復興と新鉄山隊
少し呑みすぎたようだ。
頭が割れるように痛む。
喧騒を極めた宴が嘘のように皆通常の業務に戻っている。
「鉄山様ぁどうしたんですかい?顔色が優れないようで」
「お前は・・・大丈夫なのか?」
「へえ。なにかおありですかい?」
此方は二日酔いだというのに武具の点検を行う太助はケロッとしている。
こいつ昨日どぶろくを一升位呑んでベロベロになっていたはず。
薩摩人のアルコール耐性ははっきり言って異常だ。。
「ようダンナ。随分と寝坊助だな!」
弥吉も何ともないようだ。
これからはこいつらに合わせて呑んでいたら体がもたんな。
そういえば太助も弥吉も城で働くようになってからまるでここが地元だというような馴染み方をしている。
太助は元々賢かったのもあって俺の秘書的な仕事をこなすようになった。
また意外な兵站管理の才能を発揮し火縄の補充や人員の配置など幅広い業務を難なくこなしている。使える奴だ。
弥吉は別段優れた才があるわけではないが、持ち前の明るさで兵士達のムードメーカーとなってくれている。
普段厳しく鍛練を積ませる俺と、兵の中の比較的弱い者との間のギャップをうまく橋渡ししてくれるのは大変助かっている。
こういう視点で気兼ねなく俺にもの申せる者は貴重だ。
これからの仕事は肝付軍に荒らされた領内の復興である。
幸い行軍の途中の町にこれといった被害はなかったが、砦や櫓等の軍事施設はあらかたやきつくされており、放置しておけば内城の防御力が心配なのだ。
もちろん良い鍛練となるので我が兵が復興作業の大半を受け持つこととなった。
ブーイングが出たが五割増しの通常トレーニングと選択させたところ、一致で復興が選ばれた。
早速作業にとりかかるとしよう。
順調に櫓が建設されている。
大工や土木の専門職は欠かせないものの、普段のトレーニングの成果が出たのか我が兵は非常に労働力として有用であった。
本来ならば馬や運河等を使用して運搬する木材も可能な距離であれば担がせて運ばせた。
新規で加入した兵達が死にそうになっている。がんばれ。
新たに二千人。つまりは三千人の大兵団となった鉄山隊は初期メンバーと追加兵の体力格差が浮き彫りになっている。
しかし彼ら新規兵のモチベーションは低くない。
目指すべき先輩が皆おおよそ人間離れした肉体をもっているため、反発心からか追い付け追い越せの勢いで日々の鍛練にいそしんでいる。
また、既存の兵も日々成長していく後輩達に追い抜かれまいと更に練度に磨きがかかっている。いい傾向だ。
ついでにインフラ、つまりは街道の整備も行うことにした。
従来は舗装もされていない山の獣道や一歩踏み外したら川へ転落する危険のある道を行軍しなければならなかったが、簡易ながら道を整備することにより物資輸送に重要な荷馬車までが通行できるようになった。
これで戦争時の兵員輸送や補給の充足率が大幅に改善されるだろう。
順調にゆけば次の敵は日向(宮崎県)の伊東家であろうか。
現在の島津家と比べると小さい国力である。が、この妖が蔓延る世においてこのくらいの格差は簡単にひっくり返ることもあるのだ。
入念に準備をせねばな。




