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楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
2章
58/59

57話

「隙ありぃ!!」

「ぐぉえ!痛ぇ〜」

「パパダサーい。フィオまだ全然本気じゃないよ?」

「また勝った!パパ弱!パパ弱!」

と言われても。これでも頑張ってるんですが。


子供達が5歳になった。

なので我が家のクソ伝統である修行をやってみたのだが、これが大失敗。

子供達は闘気だの魔術だのはとっくに出来て、魔闘気でママと特訓していたりなんだりをもうやってるらしい。早いよ。


「ねぇママー。パパと変わってよー。弱すぎてつまんないよー」

「マオちゃんヒドイよ。パパこれでも頑張ってるよ?」

「え?それで?」

「パパ弱!パパ弱!」

「フィオ楽しそうじゃん」

「つまんない!全然!全く!」

あかん。メンタルもノックアウトされた。


「マオ!フィオ!パパが遊んでくれてるんだから嫌そうな顔しないの!ママが我慢してるんだからね!」

「お前の願望漏らすなよ。というか遊びなの?これで?」

「ザコパパにはわかんないかぁ。別の遊びしよっか?」

マオちゃんにそんな煽り方教えた覚えないんだけど。嫁半ギレだし。

「ザコ!パパザコ!」

フィオはまぁかわいいもんだな。いじめっ子にならなきゃそれで良し。


「んじゃお絵かきでもすっか?それともかけっこか?かくれんぼとか?」

「えー、全部パパ弱いじゃん。つまんない。お絵かきなんてもうしないし」

「パパダサい!弱!ザコ!」

「マオ!フィオ!パパに謝りなさい!かわいそうでしょ!」

そこは否定するとこだろ。哀れんじゃダメだろ。


結局俺と遊ぶのはつまらんらしくフィーネと遊ぶと言いつつ訓練じみた事を始めた。

魔法も魔闘気もなんでもあり。庭がボコボコですよー。


「はっ!せい!やっ!」

「えい!えい!えい!」

「おー、いけいけー。ママをたおせー」

「パパうるさい!邪魔!」

「お、おう」

ガチやん。あ、マオ叩かれた。泣かすなよー。


「やっほ、サク。お仕事持ってきたよ」

「うっさい。俺は子供達を見守らねばならんのだよ」

「パパの方が弱いじゃん。痛っ!」

「謝りなさい!パパかわいそうでしょ!」

「フィーネ叩くな。かわいそうだろ」

「わ、私は叩かれるの好きだもん!」

「サク、俺は何も聞いてないよ」

「違うからな。あいつの苦しい言い訳だから」

実際んな事してねぇし。皆が気持ち悪がる目で見てくる方がかわいそうだろ。


「ねぇヤスくぅん、パパなんか放っといて私と遊ぼぅ」

「あ、あはは、ごめんね。仕事だから」

「マオそれやめなさい。ヤスさんだろ」

「パパうるさい。痛っ!」

「マオ!口の利き方!」

「やめろっつの」

「そうだよ。パパの悪い所を真似しちゃったんだよね」

「俺の所為にすんな」

「パパのせい!パパ悪い!」

「フィオ君は相変わらず元気だね」

「元気!チョベリバ!チョーキモチー!」

「これはサクの所為だね」

「フィーネ」

「………悪くないもん!」

子供達の前で使わねぇだろ。真似すんのやめなさい。


「んで仕事ってなんだよ」

「前に退治したバカでかい亀覚えてる?タイラントっていうやつ」

「は?また出たのか?うざ」

「ちょっと違うんだよ。それの卵が見つかったんだけど、孵化する前に潰そうってなって、今皆で色々試したんだ」

「でも結果は残念ってか。誰が試したんだよ」

「まずゼノさんが、次にマーリンさんとノエルさん、後はナディさんとシエルさんかな。全員今の所傷1つ付かないんだよね」

「あっそ。フィーネ行ってこい。無理ならエリスかクライストかジジイにやらせろ。最悪お前かタツでいいだろ」

