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楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
2章
50/59

49話

転移で王国の城下町にある魔導商会へ移動し、国に帰った。


久しぶりにお国に帰ったが、これからどうしよ。

魔王からは当たり前の様に逃げたけど、あいつに聞けばエリスの場所わかったんじゃね?

でも絶対こき使われるからそれはまだ勘弁してもらいたい。


それに俺がこの世界に戻ったって知った?から、あいつもおそらく、多分、もしかしたら元気になったかも、かも!しれないからいいよな。

また汚ワード連発されるだろうけどな。


とにかくこれからの行動を考えないといけない。

とりあえず情報収集でもないが、とにかく歩き回りながら考える。


まず1番の目標は、エリスに会う事。

次にクライストに会って一応謝りたい。勝手に体使わせてもらってたからな。

他はとにかく知ってる奴らに会わないのがベストだな。

俺は2度と戦わされないぞ。今の戦闘力じゃ魔物にすら勝てないからな。死んでまう。


商業区を歩きながら周りの様子を見て歩いてたんだが、なんか雰囲気暗いんですが。何、下着泥棒でも出たん?

巻き込まれたりしない様に先に情報を集めましょうか。いつでも逃げれる様にせんとね。


「すみません。旅の者なんですが、最近何かありました?」

「………君、知らないのか?まぁ、旅なら仕方ないのか。実は、国王様にシャキーンの一味の疑いがかけられていてな」

……………商業区の人が普通に返してくれたのもびっくりなんですが、話の中身もびっくらこいた。


「それで、今国王様は?」

「今は城の牢に幽閉されている。王だけでなく王妃様や王子も捕まっているよ」

「………あの、姫様は?」

「第1王子以外は皆奴隷に落とされてしまったよ。王や王妃が事実を認めないからだとね」

ア、アリスちゃん?知らない間にとんでもないピンチですね?


「それ誰がそんな事言い出したんだよ。相手王様でしょ?」

「それがなぁ、龍神様が言い始めたんだよ。つい2日前に急に現れてな」

……………後でボコボコだな。


というわけで、2度目の奴隷商に行く事になってしまったよ。無一文なんですがね。

さすがにあれ聞いて放置は申し訳ないからな。


「いらっしゃいませ。どんな奴隷をご所望でしょうか」

「姫様います?」

「………えぇ、お会いになりますか?」

「よろしくお願いします」

なんか嫌な顔されたんですが。我慢して、俺も結構嫌だから。


商人に案内してもらい、奴隷を入れている牢を見て周る。

少し歩くと、いた。かなり大人びているが、アリスだ。

そして隣にもう1人女性が入ってる。見た感じアリスの更に大人版なので、多分姉だな。めっちゃ睨む感じ怖い。


「こんにちは」

「…………」

「…………」

おっと、話しかけただけで殺すぞ?っていうオーラがビンビンに感じるよ。び、美人が台無しですよ?


「お客様、この方々はオススメしませんよ。高貴な方々ですし、この通り誰に対しても殺意が溢れて止まりません」

「皆面白がって見に来たとか?」

「理由は違いますが、多くのお客様が来た事は間違いありません。そのせいで、お二人はこの様に」

「なるほどね。口説き方が下手だったと。それはいけませんな」

多分種付けプレスしませんか?とか言いやがったんだろ。アホだな。


「ごほん!……綺麗なお嬢様方、僕と、踊りませんか?」

「死ね」

「消えろ」

君たち王族の姫様だよね?口悪いよ?怒られないか?


