54話
「ただいまより!第一回、魔闘大会を開催致します!」
……………わ、わー。って客いねぇ。
会場なんて無く、その辺のテキトーな広場で人を集めていきなりおっ始めたみたいな感じ出てる。
実際は魔法だかで遠目で見てるらしく、一応盛り上がってるだろう。とか言ってた。バカだろ。
「それでは出場選手のご紹介です!今回の大会に選び抜かれた選手は総勢8名!1人目は最近人気急上昇中、バレット選手!」
…………拍手した方がいい?めっちゃ静まってるんですけど。
この感じでどんどん紹介するからこの人すげぇ。
んで、選手を見ていると勝つビジョンが全くわかないから笑えない。
「それでは6人目の選手のご紹介です。彼はあの魔神様の直属の部下であり、あの闘神様の兄貴分でもある、デンゼル選手だぁ!!」
「絶対勝って魔王を俺の嫁にするぜぇ!!」
……………おい。
「次の7人目の選手は、彗星の如く現れた期待の新人、ヤスだぁーー!!」
「……………ど、どうも」
こっち見て言うな。何してんだお前ら。
「最後の選手です。えー、彼は魔王様の推薦により選ばれた方で、おそらく誰も知らないですね。えっと、名前は、シャクラ?選手でーす」
明らかに手を抜くな。せめて順番変えとけや。
「あの、一言」
「皆殺しにします」
「なんだと!?」「図に乗るなよカスが!」「お前みたいな調子に乗った雑魚を殺すのが楽しいんだよなぁ」「お前から潰してやる!」
水を得た魚とは正にこの事か。皆お客さん意識しすぎぃ。
「うわー、お前死んだな。バカだろ」
「よう兄貴。お前だけは泣いても許さん」
「…………………は?」
「ヤス、お前何してんだよ」
「えーっと、サクの様子を見に?」
「嘘つくなボケ。女漁りしに来やがって」
「いや、魔王様のとこにいると思ったから来たんじゃん」
「え?サク?え?ん?ってことは、ん?」
いつまで馬鹿面してんだよ。つうか何で2人で出てんだよ。
「デンゼル、元クライストだよ。闘神」
「…………お、お久しぶりです」
「何してんの」
「いや、その、魔神様が、チビを探そうって、だから、な?」
「なるほど。へぼくなった俺に代わって魔王様を捕まえようってか。偉くなったもんですな」
「サクなら参加させられるだろうって思ってさ。にしても、予想外に弱くて焦ってるけどね」
「俺を殺したら殺し返すからな」
「…………へっ、今のお前に出来んのかよ。今なら小突いただけで殺しちまうかもしれねぇなぁ」
俺がへなちょこだからって急に舐めプしようとするその姿勢は尊敬する。
「以上が大会の規則になります!」
やべ、全然聞いてなかった。
「勝ち残りトーナメント方式。違反は武器と相手の殺害だって」
「りょ。お前らが人柱になってくれれば俺は2回戦うだけだな。頼んだぞ」
「俺らを簡単に殺すな!言っとくが、俺はお前に協力しないからな」
「あっそ。フィーネに殺されるだろうけど恨むなよ」
「………………あれ?俺、何で大会出てんだ?」
俺を探しに来たんだろが。目的変わってんじゃねえか。
「それでは1回戦、デンゼル選手対シャクラ選手!他の選手の方は離れてください!」
せめてリングなりなんちゃら武闘会みたいな会場作れば?本当に俺を消すためだけにやってる感すごい。
皆は?みたいな顔してテキトーに歩いて離れて行く。ですよね。
「両者、準備はよろしいですね?それでは、始め!」
俺ら以外が離れたら準備完了なの?俺の心の準備まだだけど?
「………悪いけどこれも勝負だ。俺の将来の為に死んでくれ」
「殺したら負けだろ。何したいんだよ」
「……………俺何で出てんだ?」
煩悩バカめ。後のこと考えろよ。
「と、とりあえず、勝てば魔王様と婚姻出来るんだ!絶対勝つからな」
「俺には儀の直前に謎の死を迎える未来しか見えんがな」
「……………お、俺の強さを見れば、魔王様も惚れたり?」
「しない。まずあいつの方が強いからな」
魔闘気でどうこうじゃない強さだぞ?勝ちたきゃ闘神気を覚えるんだな。
「………まぁ、チビ見つけたからいっか。はぁ」
「そんなだからモテないんだよ。必死かよ」
「お前にはわからねぇだろうな!ちょっと世界救ったからっていい気になんな!」
兄貴疲れてんだな。休ませてやろう。
「おら!とっとと戦えや!」「ビビってんのか!早くやれ!」「さっさと死ね!」
完全に俺宛のデスコールじゃないですか。お前らルール聞いてたんじゃないの?
「とりあえずどうすんだよ。俺どうやってもお前に負けないぞ?」
「はいはい。んじゃがんばりますよー」
「は?」
アホか?みたいな顔やめろ。優しさを持ってないからモテないんだぞ。
というわけで、頑張る。
超集中を使い、周りに漂ってる魔力を集めて集めて集めまくる。
「あ?何やってんだ?」
「うっさい」
魔力をどんどん集めて魂に魔力を送り込む。
すると、へたってた魂がどんどん力を取り戻し、どんどん強くなり、どんどん生命力と魔力を生み始めた。
オリジナル戦で魂使い倒して何となくやり方わかったからやってみたけど出来るもんだな。
「お、おい、何やってんだ?」
「気合い入れてんだろ。見てわかるだろ?」
「い、いや、あの、気合いって次元じゃ……」
確かに。もうぶっちぎりの雑魚からぶっちぎりの闘士に早変わりだからな。腐っても闘神ですからね。
「別になんでもいいだろ?んじゃ、やりますか」
「いえ!棄権します!」
「棄権は極刑じゃないの?」
「え?マジで?」
話聞いてないんかい。
「いえ?そんな決まりはありませんが?」
そんな話ないんかい。まぁ勝ちが簡単になったというわけですか。
「えー、デンゼル選手が棄権という事なので、勝者はシャクラ選手でーす」
「お前気合い足りなくね?入れよっか?」
「大丈夫です!ありがとうございます!」
うむ、元気でよろしい。
こんな感じで一勝を気合いで掴み取ったが、皆もお気づきになられたんでしょうね。
俺以外棄権しやがった。
ちょっと他の奴らの10倍くらい闘気と魔力使える様にしただけで棄権するとは。情けない。
「…………えー、ただいま、シャクラ選手以外の選手が全員棄権したため、シャクラ選手の優勝です。おめでとうございます」
「ありがとうございまーす」
「では、これより魔王様から、直接、賞金である金貨5枚と、一言いただきたいと思います。魔王様お願いします」
「はいこれ。おめでと。名前決まった?」
「まだ。いや今聞くなよ」
「ん。あ、双子だから」
………………それ今?
これにて大会は終了させる事が出来た。
俺がまた戦えると知ったお義父さんは最初は一瞬喜び、今では頭を抱えてる。まだ諦めないの?
次に大会後にヤスが魔王様の側近に取り立てられやがった。
「俺がいたら色々楽でしょ?」
倍問題が増える気がしてならないんですが。
兄貴はヤスの補佐だとか。完全に雑用じゃん。
「サクラ、お疲れ」
「おー。なんとかなったな」
「ん。それじゃ、式」
「いつ」
「明日」
「………早くね?」
「早くしないと産まれるよ?」
………早くね?




