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楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
2章
56/59

55話

大会から2日後に式を挙げ、その3日後に子供が産まれた。

ヤスに早くね?と聞くと、

「魔王様くらいの力があったら子供に送られるエネルギーもハンパないからね。だからお腹の中にいる時はかなりの早さで成長して、へその緒を切ると、自力で成長するから普通の子と同じスピードで成長するというわけ」

納得出来る理由ではあるけど内心ビビってる。早いよ。


産まれた双子は二卵性だったらしく、男の子と女の子が産まれた。

初めての子供は、なんというか、よくわからん気持ちになり、とにかく嬉しくもあり、不思議な感じであり、よくわからん。

魔王が嫁なのもよくわからん。


式を挙げる際に、むっちゃ急に決めたにも関わらず、知り合いが皆来てくれた。嬉しかったのが、クライスト達の親で、俺を育ててくれた親父と母さんも来てくれた事だ。

俺達の子供が初孫だと喜んでもくれたし。

ただ、ノエルさん、ごめん。


「サクラ、名前考えた?」

「一応、お前は?」

「ん」

「いやわからん」

「サクラに任せる」

「えー、んじゃ俺は男の子、フィーネが女の子を決めよう」

「ん」

「嫌な顔すんなよ。嫌?」

「男の子がいい」

なんでやねん。てか最初から言いなさい。


「決まった?」

「まだ、どう?」

「決めてる」

なら最初から任せんな。言いなさい。


「先に聞いてもいい?」

「ん」

「嫌な時しかわかんねぇから」

「ん!」

「はいはい。決めた」

「ん?」

「マオ」

「えー」

そこん、じゃねぇのかよ。言いなさい。


「魔王になったら魔王マオだよ?」

「娘は魔王にさせません。危険が危ない」

「いろいろ変」

「もう決めた。きーめーたー」

「…………チッ」

「そんなに嫌かよ」

「返事にイラっとしただけ」

子供の前ですんなよ。真似したらどうすんだ。


「んじゃ、名前は?」

「……………ん」

「決めてねぇじゃんか」

「…………だって、サクラが」

「なに」

「思ったのと全然違う名前つけるから」

「予想は?」

「サクラ二号!」

「本気で言ってたら出てくからな」

「う、嘘!嘘嘘!嘘!!」

「うっさい!」

ガチガチのガチじゃないですか。泣きそう。


「もういい。決めた」

「え?ま、待って、本気?嫌いになった?」

「名前だバカ」

「あ、え、は、はい。……えっと、肝を冷やしたぜ?」

意味は合ってるけどムカつく。真似するからやめなさい。


「この子はフィオだ。はい決定」

「……………ん」

「なんだよ」

「んふふふ」

「いやなんだよ」

「2人とも私から取ったでしょ?でしょ?」

「だからなんだよ」

「愛されてる!」

うっさい。


名前をつけてから色んな人に報告したのだが、イラつく事に大体フィーネとおんなじ反応していじってきやがった。

特にタツとナディは、安直笑、と言ってきやがったからボコボコにしてやった。スカッと。


子供が産まれてからは、暫くゼノ様が魔王代理をしてくれる事になり、2人で面倒を見ることが出来る様にしてくれた。初めていい事してくれたよこの人。


「サ、サクラ、泣いてる、どうしよ、どうするの?」

「いや、ちょ、わ、わからん、ヤス!ヤスどこにいんだ!」

「はいはい、何ですか」

「2人とも泣き止まん。何でだ。どうすればいいんだよ」

「はっはっは。役に立つだろ?」

それ今じゃねえ!助けて!


