤務の倉科や山岸は一生負け組w」等の不適切投稿、社外秘スライドの盗撮写真をアップロード。

 ⇒ 【コンプライアンス判定:重度違反(ランクF)】

 ⇒ 【AI推奨アクション:内定取り消し審査会への自動送致、または地方過酷支社への強制左遷】

「……っ!! 山岸くんが言ってた裏アカウント……もう全部特定されてるよ……!?」

 詩織が息を呑んだ。

「当たり前だ。

 他人のインフラの上で踊りながら、安全圏から石を投げたつもりになっている阿呆どものログなど、サーバーの管理者から見れば一秒で丸裸だ。

 人事役員たちからは『内定式当日に火種を特定できた! 損害賠償数億円を防ぐ神機能だ!』と絶賛され、

 このコンプライアンスモジュールの追加導入により、東証プライム六十社から【一社あたり年間100万円・計6,000万円】の追加ライセンス料が即日一括着金した!」

 俺は電卓アプリをタップした。

「さらに、老舗温泉旅館『翠月亭』の十月紅葉フル稼働確定純利、古民家茶房『花咲庵』の和栗・焼き芋スイーツ特需、D2C定期便、メディア連合の収益が全方位から雪崩れ込み――

 今夜、俺たちの総資産はさらなる超絶領域へ到達した!」

 カタカタ、ターンッ!

 俺は資産管理スプレッドシートの最終統合確定ボタンをクリックした。

【合同会社ミナト・ホールディングス グループ連結資産集計(10月1日内定式速報)】

・前回までの確定総純資産:615,000,000円

・『ミナト・リスクスコープ』60社追加ライセンス純利益:+36,000,000円(納税引当後実質プール分)

・老舗旅館『翠月亭』紅葉フル稼働確定純利益:+19,200,000円

・古民家茶房『花咲庵』秋スイーツ特需純利益:+8,100,000円

・BtoBエンタープライズ+大学包括+配属SaaS月割純利益:+24,500,000円

・個人向け就活SaaS+メディア連合+D2C定期純利益:+25,100,000円

・月額アカデミー(MRR 660名分純利益):+6,500,000円

・コア資産運用配当&米国債利息:+1,220,000円

・東証プライム主要株主配当金(月割り分):+1,800,000円

・法人税・消費税追加納税引当プール金:▲84,920,000円

★ 確定総純資産残高(純資産ベース):【652,500,000円(祝・純資産6億5,000万円突破!)】

★ グループ運用総資産規模(バランスシート総額):【13億2,840万円(総資産13億円突破!)】

★ グループ月間経常純キャッシュフロー:【+1億3,200万円(月利1億3,200万超え!)】

「……ろ、ろくおく……ごせんにひゃくごじゅうまん……!! そして総資産は十三億円だよぉぉぉっ!!」

 詩織は歓喜の悲鳴を上げ、勢いよく俺の胸元へと飛び込んできた。

 至近距離で弾む少女の息遣いと、柔らかなカシミヤニットの温もり。

 俺の心拍計が激しく跳ね上がり、脳内プロセッサが心地よい熱を帯びる。

「二十一歳で純資産六億五千万円……!

 あいつらが誇らしげに受け取った内定証書も、裏アカの愚痴も、全部湊くんのシステムで監視されてたんだね……!」

「ああ。あいつらがいくらドヤ顔でワインを飲もうが、その首根っこを掴んでいるのは俺たちだ。お前が作ってくれた完璧なUIとデザインのおかげだよ、白石」

 俺は胸元で抱きついてくる詩織の背中を優しく撫でた。

 夕暮れのオフィスに、二人だけの温かく甘い至福の時間が静かに流れていた。

 ◇ ◇ ◇

 午後二十一時、地方都市の小高い丘の上に建つ、九条源蔵の屋敷。

 広大なリビングで、俺が提示したコンプライアンス解析レポートと『652,500,000円』の資産管理シートを見つめていた源蔵が、ふっと老眼鏡を外した。

 そして――。

「……カッカッカッ!! ワッハッハッハッ!!」

 屋敷の太い梁をビリビリと震わせるほどの、豪快な大爆笑が秋の夜空に轟いた。

 源蔵はバシバシと欅の一枚板テーブルを叩き、テーブルを揺らした。

「内定式でイキがる阿呆どもの裏アカを丸裸にして、さらに六千万毟り取ったか!

 ワッハッハッハッ! 痛快だ湊!

 金屏風の前でドヤ顔したその日のうちに、企業の人事役員に首輪の鎖を絞め上げられる……

 ケッ、完全に自分が檻の中にいることすら気づかねえ哀れなピエロどもじゃねえか!」

「ええ。人事役員たちも『入社前に問題分子を特定できて助かった』と胸を撫で下ろしています。

 純資産は六億五千二百万円、月間純キャッシュフローは一億三千二百万円に達しました」

「ケッ! 月利一億三千万か! 工場の初任給の約九百三十年分を毎月口座に叩き込む怪物の誕生だな!」

 源蔵のぎょろりとした鋭い眼光が、獲物を仕留める直前の猛獣のようにギラリと光った。

「いいか湊。二十一歳にして日本の全世帯の上位〇・一%の絶対頂点に君臨した今、

 手取り十二万に怯える山岸や、内定証書を掲げて有頂天になる同級生どもが、何万回生まれ変わっても拝めねえ【六億五千万円の絶対王者の絶景】へ、てめえは到達した!

 来春の卒業式まで、残り百八十日!

 このまま圧倒的な資本の暴力を研ぎ澄まし、あいつらが手取り二十万の社畜として社会に出てくるあの日、完全なる【人生の最終回答】を叩きつけてやれ!」

「はい、じいさん!」

 俺の力強い咆哮が、秋の静寂を切り裂いた。

 窓の外を見上げると、澄み切った秋の夜空に、神々しいまでの満月が輝いていた。

 高校卒業から三年と半年。

 同級生たちが大学を卒業し、社会に出て自らの市場価値の低さに絶望するまでの、残り百八十日。

 手取り十四万の食品工場ライン工社長と、覚醒した天才美少女絵師。

 純資産六億五千万円を突破し、総資産十三億円の要塞を手に入れた二人の快進撃は、ここから来春の卒業式へ向けた「絶対王者の最終回答」という、伝説のフィナーレへと突き進んでいく!

【現在の倉科湊ステータス】

・年齢/肩書:21歳/食品工場ライン工・合同会社ミナト・ホールディングス 代表社員(祝・純資産6億5,000万突破!)

・総資産残高:652,500,000円(前話比:+37,500,000円 ※コンプラSaaS追加ライセンス+紅葉旅館+MRR)

・グループ運用総資産:1,328,400,000円(バランスシート13億円完全突破!)

・月間不労/事業キャッシュフロー:+132,000,000円(グループ連結月間純利益・過去最高益更新!)

・【今日の源蔵のマネー格言】:「内定証書を掲げて裏アカで愚痴る奴らはただの哀れなピエロ、その裏アカを特定して企業の安全を守り数千万円を抜く奴が真の資本家だ。首輪を締め上げられた奴らがどれだけイキがろうが、来春の卒業式での答え合わせは完全なる処刑台になるんだよ!」

読んでいただきありがとうございます。

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