「まずは君たちの名前を教えてくれないかい?」

「チッ」

「消えろ」

おっと、当たりが強いな。俺じゃなきゃ心が折れてるところだ。


「あぁ、なんて美しい方々なんだ!僕の心は君たちに捉えられて、もう!離れられないよ!」

「チッ」

「消えろ」

はっはっは。あれだね、一周回ってかわいいって思おう。うんかわいい。


「お嬢様方、俺のために毎日味噌汁を作ってくれないか?」

「死ね」

「消えろ」

アリスはどんだけ俺に消えてほしいんだよ。お姉様の倍は殺気強いし。


「ていうかシエルもアンナちゃんも来てないの?絶対黙ってないじゃん」

「え!?な、なんで?」

「アリス!」

「んー、そうだなー。とりあえず龍神の敵?ってとこだからかな」

「…………」

「…………」

「お、お客様、ご冗談でもそんな事言わない方が…」

「バカ言わないで下さいよ。あんなクソボケに何言おうが俺の勝手でしょ」

「で、ですが」

むしろなじってくれてありがとうございますって言うレベルだからな。


「………貴方、名前は?」

「えー、んー、んじゃサツキで」

「サツキ?」

「そー、サツキ」

これはタツの彼女の名前だ。あいつはさっちゃんに頭が上がらないからこれ聞きゃビビるだろ。


「ねぇ、サツキ。貴方は私達に何をさせたいの」

「…………………何も無い。どうしよ」

「……………」

「バカなの?」

………バカですね。サツキって呼ばれる度に違和感でゾワってするくらいバカです。やめとけばよかった。


「貴方、何で私の友達を知ってるの。学校にいたの?それとも貴族?それとも、龍神の仲間?」

「最後の何。違くない?」

「私は貴方を知らない。この国で私とシエルが仲良くしてるのは皆知ってる。でも、アンナは学校以外で全く会わないから知らないはず。貴族や学校の関係者は全員私の知ってる人間だから、貴方だけ。貴方だけおかしい」

この子よく覚えてんな。俺なんてフリードくらいしかちゃんと顔思い出せないよ。皆ごめんね?


「貴方は誰?何のために私達に会いに来たの?」

「龍神の手下なら今すぐに帰って。じゃないと、貴方を殺す」

「へ、へへ、牢でそんな事言われても怖くないもんね」

「あ、お客様。ここは開きます」

「…………なんで?」

「私はこれでも王に忠誠を尽くしているんです。その方の娘である姫様方に今以上の無礼は出来ません故」

「了解。落ち着いて話し合おう。暴力は何も生まない」

「死体を1つ生むわ」

絶対殺すマンじゃん。ウーマンか。てへ。

どこにも奴隷紋が無いのはそういう事な。先に言って。


「最後に言い残したことは?」

「俺を殺したところで第2、第3の俺がまたここに来る!」

「それ本当?なら死んで」

「嘘!うーそでーす!!冗談!お嬢様も冗談だよね!?ね!?」

「本気よ」

「よしわかった。全て話そう。それからでも遅くないだろ」

「……いいでしょう。話しなさい」

ふぃー。お姉様怖。アリスちゃん止めてよもー。

ごめん睨まないで。


「では、まず、俺は龍神の仲間?であり敵でもある」

「どういう事?」

「龍神とは、まぁ友達の友達みたいな感じ。んで敵なのは、なんかイラっとするから」

「……………」

「意味がわからないんだけど」

お、おぅ。わかったからあんま怒んないで。構えないで。


「俺が言いたいのは、あいつが偉ぶって調子乗ってるからムカつくって事」

「バカなの?」

「お姉様、落ち着いて。まだ殺してはダメです」

「そ、そそ、そうですよ。貴重な情報源でしょ?ね?ね!?」

「チッ」

殺人衝動でもあんの?くらい俺にガン飛ばしてくる。ちびりそう。


「でも、仲間なのになんでシエル達の事知らないの?」

「え?別行動、的な?」

「そう、まぁいいわ」

「んじゃ聞いてもいい?お友達は何してんの?」

「本当に知らないのね。今、天使を使って世界を混乱させている組織、シャキーンの根城を探して旅しているのよ。最初はマーリン様とアラド様が後継者を指名して旅に出たの。2年経って戻って来た時に成果が全く無くてシエルも連れて行ったのよ」

「へぇー。マーリン様でも見つからないんだ」

「そう、それでアンナは5年前に勇者エリスの従者として旅に出たわ」

なん………だと……。エリスが、旅だと。お兄ちゃん危ない事許さないよ!


「なんで勇者様は旅してんの?」

「………貴方本当に龍神の仲間なの?」

「そだよ。ほれ、続き続き」

「はぁ、エリスちゃんはシャキーンの首魁を探しながらあるものを探しているの」

「まさか、旦那様とかじゃないよな…」

「バカなの?」

「本気だぞ!」

「黙れ!死ね!」

「お姉様待って!まだ何も聞けてないですから!もう少しだけ!」

もう殺すしかないじゃない?みたいな顔やめて。


「エリスちゃんは、お兄さんを探しているの」

「え?闘王クライスト?一緒じゃないの?」

「一緒よ、でも違う。探しているのは彼に入っていた魂。もうわかったでしょ?」

「まぁ、それはわかった。でも死んだんじゃないの?」

「生きてる!!彼は絶対生きてる!!」

「な、なんでわかるんだよ」

「そ、それは…」

「もしかして龍神様がどっかに魂落っこちてるとか言ったから。じゃないよな?」

「…………」

当たりかい。今敵なんじゃないの?信じちゃダメくね?


「貴方にはわからないわよ。例えこんな目に合わせた奴の言った事だとしても、この子の大切な人が生きてるかもしれないっていう希望だけは捨てられない。貴方みたいなクズにはわからないでしょけどね」

持ち上げて落とすのはいいけどドン底まで行く?

