EP 7
住民税の「2年目の崖」に絶叫する社畜と、就活AIのBtoBエンタープライズ化で純資産2億5,000万円突破!
五月下旬、初夏の陽光が青葉を鮮やかに照らし、吹き抜ける風には早くも夏の匂いが微かに混ざり始めていた。
だが、正午のサイレンが鳴り響いた三晃紙器工業の第一工場・社員食堂の空気は、初夏の爽快感など微塵も感じられない、この世の終わりのような阿鼻叫喚に包まれていた。
「……お、終いだ……。来月、俺の手取りが一年目の初任給より下がる……! こんな理不尽な世界があっていいのかよぉぉぉっ……!!」
パイプ椅子に突っ伏し、総務から配られたばかりの【給与改定および住民税額決定通知書】の小さな圧着ハガキを握りしめ、床を両手でバンバンと激しく叩いていたのは同期採用二年目の山岸だった。
作業着の襟首を涙と鼻水で濡らし、血走った目で天井を仰いでいる。
「おい山岸、床を叩くな。埃が舞って弁当に入るだろ」
俺――倉科湊が、保温ランチジャーから熱々の豚汁と、母が持たせてくれた若鮎の塩焼きと新生姜の炊き込みご飯弁当を取り出しながら声をかけると、山岸は鬼の形相で俺の足元へ這いずり寄ってきた。
「埃どころの騒ぎじゃねえよ倉科ぁぁぁっ!
先週、自動車税四万円の支払いで預金残高が【三百円】になったばかりなのに……!
総務から届いたこのハガキを見ろよ! 六月の給料から、新たに【住民税】が毎月一万二千円も強制天引きされるって書いてあんだよ!
四月の昇給は月千五百円だったんだぞ!?
千五百円しか上がってねえのに、住民税で一万二千円引かれたら……
二年目の手取り、一年目の初任給より【一万五百円もマイナス】じゃねえか!!
真面目に一年間、油と段ボールまみれになって働いて、夜勤まで入って仕事を覚えたのに……なんで去年より給料が減るんだよ!
国も会社も、汗水垂らして働く労働者をバカにしてんのかぁぁぁっ!!」
周囲の若手やベテラン工員たちも、手元の住民税通知書を見つめながら「二年目の六月は本当に死ぬよな」「昇給分なんて住民税で一瞬で吹き飛ぶんだよ」「ここから手取り二十万に行くまで十年以上かかるからな」と、死んだ魚の目で安売りのカップ焼きそばをすすっている。
俺は小さく息を吐き出し、温かいほうじ茶を一口喉へと流し込んだ。
「山岸。中学生でもわかる、住民税課税のタイムラグと『二年目の崖』の算数をしよう」
「算数なんか聞きたくねえ! 俺の手取りを戻せ!」
「戻せと言っても日本の税制ルール通りだ。
住民税はな、前年の【一月一日から十二月三十一日までの所得】に対して課税され、翌年の六月から翌々年の五月にかけて毎月の給料から分割徴収される後払いシステムだ。
新卒一年目の五月までは前年の所得がない(あるいは学生時代の微々たるバイト代のみ)ため住民税がほぼ非課税だが、二年目の六月からは、一年目に稼いだ給料全額に対して課税された住民税がフルスペックで天引きされる」
俺はテーブルの紙ナプキンにペンを走らせた。
「昇給が千数百円程度の企業であれば、住民税の天引き額の方が遥かに大きいため、二年目の六月の手取りが一年目より一万円以上下がる【二年目の崖】に叩き落とされるのは数学的必然だ。
そして来月には、社会保険料の計算基礎となる『四・五・六月の標準報酬月額』が確定し、秋以降の社会保険料もさらに引き上げられる。
昇給した気になって生活水準を上げ、後からやってくる税金のタイムラグを計算できない労働者は、生涯にわたって国家の徴税トラップに搾取され続けるように設計されているんだよ」
「ぎゃあぁぁぁっ! 税金の罠で俺の首を絞めるなよぉぉぉっ!!」
耳を塞いで食堂の隅へと転がり込んでいく山岸。
山岸は震える指でスマホを取り出し、自暴自棄に画面をスクロールした。
「……あ、そういや倉科! いよいよ来週【6月1日の就活内定解禁】を迎える、大学四年組の地獄を見たかよ……!?」
「同級生たちがどうした?」
「もう完全な地獄の底なし沼だぜ!
六月一日からの最終面接解禁を前に、持ち駒がゼロになった私立文系の同級生連中、ノイローゼで狂乱状態なんだよ!
