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戦国異世界で國盗りの翁  作者: 大上
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歩鉄隊の攻勢

号令を確認した龍造寺隆信は彼が今まで率いてきた部隊の中へと反転し、中央を貫通する形で最後尾へと脱出する。


島津側から見て最先鋒となった彼はそのまま隊を連れながら未だ大きく戦意を削がれた大友軍の一角へと雪崩れ込んだ。



さらに島津日新斎隊と島津又七郎隊がその後に続き、巨大な一本の槍と化したその兵(つわもの)の流れは数に勝る大友軍を突き伏せ薙ぎ倒しながら進む。


敵の撤退速度を更に上回る電撃のような戦進は攻められている部隊だけではなく両翼に展開するの隊列の包囲されるかもしれないという不安を強烈に煽り、反撃の芽を更に刈り取る効果となって現れた。


揃えられた火縄銃による攻撃も凄まじく、射撃範囲に入った好戦気の多い大友兵は次から次へと有り余った血液を地面に染み込ませながら絶命していった。




暴風雨のように打ち付ける弾丸は範囲攻撃。


そうではあるが、弾幕による面制圧であるために突出してきた大部分は戦闘不能となったものの戦線へと乗り込んできてはいない敵兵は未だ射程には捉えてはいなかった。



しかも後部に展開する射程外の大友兵は初撃の威力に面食らったもののすでに立ち直りつつある状況である。

今は快進撃を続ける龍造寺隆信隊もいずれ彼らによって押し止められ、単純な戦力差と討ち漏らした前衛によって退路を寸断される形で危険な状況となるだろう。


加えて島津への寝返りは衆知の事実となっており、大友家に多大な犠牲を強いた彼は裏切られた側からしてみたら憎悪の対象となっていると考えられる。


仲間の仇である肥前の熊の首を取ろうと躍起になっている大友兵の一団が今まさに龍造寺隆信隊の横腹へ突き刺さろうとした。





その時、後尾で鳴りを潜めていた島津又七郎率いる歩兵鉄砲部隊が轟砲を撃ち鳴らしたのだ。

先程の莫大な雷鳴とまではいかないものの、ゆうに百丁を超える火縄の砲撃は再び大友兵を恐怖に陥れた。




度重なる予想外の局所的敗北、人員の減耗。


先鋒の犠牲と引き替えに馬防柵からのおおよその射程距離を測り現在地を安全圏であると過信していた将達は再び降りしきる鉛玉の雨によって恐怖に戦(おのの)くと共に隊へ後退を指示し始めた。





鉄砲隊は乱戦に持ち込まれると弱い。

故に安全な陣地から撃ちかける戦い方は誰にでも考えつくだろう。


そこであえて彼らを出陣させることに敵の死角を貫く一手となると鉄山は確信していた。



反転した龍造寺隆信隊の後ろに本陣の守りを薄くしてまで爺と四男の隊をくっつけたことには意味がある。


家久は実験的に進軍する歩兵鉄砲部隊の指揮を、

日新斎は遊撃、万が一の事態が起こった場合孫の護衛を役割としていた。



攻勢限界に達する龍造寺隆信隊。

大友は抵抗の機会をうかがっている。

付け入る隙。

何度も舐めさせられた辛酸。



戦場に渦巻く無数の怨嗟によって据え置かれる反撃の狼煙はそのポイントである、そう鉄山は見据えていたのだ。



とはいえこちらもこのまま深部へと進軍を続けた場合本当に包囲される危険性が高まる。

よって先駆け部隊はすでに蜂の巣にされた前線大友兵の骸を踏み潰しながら鉄山の下へと帰還を始め、野戦において初めて多量の火縄銃を動員した戦は終局へと向かった。




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