まぁいいや。とにかくもう殺されそうだから逃げよう。


「さいですか。色々あんがとねー。んじゃ怖いから帰るわ」

「え?」

「………貴方本当に何しに来たの」

それな。まぁ何とかするから許してよ。

ご褒美は働かなくてもいいくらいお金くれればええで。


お姉様の怒りは意外にもすぐに鎮火してくれて何事も無く帰らせてもらえた。

中身知ってる人は知ってる世間話しかしてないもんな。そりゃ呆れるか。


お姫様救出作戦を決行するため王城へ行く。

変態神が乗っ取ってるからか知らんが、門番以外誰もいねぇ。めっさ嫌われとるやん。

まぁ行ってみましょう。


「すみません。龍神様に会いたいんですけど」

「はい。どうぞお通り下さい」

「あ、はい。……いいんですか?」

「ええ、龍神様に何かしようとしてもどうせ何も出来ませんから」

なるへそ。神様お強いから勝手にやって勝手に潰されろってスタンスですか。ちゃんと働きなさいよ。


中を進んで行くと、まぁ人がいない。お暇をいただいた的な?可哀想に。俺が仕返しするから待っててね!


王の間、っぽい所まで来た。

すると偉そうなバカが目を瞑ってカッコつけてんな。殴りたい。


「貴様、何様だ」

「龍神様、お覚悟」

「へ!?おま、ぎゃ!」

見事に玉座でふんぞり返ってるバカにドロップキックをぶちかました。仇はとったよ……。


「い、痛ぇ、お、お前、何してんだ!」

「こっちのセリフだバカ。何トチ狂った事してんだよ。さっさと死ね」

「殺すな!ていうかお前やっぱり生きてたのかよ!」

「優男と一緒に魔界までランデブーする羽目になったんだよ。お前らのせいだからな?」

「いや、それはごめん。いや連絡しろよ!」

「お前俺らがどんだけ弱ってるか知らねえだろ。今ただの人間だからな」

「……確かにクソみたいに弱いな。俺でもボコボコに出来るくらい」

「あ?かかってこいや」

「冗談です」

このバカにだけは絶対負けない。負けられない戦いが、そこにある!


「つうか何で生きてるってわかるんだよ」

「クライストに聞いたら魂が抜けた感じがしたって言ってたからな。死んだら抜けるんじゃなくて消えるからな」

「あっそ。んでシャキーンって何だよ。お前のネーミングした様なクソダサいやつ」

「俺じゃねぇよ!多分だけど、オリジナルを買い取って弄った奴らの遠い子孫かなんかだ。大昔の資料見つけてはしゃいでるクソ共だ」

「まんまお前じゃん」

「今は迷惑かけてねぇだろ!」

「残念かけてる」

「嘘?」

「本当」

「………さーせん。痛ぇ!殴んな!」

蹴らないだけマシだろ。むしろ褒めろ。


「なんでまだ潰さないんだよ」

「潰せないんだよ。親玉が見つからん」

「異空間は?」

「探してない」

「死ね!」

「何でだよ!」

「オリジナル動かしたのそいつらだろ。異空間だって行けるに決まってるだろ」

「んな簡単に異空間が開けるわけねぇだろ。開けるには神クラスの力がいるんだぞ」

「何の為の天使だよ」

「世界征服だとよ」

「バカか!エネルギーを集めるのに使ってんだろうが!」

「えー、じゃあどうやってオリジナル起動したんだよ。エネルギー足りなくないですかぁ」

こいつマジで腹立つ。ワンツー!キック!

………世界は平和になった。


「痛いっつの!図星だからってキレんな!」

「黙れボケ!オリジナルは自力だバカ!だからつい最近まで再起動出来なかったんだろボケ!」

「お、おう、確かに」

「動かせりゃそいつらのもんだろ。起動前に設定いじりゃ後は遊ぶだけ」

「お前名探偵かよ」

むしろお前何のために長生きしてんだよ。これくらいすぐ気付くだろ。


「とにかく、お前が捕まえてるとかいう王様に会わせろ」

「は?何で?」

「お姫様さー、俺の友達なんだよね」

「………す、すぐにご案内します。だから殴らないで」

「うむ、よきにはからえ」

「ははぁ!んじゃ付いてきて」

殴らないからビクビクすんな。蹴るぞ。


バカに着いて行き、地下まで降りた。遠い。

城に誰もいなくね?って聞いたら王様捕まえたら皆城から出たったとか言いやがった。ひでぇな。


地下牢に着き王様を見つけた。

めっちゃ睨んでるやん。王族って当たり強いのが当たり前なの?