「ぐわ!ションベンかかった!」

「サクラ汚い」

「お前もすぐに俺と同じ気持ちになれるさ」

「…………い、嫌です」

やんわり拒否るな。がんばれ嫁。


「おいチビ、ちょ「今入んなご飯中」うお!わ、悪りぃ、終わったら呼べな」

「へーい」

「なんで?」

「嫁の自覚は無いのか。女としての自覚も足らん」

「どうせサクラしか触らないのに?」

「見せんのもダメだろ!」

「んー?………ん」

勘弁してくれ。マオには絶対同じ事させまいと誓ったよ。


「あぅー。あぅー」

「ん!ん!ん!」

「………は、話せ、る?」

「とりあえず言いたいのは、早くも悪いとこ真似したな」

「か、かわいい!」

「そう思えるの俺とお前だけだからな」

「………かわいい?」

何ちょっと照れてながら聞いてんだ。子供達の話だろが。


3ヶ月くらいずっと子供達の世話をしてきたのだが、ものすごく体力と気力を使うな。

特に息子のフィオがめちゃめちゃ元気で日中全然寝ない。半日ずっとバタバタしてて目を離せないでいる。


逆にマオはめっちゃ寝る。俺に似てダラけるのがうまい。

ただ寝顔を見てからたまにチラッと俺を見る嫁にイラっとする。俺のせいじゃない。


「フィーネ、小僧、いいか?」

「お父様、何?」

「俺は良くないですけど」

「小僧に仕事が出来た」

「ヤスが代理でよろしくで〜す」

「彼は別の仕事で手一杯だ。それにお前くらいしか出来ない」

おっと、久々の殺すマンですね。チョベリバ。


「内容は魔物討伐でな。ワームという巨大な蟲の魔物なんだが、これが大量発生したらしく、村や町にかなりの被害が出ている。行ってこい」

「他の戦士達じゃダメなんすか?」

「もう対処している。それでも数が足りないからお前に頼んでる。やれ」

お願いの仕方聞いた事無い?それ違うから。


「んじゃナディとかタツとかエリスとかクライストとかゼノ様とかゼノ様とかゼノ様とか」

「皆忙しい。暇なのはお前くらいだ。やれ」

「今必死こいて子供達の世話してるつもりなんですが」

「安心しろ。俺が変わろう」

「暇じゃねえか!安心出来るか!」

「フィーネをここまで育てたのは俺だぞ?お前より父親歴は長い」

孫を可愛がりたいだけだろ。ずっこい。


結局放られました。何が気にくわないって?

クライストとエリスが遊びに来たのに俺だけ出された事だよね。激おこ。


諦めてワーム討伐に参加したのだが、かなり厄介でムカついた。

基本地中で移動しやがるしとにかく数が多い。

デカくてコアの位置がイマイチわからんし魔法で攻撃してもなかなかダメージが無いとか。

ストレス、フル!


魔王親衛隊隊長と立てた作戦は、俺がとにかく、倒す、倒す、倒す!作戦。バカなの?

親衛隊は援護プラス、周囲に被害が出ないよう注意するんだと。リスクがハンパない。








ワーム討伐が終わった。めっちゃしんどい。

全て倒すのにかかった期間はまさかの2ヶ月。

群れを倒して片付けをしてると再発生、討伐、片付け、再発生、討伐、片付け、再発生の繰り返しで萎えた。


しかもワームのムカつく所はかなり倒しにくい。

何度も闘気強めで殴っても、穴空いて終わり。

更にすぐに穴が塞がるという負のループ。1を越えたい。


最終的に闘神気でしか無理くね?となり、俺1人で倒して倒して倒しまくる羽目になり、2ヶ月も蟲退治をやらされる事になってしまった。泣きそう。


「ただいまー」

「あ、兄さん、おかえり」

「え?エリスいたの?ずっと?」

「んーん。姉さんと子供達には今日で3回会いに来たよ」

まぁまぁ暇じゃん。手伝ってくれないドSっぷり。

そこにシビれ………無いな。辛いだけだ。


「兄さん、お久しぶりです」

「なんで手伝わねぇんだよ。俺泣きながら戦ってたんだぞ?」

「いや、ワームは、ちょっと……」

クライスト君、わかってるなら尚更来てほしかった。ていうか未だにクライストに兄さんって言われるの慣れないな。痒くなる。


更に泣きたくなるのは、嫁と子供達が俺に目もくれずめっちゃ楽しそうに遊んでるとこだよな。パパ帰ったよ?飛び込んできてもいいんだよ?


「フィーネ、ただいま」

「ん」

「フィオ、マオ、ただいま」

「ん!」「ん!」

………………ちょっと奥さん。ドヤって無いでやめさせて。

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