50話
「兄さん!」
「あ、エリス助けて」
「…………何してるの」
「それこいつに言って」
「ん」
「兄さん」
「俺じゃないでしょ!」
感動の再会でしょ!?何でクズを見るかのような目で見るの!?
エリスちゃんがダッシュで駆けつけてくれたみたいなのだが、魔王様を見て、俺を見て、気持ちが冷えてしまったようです。ひどい。
「闘神様、お久しぶりです」
「お久し?でいいかわからんけど、自分見てる感じでなんか背中かゆい」
「大丈夫?」
「いいから離れろ」
「ん」
「いや背中かいてって言ってない」
むしろくすぐったい。離せぃ。
エリスと一緒にクライストとアンナちゃんが来てくれた。クライスト違和感すげぇな。
5年で中性的な顔がイケメンに変わっとるやん。
アンナちゃんは何か色気があるな。お姉さんなだけあるな。
エリス?女神。
「一応確認してもいいですか?貴方は闘神様で、元はクライスト君、だったんですよね」
「グッド。その通りですよアンナ殿」
「その変な感じ、確かにクライスト君ですね。今はサクラ様ですけど」
「様で呼ばれると背中かゆい」
「ん」
「だからいいって!」
俺は抱き枕でもお気に入りのお人形でもないぞ。離しなさい。
「兄さん。………兄さん、でいいんだよね」
「あなた、でもいいんだよ」
「あなた」
「魔王様は黙ってて」
「はぁ、全然変わらないね。お兄ちゃんを見習ってほしいよ」
「お兄ちゃん?俺でしょ?いや俺は旦那か」
「クライストお兄ちゃんの事。兄さんは旦那でもなんでもないから。むしろ他人?」
「ぐはっ!………もう………ダメだ………」
「ん」
「くすぐったいからやめなさい。ケツ触んぞ」
「皆の前でするの?さすがに恥ずかしい」
「おいやめろ。俺が睨まれてるだろ」
エリスちゃんの前でえっちぃ事は禁止です!
「そういやアンナちゃん、アリス知ってる?」
「へ?何がですか?」
「今奴隷商にいるんだよね。この変態神、チチパイパイ様のせいで」
「変なあだ名つけんな。後でちゃんと謝るつもりだったし」
「言うは易し」
「はいはいきよし」
雑に返すな。アリスの姉さんに殺されるぞ。
「それじゃあ僕が姫様を迎えに行ってきます」
「お、よろしくね」
「またすぐに戻ります」
クライスト君にお姫様ーズをお願いして、エリス達の調査結果や情報交換をし始めた。
「結局成果なしと。後行ってないとこは無い?」
「そこは師匠が確認してくれてるから大丈夫」
「へー、それはいいんだけどさ。エリスは感動の再会とか無いの。お兄ちゃん!って胸に飛び込んで来てくれても良かったんだよ」
「姉さん見たらいいかなって。生きてるって聞いてたし」
「おいバカ魔王、お前のせいでエリスがハグしてくれなかったんだぞ。早く離れなさい。頭グリグリすんな」
「ん」
なんで一文字でしか反応しねぇんだよ。つうかあでも二文字は言ってんだろ。
「旦那様!!!」
「うるさ」
「おう、早かったな」
「なんでお前が反応するんだよ」
「俺の嫁だからだ」
「お前正気か?さっちゃんに殺されるぞ」
「天国で微笑んでくれてる。多分」
「キレてる時も微笑んでるよな。絶望じゃん」
「旦那様、それ誰?」
「これが闘神だよ。元クライスト」
「嘘!?この弱っちいのが!?」
「しばくぞ」
「いや無理だろ」
確かに。でも俺にアイテム龍神があるからな。
ワンパン出来るっしょ!