「何様だ、龍神。またくだらない話をしにきたのか?」

「サク、どうすんの」

「王様シロ、王妃もシロ。あちゃー、王子様はクロだなー。残念」

「は?」

「急に何を…」

「まぁシャキーンだかなんだかはもう目処ついたしどうでもいいから、王様と王妃は解放だな」

「お前マジかよ。つうか何でわかるんだよ」

「勘に決まってんだろ」

「うわでた。テストで満点とったやつ」

今でも自慢出来るやつ。殆どは問題わかってたんだけどね。


「貴様らは何の話をしている!」

「王子がシャキーンの手下かなんかって話」

「う、嘘よ!この子がそんな事…」

「デタラメを言うな!大体、貴様は一体なんなんだ!」

「アリスのお友達、って言えば納得してくれますか?」

「なん………まさか、貴方が……」

「ちなみに内緒にしてね。その方が面白いから」

「え?ごめん。皆に連絡したわ」

「お前何してんの!?いつしたんだよ!」

「移動中」

「誰に言った?」

「魔王城に行った時のメンツ」

皆中の皆じゃん。全俺が逃げろって叫んでるよ。

もう死にたくないよー。てかどうやったんだよ。


「まぁそういう事だから、すまないな」

ちゃんと謝れよ。

「…………わかりました」

「ち、父上!私は!」

「お前を信じてやりたい。だが、あの闘神様の言葉だ。信じる他はない」

俺の評価異常じゃね?タツをもう少し信じてよ。笑っちゃうじゃんか。


王様と王妃様を牢から出した。すまんな王子様。


「それじゃ王様、後はよろしく。俺はちょっと出てくから」

「は?どこ行くんだよ。皆来るぞ。エリスも」

「ぐっ!だ、だが!俺はもうこき使われるのはごめんなんだ!すまないエリス。お兄ちゃんを、許してくれ!」

「お前、俺とかヤスには強いけど他の奴には弱いもんな」

シャラップ!好きでやってるわけじゃねえよ!


王様達を引き連れて階段を上がる。途中で王子の叫び声が聞こえてきて怖かった。幽霊出そうだもんな。


一度王の間に戻り、これからの行動を確認した。

王様には、王子がアウトで、シャキーンの居所を見つけたからぶっ潰す宣言してもらう。

タツは俺のアッシー君。それとアリスとお姉さんの解放。まぁされてるんだけど。


んで俺はとりあえずテキトーに逃げる。シャキーンをぶっ潰してもらって、その後皆に挨拶周りっていう安全かつ慎重な作戦だ。

皆、俺は皆を信じてる。だからこその行動なんだよ。許してくれ。


「それじゃ手筈通りにお願いしますね」

「わかりました。またお会いしましょう」

「王様、本当にすみませんでした。今度また来ます」

「はい。龍神様もお達者で」

こいつにはまたねって言わないのな。嫌われてんじゃん。


「サク、お姫様を出した後どこ行くよ」

「あー、その辺の村でいいんじゃね。クライスト達ならすぐに何とかしてくれっだろ」

「軽いなー。エリスに怒られるぞ」

「うるせぇ」

命を大事に!って知らねえのか?


「んじゃ転移するぞ」

「うーい」

タツを待ってると、王の間の扉がゆっくり開き始めた。怖!ホラーじゃん。


「…………見つけた」

…………ホラーじゃん。早いよ。

「どちら様で?」

「自分の嫁もわからないの」

「俺に嫁はいないけど」

「死んでまた記憶飛んだの?思い出させようか」

「どうやって」

「殴ったら思い出すって。エリスが」

それは違うよ!古い家電じゃないんだから。


「タツ」

「あー無理無理。無効化された。魔法は敵わないわ」

諦めんなボケぇ!お前を盾にしてやるからな!


「ゲロカス」

「誰それ」

「誰って言ってんじゃん。人じゃねぇだろ」

「謀ったな!」

純真無垢な俺を罠にかけるなんて!キモいな。


「サクラ」

「………なんだ」

「私の事、嫌いなの」

「好きだよ」

「…………」

「…………」

「………なんだよ!」

「お前、マジか」

「うるせぇ」

腹立つ顔すんな。愛と勇気だけが友達パンチすんぞ。


わけのわからんやりとりをしてると、魔王様が近づいて来た。死ぬ。

久々のアイコンタクト。

タツ転移。

……無理?面白そう?無理じゃねぇだろ!


魔王様は俺に直進し続け、そのまま俺に抱きついてきた。妹かよ。いやエリスにこんな事してもらった事ねえか。


「おい」

「ん」

「ん、じゃねえよ」

「ん」

「………あのー」

「ん」

………………詰んだ。


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