『早期内定を持ってる早慶の友達が羨ましくてLINEを全員ブロックした』『お祈りメール百五十通超えて、面接官の顔を見るだけで過呼吸で吐く』って、タイムラインが断末魔の嵐だ!
産廃処理場へ売り飛ばされた金子拓海も、重機のアタッチメントで腰を粉砕して入院したらしいけど、保険証を親方に握られてるから治療費全額自腹で、日当ゼロで借金がまた五十万増えてベッドの上で発狂してるらしいぜ!
佐伯凛も、詐欺副業の三十万のリボ払いが焦げ付いて、怪しい闇金まがいの業者から督促状が連日届いて、親からも完全に見捨てられてボロアパートで震えながら電気止められてるってよ!
あいつら……東京でエリート気取って俺たちを見下してた連中が、六月の一斉内定解禁の日に全員揃って社会的に抹殺されていくのを見るのだけが……俺の唯一の生きる希望なんだよぉぉぉっ!!」
他人の転落を唯一の精神安定剤にして、自分の貧困から目を背ける山岸。
だが、その山岸自身も、来月の住民税天引きで手取り十三万円台へ逆戻りする恐怖に震えているのだ。
(山岸、お前には見えていないんだよ。
社畜たちが住民税の天引きに怯え、大学生たちが六月一日の就活内定解禁で命を削り合っている横で……
目の前にいる高卒二年目のライン工が、今夜どんな【超巨大なBtoBエンタープライズ契約】を結ぼうとしているのかがな)
前話(第71話)で、有価証券担保融資の無税キャッシュ四千万円を活用して老舗高級温泉旅館『翠月亭』を買収・再生し、確定総純資産は【2億218万円】を突破。
月間純キャッシュフローは四千三百万円ペースを記録している。
就活生向けの個人向けAIツール(CtoC)で爆発的なシェアを握った俺たちが、次なる超富裕層(五億円)へのジャンプ台として仕掛けた一手――
それこそが、六月の採用選考解禁に怯える【採用側の東証上場企業群に向けたBtoBエンタープライズSaaSの展開】だ。
「定時で上がるぞ。今夜、俺たちの城は就活市場の『プラットフォーマーの頂点』へ登りつめる」
午後十七時零二分、定時退社。
タイムカードをパチンと切った俺は、初夏の夕暮れの爽快な風を切り裂き、地方都市の駅前に構えたミナト・ホールディングスのオフィスへと自転車を疾走させた。
◇ ◇ ◇
午後十七時三十分、合同会社ミナト・ホールディングスのオフィス。
ダイキンの最新エアコンが静かに二十四度の快適な室温を保ち、ディフューザーからはペパーミントとベルガモット、そして上品な白桃とジャスミンのアロマがふわりと漂っていた。
「湊くん……! お帰りなさい!」
扉を開けると、そこには白石詩織が待っていた。
淡いアプリコットベージュの上質なフレンチスリーブサマーニットに、初夏の風にふわりと揺れる清楚な純白のシフォンギャザースカート。
ショコラブラックの豊かな髪を首元ですっきりとハーフアップにまとめ、黒縁メガネを外した大きな茶褐色の瞳が、夕陽を浴びてキラキラと輝いている。
すっかり垢抜けて洗練されたその姿は、雑誌のカバーを飾るトップモデルのように神々しく可憐で、株式会社スタジオ・シオリの代表取締役としても誰もが息を呑むような大人の気品を放っていた。
部屋に入った瞬間にふわりと広がる甘い石鹸とアロマの香りに、俺の心拍計がピクリと跳ね上がる。
デスクの上には、最新のM4搭載iPad Proと、氷を浮かべた特製の耐熱グラスが用意されていた。
「白石、待たせたな」
「ううん、全然待ってないよ! 湊くん、工場のライン作業お疲れ様……!
これ、外はすっごく暖かかったでしょ? 買収したハーブ園の無農薬スペアミントと、山梨県産の初摘み完熟白桃をまるごと絞った『特製アイスホワイトピーチモヒートラテ』だよ! 冷たいうちに飲んでね!」
「サンキュー、白石。生き返るよ」
グラスを受け取り、一気に喉を潤す。
白桃の芳醇でみずみずしい甘みと、ミントの爽快な刺激、そして上質なミルクのまろやかさが、渇いた身体の隅々までじんわりと染み渡っていく。
めちゃくちゃうまい。
だが、俺は彼女の華奢な指先に、上場企業向けエンタープライズ管理画面の最終UI/UXデザイン監修による微かな強張りがあるのを見逃さなかった。
(……いかんな。また俺の経営者センサーが過敏に作動している)
俺はデスクの引き出しから、あらかじめ用意しておいた重厚な桐箱をスッと取り出し、詩織の前に差し出した。
銀座の老舗名門サロンが初夏限定で一日三箱のみ仕立てた『最高級・完熟完熟白桃とフランス産発酵バターの極上クリスタルタルトテリーヌ』と、高密度EMS低周波パルスと温熱で指先から手根管までを深層ケアする最新型コードレスメディカルハンドエステ機だ。
「ほら、白石。これを受け取れ」
「えっ……!? これ、すごく大きな白桃がバラの花びらみたいに敷き詰められたタルト……! それに、最新のエステ機……!?
