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戦国異世界で國盗りの翁  作者: 大上
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忍び寄る脅威

戦局は芳(かんば)しくない。



大友家の鉄壁を誇る大盾足軽隊は文字通り防御力に特化した特殊兵科である。

弓で射かけようが、騎馬で突撃を試みようが、足軽の長槍で叩き伏せようが、奴らは身の丈を越えようかという大盾で全てを防いでしまう。

およそ人の力では扱えないような重量の武具でも扱えてしまうのは、妖の加護のなせる技であろうか。

移動速度こそ遅いもののその存在感はさながら巨人を相手にしているようであった。



「無理はするな!兵を失うくらいであれば後退せよ!攻勢に転じるその時迄決して命をなげうつでないぞ!」



前線後方より直接指揮をとるは島津家総大将である島津陸奥守貴久である。

彼もまた歴戦の将である。

経験に裏打ちされた見事な采配により、じりじりと後退を余儀なくされているものの被害を軽微に抑え、敵の進行を抑え込んでいた。




「やはり彼奴を叩かねば島津は折れぬか」



後方より刻々とうつろいゆく戦況を分析するは、大友家当主である大友宗麟。

押し込みつつあるものの今一つ決め手にかけるこの状況は、同じくして敵の一手により簡単にひっくり返されてしまうであろう。

何か戦況の穴はないかと思慮を巡らしている折に、奮迅の活躍を見せる島津貴久隊を発見したのであった。


同じく後方で休息をとり、前線へと復帰する立花道雪隊を送り出す。

このようにして数発使用する毎にクールタイムを要する【不知火】の一撃を温存し、前線の敵を粉砕する戦術で北九州を制してきたのだ。

また、立花隊の出現位置を毎回変更することでより多くの敵兵に畏怖を刷り込ませ、士気を削ぐこともできることも大きな強みである。




「道雪よ、休息はとれたのか」


「ははっ、また前線に赴き島津兵をを滅却して見せましょう」


「そうか、次の目標は南の弓隊としていたが、変更を命じる」


「畏まりましてございます、して、某(それがし)は何処を攻めればよろしいでしょうか」


「・・・・・・・・・島津貴久の首を取って参れ」


「!!それは、おそらく難しいのでは・・・・!」


「いいや、可能だ。島津の弱点が露(あらわ)となりつつあるのじゃ。奴らは優秀であるが故に致命的な欠点を抱えているのだ」


「と、申しますと?」


「ふむ、ここまで奴らが損耗を抑えられているのは何故だと考える?」


「・・・・・・前に出て指揮をせざるを・・・!!」


「その通り!これだけの兵を扱うのじゃ。本来、総大将とは本陣より一歩も動かぬもの。それが直々に兵を率い、手に槍を携え戦っておる。それは・・・他に同じことができる将がおらぬからじゃ」


「しかし、その老獪な戦術に我らも攻めあぐねておりますれば、接近し討ち取ることも難しく存じます・・・」


「道雪、次はお主本来の部隊である騎馬隊で出陣せよ。前線を薙ぎ払った後にそこから電撃の様に内部に突貫し、速力を以て島津貴久隊を追撃、首を揚げよ」



立花道雪はこの戦において足軽を率いてきた。防御を生かし、前線を強固とするこの陣形は堅実なものの突破力は見込めぬ形であった。

しかし機動力を生かし、一点を穿つその騎馬隊は強力な攻めの型。守りを緩め、大友家最強の部隊を攻撃に転用した時の浸透力は数々の家を滅亡へと追い込んできたのだ。



「・・・・・畏(かしこ)まりましてございます。この戦、大友の勝利で終わらせてご覧に入れましょう」



後方で待機を命じていた虎の子の騎馬隊を連れて、立花道雪は前線を、敵の総大将を目指して駆け始めた。





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