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楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
2章
57/59

56話

「パパパパパパパパパパパパパ!」

「やめなさい」

「ん!」

「それもダメって言わなかった?」

「ん!」

ですよね。


「パパ、おはよう」

「マオ、おはよう」

「ん」

「それやめなさいって。なした?」

「おはようのチュー」

「はいはい」

かわいい娘のおねだりはたまりませんな。

ご希望通りにおでこにチューしてあげると、満足そうな顔でイスに座った。

スプーン持って待ってるのはいいけどなんも出来てないよ?


「ずるい!」

「何がだよ。お、うまそう」

「チュー!チュー!」

「子供か。先に置きなよ」

「パパ!パパ!パパパパパパパパパパパパパ!」

「やめろっちゅうに。早く座んな」

「おはよ!」

どういうタイミング?それ言いたくて連呼してたの?


子供が生まれてから早3年。

魔族としては珍しいと聞いたんだが、家族が増えてから完全に仕事をゼノ様にぶん投げて、母親をしてくれている。

家事全般はもちろん。2人に勉強をさせたり、遊び相手になったり、魔法や闘気の使い方を教えているハイパーママだ。頭が上がりません。


「サクラ、チュー」

「さっきしたじゃん」

「あれは朝チュンのチュー!今はおはようのチュー!」

「少しはまともな理由にしてな。教育上よくないから」

「早いか遅いかの違いしかありません」

「おあずけですね」

「待って!ごめんなさい!先っちょだけ!」

それもよくねぇよ。またフィオが真似して俺が怒られるじゃんか。


「そんじゃ、いただきます」

「いただ!」

「全部言いな?」

「きます」

「合わせなくていいから」

「チュー!」

「先に食おうよ。ん」

「ん!いただきま!」

「全部言いなさい」

俺が間違ってんの?お、うまいー。


ここ最近は、嫁が子供達と一日中一緒にいて、俺は大抵何もしない。呼ばれた時に一緒に遊ぶくらいだ。

それ以外にあるのが魔物討伐系。

未だに生きるか死ぬかの瀬戸際まで追い詰めてくるおじいちゃんには脱帽。


実際本気で4回死にかけた。

海で戦わされて、溺れて海底に沈んで1回。

なんちゃらドームと同じ位の大きさの亀と戦い、踏み潰されて全身ペシャンコで1回。

3日間戦い続けて生命力枯渇で1回。

1番すごかったのがゼノ様にフレンドリーファイアで体が分離した時があった。

その時の皆の反応は今でも忘れられない。

特に本人。顔面蒼白で無表情。今ではギリ笑い話で通してる。


死にかける度に鬼の様にキレる嫁を見ると諦めてくれるかな?と思ったがそんな事はない。未だに魔物討伐に最前線に送られる。


「パパ!パパ!」

「なんだ息子。ごちそうさまは?」

「ごち!パパ!ごち!」

「なんか違う」

「そうさま。パパ、そうさま」

「何で毎回合わせんの?ごちそうさま」

「ん。ごち」

発信源お前かよ。


「パパお休み?」

「おー。今日は1日暇だぞ」

「パパ!遊ぼ!ダメごっこ!」

「何それ」

「フィオ!しーっ!内緒!」

「………マオ、どんなのか教えて」

「ん、寝る前にパパがして「マオ!マオ!」……パパがしてくれるって」

「なるほど。これからは禁止な。フィーネも」

「異議あり!」

「………んじゃどんな事してるか説明してみな」

「え、えっと、こちょこちょ!」

表現を変えてるだけなのかどうかがわからんところが怖い。やめなさい。


フィオは子供っぽくいつも荒れ回ってる。

マオは大人しい。というかダレてる。フィーネが目を離すといつも昼寝してるらしい。よく夜寝れるな。


「それじゃ、今日はお絵かきでもすっか」

「ほい!」

「ん」