湊くん、私がお茶を出しただけなのに、どうしていつもこんなに高価なものをくれるの……?」
「勘違いするなよ」
俺は腕を組み、冷徹な仮面を必死に張り直して早口でまくしたてた。
「中学生でもわかる組織財務とBtoB超大型エンタープライズ調印に伴う人的資本BCP防衛の講義だ。
純資産二億円を突破した我がグループの最高アートディレクター(お前)が、初夏の急激な気温上昇によって浅指屈筋および背側骨間筋の柔軟性を低下させ、これから締結される東証プライム上場企業向け採用DXプラットフォーム管理画面の最終UIベクター検収を〇・四秒遅延させた場合、東証プライム三十社との年間包括ライセンス契約に伴う機会損失は【試算で最低でも月額四千万円】に跳ね上がる!
完熟白桃のペクチンとクエン酸による疲労物質の急速キレート排出、ならびにグラフェン温熱による指先の微細神経機能維持は、グループ中核クリエイターの【中長期的アジリティを担保するための戦略的初夏BCP防衛および役員福利厚生投資経費】だ!
お前への甘やかしなどではない!
今夜生み出される何億円ものSaaS純利益から逆算すれば、このタルトテリーヌ代などROI(投資対効果)は【実に五億%】を超える!
極めて合理的でドライな財務上の防衛支出だから、一ミリも遠慮せず胃袋に収めて手を突っ込め」
息をつかずに言い切った俺の、世界一長くて過保護な言い訳。
詩織は桐箱を胸にぎゅっと抱きしめ、目をパチクリさせて聞いていたが――やがて、その桃色の唇をふにゃりと綻ばせ、クスクスと愛おしそうに笑った。
「ふふっ……あはは! 背側骨間筋……? ROIがごおくパーセント……?
湊くんの言い訳、本当に世界一長くて……世界一甘くて幸せだよ!」
「な、何がおかしい。純粋な企業防衛だぞ」
「うん、そうだね! じゃあ私、湊くんの『防衛経費』で美味しく手をポカポカにして、五億パーセントのお返しができる世界一可愛いデザインを描き続けるね!
……あ、湊くん! タルト、白桃がすっごくジューシーでジュレが透き通ってるよ! はい、あーん!」
フォークにみずみずしい白桃の果肉とサクサクのパイ生地、上品なカスタードクリームをたっぷり乗せ、夕陽に照らされた満面の笑顔で差し出してくる詩織。
至近距離から漂う甘酸っぱい果実の香りと芳醇なバターのアロマ、彼女自身の透き通るような白い肌、潤んだ茶褐色の瞳。
「お、おい……自分で食える……」
「ダメー! 超大型エンタープライズ契約締結の景気づけなんだから! ほら、あーん!」
観念して口を開けると、濃厚で芳醇な白桃の果汁がジュワッと口いっぱいに広がり、サクサクのパイの香ばしさが絶妙に絡み合った。
めちゃくちゃうまい。
そして――心拍数が異常なスピードで跳ね上がり、俺の脳内プロセッサが完全に一時停止しかける。
(……ダメだ。この女の『あーん』の破壊力は、資本主義のどんな強固なセキュリティをも一瞬で溶かしてしまう……)
「ふふっ、美味しい? 湊社長!」
「……ああ、最高だ。……よし白石、本題に入るぞ」
◇ ◇ ◇
「白石、今から中学生でもわかる、SaaSビジネスの究極の進化形――【BtoCからBtoBエンタープライズへの水平展開とARR(年間経常収益)の爆発】の算数をしよう」
俺はノートPCを開き、ホワイトボードの前に立った。
「第67話で、俺たちは就活生向けのAIエントリーシート生成SaaS『ES-Master AI(月額2,980円)』をローンチし、月間MRR約一千四百万円を叩き出した。
だが、就活生向けの個人向け(BtoC)ビジネスには弱点がある。何だと思う?」
「えっ……? 就活が終わったら……解約されちゃう……とか?」
「正解だ、白石! 恐ろしいほどの事業構想力だな」
俺はホワイトボードに、チャーンレートの推移図を描いた。
「学生は内定が出ればツールを解約する。どうしても夏以降に解約率が上がる構造だ。
だが――視点を百八十度変えてみろ。
就活生が何十万通ものAIエントリーシートを一斉に送りつけてくることで、いま日本全国の大手企業の人事部はどんなパニックに陥っていると思う?」
「あっ……! 読むのが大変すぎて、パンクしちゃう……!?」
「その通りだ!