「まぁまぁ、一応だよ。フィーネさんや子供達にいいとこ見せたくない?」

「全然」

「パパには無理だもんね」

「パパ弱!パパザコ!」

「………え、えーと」

「家ではこんなもんだよ」

「あ、そう。まぁとりあえず行こう。2人も見にくる?」

「うんっ、いくっ、ヤスくぅん、いくぅ〜」

「フィーネ、こっちこい」

「ち、違う!何もしてないもん!ホントだもん!サクラがした!」

その言い訳もダメだって気づいて。


ヤスに転移してもらい、広々とした草原に移動した。

目の前には見上げる程にデカイ卵さんが鎮座していて、周りでこぞってこちょこちょやってる。早く割れよ。


「ゼノさん、来ました」

「あぁ、むっ!?マオたん!フィオたん!どうしたんでちゅか!?」

「おいやめろ。気持ち悪い」

「な、なんだ!可愛い孫と話すのに文句を言われる筋合いは無い!」

「お父様、気持ち悪い」

「こ、コラ!フィーネ!そんな口の利き方は許さん!」

「お祖父様、ママのお仕事見に来たの。見てもいい?」

「あぁ!もちろんでちゅよ!」

「やべ、鳥肌立ってきた」

会うたびこれはキツイ。気持ちはわからんでも、いやわからん。


「じいじ!遊ぼ!じいじ!」

「フィオたん遊びたいのか!?だ、だが、あれがなぁ…」

「じいじ!ダメ?じいじ!」

「よし!遊ぼう!」

「ふざけんな。また俺だけ働かせんな」

「パパ仕事出来るの?弱いのに?役に立つの?」

「……………た、立たないな!」

「なら頑張れよ。絶対手伝わねぇからな」

「ぐっ、ま、まぁ、少しは、な。たまにだが」

それで俺がやってやる!って気になると思ってんならいっぺん殴らせてほしい。


「お待たせしました。あ、サク兄さん、来てたんだ。私いらなかったかな?」

「兄さんがいるならお役ごめんだね」

「残念なお知らせだけど俺はやりませーん。フィーネの付き添いと子供達の面倒見るためだから」

「別にパパいらないよ?」

「パパバイバイ!パパバイバイ!」

「……お、お兄ちゃん?」

「気にするな。俺は気にしない」

「兄さん、その、家に遊びに来る?またランが会いたがってるからさ」

「今度行くよ。多分皆で」

だから儚げな顔やめて。お兄ちゃん泣いちゃう。


「おい来たぞ。ってやっぱまだ割れてねぇのか」

「ねぇダーリン、早く割って帰ろ?早くぅ」

「うるさい発情期バカ」

「あ?なんだド淫乱魔王?やんのか?」

「ケンカすんなって。またサクが怒り出すぞ〜」

「やだ怖〜い。またキモヒモ野郎の説教とかマジ萎える〜」

「サクラをバカにすんな!」

「はいはい落ち着けー。あ、タツ、ナディ、お前らがあれ割るのな?割れなかったらどうなるかわかるよな?」

「帰るけど?」

「バカなの?ウケるw」

「あっはっはっはっは。コロス」

「冗談だって。………………冗談、ですよね?」

「……………………あ、あの、ごめんなさい」

「はいはい、とっとと行け。あと今回は冗談じゃねぇからな?遺言くらいはちゃんと聞いてやる」

「………………ナディ、やるぞ」

「え?じょ、冗談?え?え?」

お前らのいつものつまらん小芝居にはうんざりだからな。嫁のご機嫌も直ったし。


「おいヤス、どんな感じなんだよ」

「どうしたの?いつになく真面目じゃん」

「サクがキレた。死ぬ、割らなきゃ殺される」

「え?あー。またなんかしたのか。でもちょっとタイミング悪かったね」

「は?何が」

「今からクライスト君がやるんだけど。見てて」

「あ?おう」

クライストを見ると、空中に立って卵の横っ面の前で闘神気全開で卵に向かい合っている。本気じゃん。


「いきますよー!ふんっ!」

ドゴォォォ!!という音と凄まじい衝撃が周囲に響き渡る。が、卵健在。パネェ。