「いぇい!」

嫁が1番テンション高いやないか。


お絵かきは、魔法で空中に模様を描いて見せ合う遊びなのだ。

最初は俺の魔法の練習だったが、今は上達しないから遊びでしかしない。


「パパ!出来た!」

「おう。…………これ、シエル?」

「そう!いぇい!」

最近お腹が大きくなっているシエルを描いたらしい。子供っぽい絵だが、特徴をよく捉えて描いてる。

でも何でシエルやねん。懐いてるけど。


「パパ、出来た。褒めて?」

「要求が先に来てるじゃん。………いつも思うけどすげぇな」

「えっへん」

マオは魔法が得意だ。というか天才。

エリスと同じくこの歳で大人顔負けの能力がある。

絵もかなりリアルな魔王城を描いてる。何で城内でガワを描いたかわからんが上手い。


「サクラ!出来た!ん!」

「それやめろっていつも言ってるよな」

「愛ゆえに!」

「表現がおかしい」

こいつは毎回俺の全裸を描く。

何度もやめろって言ってもこの言い訳をするので諦めた。お仕置きはご褒美だし、罰は愛、とか言われた時に悟った。


「おーいサクー」

「ヤス!ヤス!」

「お、フィオ、今日も元気だね」

「ヤスくぅん、元気ぃ?」

「マオも元気だね」

「そうじゃねぇよ。マオ、やめなさい」

「ん」

「それもだって」

「ん」

恒例行事じゃないから。いつ直してくれるんですかね。


「何しに来た。帰れ」

「ちょっとした報告、でもないけど、マーリンさん達が遊びに来るって」

「忙しいって言ってつっ返せ」

「ザンネーン。来ちゃった」

「やっほー。お久ー」

「何でだよ。ノエルさんまで何しに来たんだよ」

絶賛婚活中のノエルさんが来ると心が痛いんだよ。あと教育に悪い。


「ちょっと息抜きにね。子供達と遊びたいし」

「ノエルさんが言うと重いんだよな」

「好きで1人じゃ無いもん!」

もんじゃねぇよ。そういうところだぞ。


「んじゃヤスはどうだよ」

「え?…………お、お付き合いしてる方は?」

「いません。って俺ですか」

「有りっちゃ有り?」

「有り有り。寧ろ有り難い」

「ヤス、もらえ」

「……………いや、急過ぎだろ!」

「ノエルさん、とりあえず2人で街に遊びに行ってきなよ」

「ほ、本当に?いいの?」

「全てあなたの思うがままです」

「ちょ、待てよ!」

何で急にネタやるんだよ。


結局俺の力押しで出かけさせた。嵐は去った。

「マーリンたそ!マーリンたそ!」

「フィオ、どこでそれ覚えた」

「タツ!タツが言ってた!」

「そっか。マーリンさん、だかんな」

「たそ!たそ!」

後でフルボッコだな。


「2人とも魔法上手くなったねー。マオちゃんは元々だけど」

「すごい?すごい?」

「うん。お父さんよりすごいよー」

「いぇい!勝ったー!」

「パパ下手くそだもんね」

「マオには優しさが足りないよ。パパショック」

「サクラ、サクラ、ギュってする?する?」

「お前がしたいだけだろ」

「ち、違う!仕方なく!ん!ん!」

「はいはいありがとー」

両手広げて待機すんな。そしてマーリンさんのニヤケ顔でストレス。


「魔王ちゃんも丸くなったねー」

「ふふん、愛ゆえに!」

「アホっぽくもなったろ」

「旦那様に似てきてるかな?」

「おい」

「サ、サクラが毎晩激しくするから…」

「やめんか」

全部俺のせいみたいに言うな。寧ろ周りの影響強いだろ。


「パパ!マーリンたそ!お絵かき!お絵かき!」

「たそはやめな。マーリンさん、悪いけど相手してやって」

「もちのろん。お茶とかはいいからねー」

「ん。パパもやって?下手くそなお絵かき」

「おねだりだけでいいから」

「大好きなパパの真似だよ?」

……………………そ、そっくり。

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