AIで量産された何万通ものESが送られてきて、人事部は『どれが本物で、どれがコピペか見抜けない』『書類選考に何千時間も奪われて本選考が進まない』という、未曾有の人事崩壊に直面しているんだ!
そこで俺たちが仕掛けた、資本主義の究極の挟み撃ち――
学生にスコップ(AIツール)を売った俺たちが、今度は【採用側の企業に『AIエントリーシート自動採点・適性分析システム(ES-Master for Enterprise)』を売り捌く】んだよ!」
「……えぇっ!? 両方に売っちゃうの……!?」
詩織が大きな瞳を見開いた。
「そうだ。
学生が使っているAIツールのアルゴリズムを最も知り尽くしているのは、開発元の俺たち自身だ。
だからこそ企業に対して、『AIで書かれたESのコピペ度判定』『志望動機の論理性・企業文化マッチング度スコアリング』『面接官が突くべき深掘り質問の自動生成』をワンクリックで実行できる法人向けダッシュボードを開発した。
そして――迎えたのが、六月一日の本選考解禁直前の今週だ!」
俺は画面に、クラウドサインの電子契約書一覧を大画面に映し出した。
【『ES-Master for Enterprise』東証プライム大手企業導入実績】
① 導入企業数:【東証プライム・スタンダード上場企業 35社一括導入!】
(メガバンク系子会社、大手SIer、総合商社グループ、大手消費財メーカーなど)
② 料金体系:【企業規模別・年間ライセンス契約(一括前払い)】
・1社あたり年間契約金:【平均6,000,000円(月額換算50万円)】
③ 確定年間契約高(ARR):【2億1,000万円(2億1千万円確定!)】
④ 支払条件:【年間一括・全額前払い(今週中に全額着金!)】!
「……えぇっ!? に、に億一千万円……!? しかも、一年分前払い……!?」
詩織の息が完全に止まった。
「そうだ!
中学生の足し算をしよう!
東証上場企業三十五社から、一年分のライセンス料が一括で法人口座へドカンと着金する!
月利に直せば【毎月1,750万円の純現金】が、翌年の契約更新まで解約不能の年間契約(ARR)として完全に確定するんだ!
学生向けの個人向けサブスク(月千四百万円)と合わせれば、この就活AI事業単体だけで【月商3,150万円】のモンスターSaaSへと進化したんだよ!」
「すごい……! 学生さんからも、企業さんからも感謝されて、両方からお金が入ってくるなんて……湊くん、本当に資本主義の神様だよぉぉぉっ!!」
詩織は歓喜の悲鳴を上げ、勢いよく俺の胸元へと飛び込んできた。
至近距離で弾む少女の息遣いと、柔らかなサマーニットの温もり。
俺の心拍計が激しく跳ね上がり、脳内プロセッサが心地よい熱を帯びる。
「湊くん、本当にすごいよぉぉぉっ!
私、人事の面接官さんが使うダッシュボードのデザインも、使いやすくて世界一カッコいいデザインに仕上げて本当によかった……っ!!」
「ああ、お前が作った洗練されたUIがあったからこそ、保守的な上場企業の人事部長たちが一発で導入サインを押したんだ。最高のパートナーだよ、白石」
俺は胸元で抱きついてくる詩織の背中を優しく撫でた。
市場の歪みを見抜き、需要と供給の両方をプラットフォームで支配する。
資本主義の最も暴力的で美しいスケーラビリティが、完璧に炸裂した瞬間だった。
◇ ◇ ◇
午後二十一時、地方都市の小高い丘の上に建つ、九条源蔵の屋敷。
欅の一枚板テーブルの前で、俺が提示した東証プライム三十五社との年間SaaS契約書とグループ連結の最新財務諸表を見つめていた源蔵が、ふっと老眼鏡を外した。
そして――。
「……カッカッカッ!! ワッハッハッハッ!!」
屋敷の梁を揺るがすほどの、豪快な大爆笑が初夏の夜空に轟いた。
源蔵はバシバシと自分の太ももを叩き、テーブルを揺らした。
「学生にツルハシを売り、今度は選考に困った上場企業に門番の鍵を売ってARR二億一千万を一括で抜いたか!