「…………いや、ちょっと待てよ。クライストだよな?あれ闘神気だよな?加減してんのか?」

「いえ!今の全力ですよ!」

「ちょ、マジかよ!?」

「エリス、反対から合わせて叩いてみ」

「うん。行ってきます」

転移してすぐに配置についてもらい、合図を送ってもう一度攻撃させた。

「エリス!」

「はい!」

「ふん!」「せい!」

またも凄まじい衝撃を受ける。だが失敗。


「…………サクラさん。話し合いませんか?」

「しょうがない。どっちかだけにしてやるよ」

「………わかった。俺にしてくれ」

「ダ、ダーリン!?」

「んじゃナディだな。うるさいし」

「え!?」

「サクひでぇ」

「サクラっ、やっちゃえっ」

「フィーネさんノリノリだね」

そりゃ俺の嫁ですから。


「おーい!どうしますー!」

「エリス戻ってこーい!クライストは通しでやってみ」

「わかりましたー!いきますよー!はっ!」

また衝撃。殻抜けないんかい。


「うおっ、通しもダメかよ」

「兄さん、どうする?」

「さぁ、ヤスも無理かよ」

「全然ダメ。魔力も全く通らないよ」

「ふーん。フィーネやってみる?」

「出来たらご褒美?」

「じいじからな」

「ならやらない」

「だよな。フィオとマオもやってみるか?」

「やる!やりたい!割る!」

「パパ、思い付かないからって私達にやらせないでよ。メンドくさい」

「あ、はい。すみません」

ど直球の正論は効くな。辛い。


この後も何度か皆で繰り返し攻撃した。

途中から合流した師匠ズとシエルと頭回しながら色々試した。

魔法でガンガン燃やして一気に凍らせる。失敗。

一点に集中して攻撃。失敗。

逆に全方位から攻撃。失敗。

高いところから落とす。そもそも飛ばせなくて失敗。

上から圧をかける。失敗。

めっちゃ振動させてみた。失敗。

電気流してみた。失敗らしい。中見えん。


「はぁ、もうダメだー」

「諦めんなよ。まだドリル試してねぇだろ」

「なにそれ?」

「あ?シエルに見せなかったっけ?先端尖ってて溝のあるやつ。回転して穴空けるんだよ」

「へぇー。でも闘神気で無理なら道具じゃ無理でしょ?」

「シエルたん賢ーい。そういやフリードは?」

「今は学校。家の子はアリス達に見てもらってるよ」

「ほへぇー。忙しそー」

「おい小僧。お前も働け」

「嫌だよ。俺弱っちいもんよ」

「パパだらしない。恥ずかしいからやめて」

「あ、はい。すみません」

「………マオちゃんいくつだっけ」

「5歳。もう俺より強くて賢い」

「あー、うん。なんかわかった。またさっくんの悪い癖だね。直しなさい」

お姉ちゃんぶってるシエルたんかわええ。だがその呼び方はやめてって。


「ママ、お腹空いた、ママ」

「ん、マオは?」

「ん」

「りょ。サクラ、帰ろ?」

「はーい。んじゃまたなー」

「えー、さっくん帰るの?卵は?」

「マーリンさんに任せるよー」

「えー、んー、じゃあ、また孵化したやつをさっくんが退治?」

「……………タツ、忘れてねぇよな?」

「いや無理だったろ!限界だっつの!」

「ダーリン……まだ死にたくないよぅ」

「サク、いい加減やめなって。ナディさんずっと本気にしてるよ?」

「え?冗談?」

「いや本気だって」

「いやーー!!」

とうとうナディがぶっ壊れた。ストレス溜まってたんだな。可哀想に。


「小僧、やれ」

「うるせぇクソジジイ」

「やれ」

「嫌だ」

「あの、アラド様、パパはとっても弱いんです。だから、その、ごめんなさい」

「………おい」

「マオは俺より強いんだよ。な?」

「パパダサい。恥ずかしい」

「パパダサーい、お腹空いたー。ママー」

「ん、サクラ、ん」