「やっほー。クー君久しぶりー」
「マーリンさん軽い。もう少し何か無いの。涙腺が緩いとか」
「アホか」
「うるせぇジジイ。まだ生きてたのか」
バカがどうやって来たのかと思ったらマーリンさん達と来たのか。申し訳無いけどもう送還してほしい。
「んで、お前1人かよ」
「は?まぁ」
「………そ、そうかよ」
「何だ。文句あるのか」
「態度悪くね?」
「雑魚のくせにうるさいなぁ」
「…………おいタツ」
「許せ雑魚。嫁は正直なんだ」
「キレてもいいって事だな」
「大変申し訳ありませんでした!ナディも謝れ!殺されるぞ!」
「…………ごめんなさい」
いやいや感出しすぎ。逆にイラっとするっつの。
「……そういえば、エリスはいい人とかいるん」
「え?いないけど、何で?」
「なんでもないよ。これからもお兄ちゃんが側にいてあげなくちゃと思ってな」
「いや」
「なん……だと…………」
「大丈夫。私が紹介するから!」
「心配しかないでしょ。エリスより先にノエルさんでしょ」
「あー、その話は本人には絶対に言わないでね」
「察した。ごめん」
もうそこまで行ってしまわれたか。南無。
「というか、今相手いないの3人だけだよ」
「俺にはエリスがいる。痛!つねんな!」
「クー君は式だけだけど、ノエルとエリスちゃんは全然見つからないのよね」
「って事はアンナちゃんとアリスも嫁に行ったのかよ。ん?お姉様とニアも?」
「先の2人はクライスト君のお嫁さん。後の2人は龍神様のお嫁さん」
「節操なしだな。まさかロリコンだとは」
「ニアはもうエリスより女だぞ」
「下ネタじゃねぇか」
「見た目だっつの」
あのちびっ子がそんな成長したのかよ。引くな。
「クー!帰ってきたの!?」
「お、シエルー。ただいまー」
「………おかえり」
「やめて引かないで。というかこいつ離して」
「えっと、さすがに、ね?」
かわいく言っても状況は好転しないんだよ。助けて。
「お父様!お母様!」
「エミリー!無事だったか!良かった…」
「アリスも無事で……。おかえりなさい」
「2人とも無事で良かった……。これも闘神様のおかげです。ありがとうございます」
「ありがとうございます。サツキ様」
「うお!」
「お、お前!何言いやがった!」
「いやついふざけて」
「バカかよ!ゾッとしたわ!」
「俺もだ。今は後悔してる」
つい声出たもんな。ワロタ。
「とりあえず揃ったか。んじゃ作戦会議かー」
「つっても桜散る作戦の時と一緒だろ」
「俺が弱体化してて良かったな。全盛期だったらボコボコにしてた」
「うわぁ、とてもこわいよー。んで作戦は異空間組とこっち組だな」
「異空間?そこにシャキーンがいるんですか?」
真面目な顔で言われると笑うに笑えない。辛い。
「サクの読みではな。まぁ確実とは言えないんだけど」
「ならまたこいつに行かせればいいんじゃない?どうせまた生き返るでしょ?」
俺が弱くなった途端雑に扱うな。かわいそうだろうが。
「弱すぎて戦力にならないから戦わせないよ。邪魔だからな」
「お前もよく言われてたよな」
「言うなバカ!とにかく、異空間には俺とエリスとクライスト、他は自国を守る。以上!」
「異議あり!エリスは俺の側が1番だ!」
「兄さんには姉さんがいるでしょ。兄さんをよろしくね」
「安心して。もう離さないから」
「物理的に離せ」
いつまでしがみついてんだよ。今大事な会議。
「んじゃここはシエルと爺さん。獣王国はナディとマーリンさん、魔王国はこいつとアンナちゃんってとこか」
「だな。作戦は明日でいいな。んじゃ解散。終わったらサクの葬式と祝勝会だな」
「式って言うな」
「婚姻」
「………今度な」
「やだ」
「わがまま言うんじゃありません!」
「やだ」
「兄さん、姉さんも……」
呆れないで!俺は被害者じゃん!
「サクラ、いいの?」
「エリス?」
「ん」
「死んだ奴に偉そうに言われたくないでしょ。それにエリスめっちゃ強いし」
「そっか。それじゃあ帰って式上げるから」
「怒られるから絶対にやらない」
タイミング考えろよ。落ち着きなさい。
俺と皆の感動の再会などなくババっと解散しやがった。ひどいよ。
俺は魔王様が離してくれないから魔王国に行くことになり、置いてけぼりかましたバカ騎士様と前魔王様にずっと圧かけられてたよ。辛い。