ワッハッハッハッ! 上等だ湊!
両面市場を牛耳り、上場企業から前金で数億円を毟り取る……
ケッ、完全にゴールドマン・サックスやシリコンバレーのメガユニコーンの手法そのものじゃねえか!」
「ええ。前受金として二億一千万円のキャッシュが一括着金し、法人の資金力は異次元のレベルへ到達しました。
旅館『翠月亭』、古民家茶房、D2C定期便、メディア連合の収益に、このエンタープライズSaaSの前受金が加わり――
我がホールディングスの確定連結純資産は、こうなりました」
俺はノートPCを源蔵の前に差し出した。
【合同会社ミナト・ホールディングス グループ連結資産集計(5月28日時点)】
・前回までの確定総純資産:202,187,000円
・『ES-Master for Enterprise』東証プライム35社年間契約前受利益:+52,500,000円(納税引当後実質純益プール分)
・個人向け就活SaaS月額MRR+新規課金利益:+14,500,000円
・老舗旅館『翠月亭』確定純利益:+15,200,000円
・古民家茶房『花咲庵』確定純利益:+6,800,000円
・5大メディア連合確定特単アフィリエイト利益:+4,950,000円
・D2C定期サブスク事業確定純利益:+7,100,000円
・月額アカデミー(MRR 500名分純利益):+4,900,000円
・コア資産運用配当&米国債利息:+680,000円
・法人税・消費税追加納税引当プール金:▲52,000,000円
★ 確定総純資産残高(純資産ベース):【256,817,000円(祝・純資産2億5,000万円完全突破!)】
★ グループ運用総資産規模(バランスシート総額):【3億4,681万円】
★ グループ月間経常純キャッシュフロー:【+54,130,000円(月利5,400万突破!)】
「……純資産二億五千六百八十一万円。
手厚く納税引当金を引いた上で、純資産は一撃で【2億5,000万円】の節目を突き破りました」
「ワッハッハッ! 純資産二億五千万突破、月利五千四百万か! 工場の初任給の約四百年分を毎月叩き出す化け物の完成だな!」
源蔵のぎょろりとした鋭い眼光が、獲物を仕留める直前の猛獣のようにギラリと光った。
「いいか湊。日本の全世帯の上位〇・一%に君臨する【超富裕層(純資産5億円)】!
その神の領域の背中が、完全に見えてきたぞ!
五億円の山頂まで、あと残り――
――【二億四千三百十八万円】だ!!」
ドカンッ、と源蔵の拳がテーブルを叩いた。
「住民税の天引きで手取り十三万に泣き叫ぶ山岸や、病院のベッドで借金に悶絶する金子拓海、電気を止められて震える佐伯凛どもが、何万回生まれ変わっても拝めねえ【二億五千万円の絶景】へ、てめえは十九歳にして到達したんだ!
このまま就活解禁の六月を完全制覇し、一気に【超富裕層5億円】の頂上へ旗を突き立ててみせろ!」
「はい、じいさん!」
俺の力強い咆哮が、初夏の夜の静寂を切り裂いた。
窓の外を見上げると、初夏の澄み切った夜空に、神々しいまでの満月が輝いていた。
同級生たちが大学を卒業し、社会に出て自らの市場価値の低さに絶望するまでの、残り六百日。
手取り十四万の食品工場ライン工社長と、覚醒した天才美少女絵師。
純資産二億五千万円を突破し、月利五千四百万円の領域へ突入した二人の快進撃は、ここから【純資産5億円(超富裕層)】の完全制覇へ向けて、さらなる未知の超絶領域へと突き進んでいく!
【現在の倉科湊ステータス】
・年齢/肩書:19歳/食品工場ライン工・合同会社ミナト・ホールディングス 代表社員(祝・純資産2億5,000万突破!)
・総資産残高:256,817,000円(前話比:+54,630,000円 ※BtoBエンタープライズARR前受金+旅館+MRR)
・グループ運用総資産:346,817,000円(バランスシート3億4,000万超え!)
・月間不労/事業キャッシュフロー:+54,130,000円(グループ連結月間純利益・過去最高益更新!)
・【今日の源蔵のマネー格言】:「学生にツルハシを売り、企業に選考の鍵を売る。市場の両面をプラットフォームで支配して年間契約(ARR)を前金で毟り取る奴が真の資本家だ。純資産2億5千万を超えた奴から、5億円の超富裕層へのカウントダウンが始まるんだよ」
読んでいただきありがとうございます。
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