「うーい。じゃあなー」

「え?兄さん本当に帰るの?」

すまない、愛する妹よ。飽きた。


「待てパパ」

「その呼び方やめろじいじ。なんだよ」

「あれをどうにか出来たらなにか褒美をやろう」

「いらん」

「ま、待て!フィーネ、どうだ?」

「ん」

「………マオたん、何か欲しいものありまちゅか?」

「え?うーん、無いよ?」

「そ、そうか、フィオたんはありまちゅか?」

「おもちゃ!ほしい!おもちゃ!」

「後で買ったげるから」

「ホント!?パパ!ホント!?」

「ま、待て!パパがお仕事したらもっといいものあげまちゅよ!」

「え!?ホント!?ドリル!?」

それはおもちゃちゃうで。危ないからめっ。


「よしわかった!パパがお仕事出来たらじいじが買ってあげる!」

「いや売ってねぇよ」

「パパ!お仕事!パパ!」

「いや、売って無いって」

「え?無いの?え?」

「あ、ある!あるある!じいじが買ってくれるって!な!?だから泣くなぁー」

「あぁ、お前があれをどうにかすればな」

「パパ最低。結局またフィオ泣いちゃうじゃん」

「サクラ、中身どうするの?」

「全部飛ばす。つうか本当に用意出来んのか?」

「……………シエル殿、お願い出来るか?」

「わかりました。さっくん頑張って」

全部人任せやん。あーしんど。


「んじゃ、ちょいとお試ししてみっか」

「兄さんまた変な事考えてない?」

「穴開けたらどうなっかなーって」

「お兄ちゃんやめて」

「えー。わかったから怒んないで」

ぷりぷりしてたって怖くないし。でもフィオかフィーネが真似するし。


「フィーネ、一応準備しといてね」

「ん、いってらっしゃい」

「パパ、早くしてね。恥ずかしい」

「パパ!ドリル!ザコパパ!」

フィオのそう言うところはママのダメなところに似たよな。泣きそう。

「んじゃよいしょ」

闘神気全開。まぁいけるかな。

「うわぁ!!」

「………………パパ?」

「サクラ、どう?」

「いけるいける」

というわけでレッツゴー。


ちょいと歩いて皆から離れて、卵に向かってジャンプ。

上に乗って試しに殻に触る。なんとびっくり、指が刺さるではないか。まぁこんなもんか。


「いくぞー!せーの!」

掛け声と共に、卵に闘神気を大量にぶち込んだ。

すると、卵の全体が蒸発したように消し飛んだ。はい終了。周囲に影響もナッシング。


「おーい、帰るぞー」

「ドリル!ドリル!パパありがとー!」

「はいよ」

「兄さん、また一段とおかしくなってるね」

「クライストもこのくらいやれよ。俺ばっかり大変なんだぞ」

「はい。精進します」

いい心がけだな。マジで頑張って。

「お兄ちゃん、もうちょっと加減してよ。危ないよ?クー兄さんと比較出来ないくらいじゃないと出来なかったの?」

「………すみません」

厳しくね?誰よりも頑張ったじゃん。


「それじゃ、さっくんまたねー」

「またな」

「すぐドリル作ってくるね。危なくないやつ」

「じゃあなサク、今度は家族で来るわ」

「じ、冗談だよね?ね?ま、またね?」

「兄さん、また」

「お兄ちゃん、ちゃんと反省するように」

「はいさいなら。シエルよろしくなー」

終わった途端すぐ帰りだした一行。何しに来たんだ感すげぇな。


「フィーネ、帰るぞ」

「ん」

「ご飯!ご飯!ご飯!」

「パ、パパ?」

「ん?どしたマオ?なんかほしいの?」

「ち、違くて、あの、ね」

「んー?まぁとりあえず帰ろ」

「んぅ、………ん」

「ずるい!なでなで!カモン!」

「帰ったらな。転移、はよ」

「いぇい!転移!」

どんなテンションだよ。

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