47話
「無事到着しました。皆さん、ありがとうございました」
「まぁ、結局何もしてませんけどね」
「いえいえ、我々が安心出来たのも、楽しく移動出来たのも、皆さんのおかげですから」
俺は全く楽しく無かったですがね。おいバカ、なんでドヤ顔してんだよ。
護衛は何の問題も無く終了した。
ただ馬車に乗せてもらっただけで申し訳ない。
でも報酬はもらう。だって食費が。
「それで、これからどうするのですか?また馬車を借りて移動ですか?」
「一応そうなるけど、次の街までだね」
「は?なんで」
「貴様、知らんのか?これだから凡人は」
「はーいさーせん」
「あ、すみません。私もわからないので教えて下さい」
「ええもちろん。なんでもお答えしますよ」
目の前でいじめが起きてますよ。騎士様仕事しろや。
「次の街には魔導商会があります。そこには色々な魔道具や魔法に関する知識、そして料金を払えば色々な魔法を使用してもらう事も出来るんだ」
「んで?」
「チッ」
「あ、あのー、それで、どうするんですか?」
「実は魔導商会では、転移魔法を使用してもらえるんだ。料金に応じて距離は変わるんだけどね」
「そこから魔王国って幾らかかるんだよ」
「チッ」
「お前喧嘩売ってんのか?」
「い、い、いや、す、すまない、じ、冗談、冗談だから、いや、ですから」
「サクラ殿、抑えて」
ストレスが爆発して思いっきり殺気をぶつけた結果怒られた。こいつに窘められるとは……屈辱!
というかエリートビビりすぎだろ。俺程度なんて顎パッカーンなんだろ?お得意のカマキリ拳法見せてくれや。
「とにかく、まずは食料の調達です!」
「バカ、次の街は馬でどんぐらいかかんだよ」
「そ、そうだね。まぁ2日もあれば着くかな」
「んじゃ一応3日分だな。基準は俺」
「そんなんじゃ足りないじゃないですか!」
「金が足りなくなんだろバカ。なんだ?体売ってくる気になったか?」
「なりません!」
「な、お、俺が買っても、いえなんでもありませんすみませんでした」
賢い選択だ。頭と胴体がお別れしなくて良かったな。
買い出しは俺がやることになり、バカと変態は足の調達に行かせた。
おねだりされたため蹴りを入れた。まぁ諦め無かったので抓った。泣かないで。
「サクラ殿、ご飯持ちますよ」
「信じていいんだな」
「…………も、持ちますよ」
「食ったら置いてくからな」
「うぅ〜そんなぁ〜」
アホか。アメちゃん食ったろ。
準備が終わるとすぐに出発した。馬は騎士様が操れるらしいのでお任せ。
………俺、変態と2人で後ろか。辛たん。
2日後、道中は今回も問題無く移動出来た。
まぁ、移動中の空気は本気で重くて泣きそうだった。
しかもバカの運転が荒くて8回吐いた。そのせいでニヤケ面の変態をつい殴ってしまったではないか。ひどいな。
「到着!では!ご飯ですね!」
「…………お前のせいだがな」
「…………レナちゃん、食べ過ぎ」
「…………ごめんなさい」
このバカは恒例化したいのか知らんがまた飯を食い尽くした。おかげで1日断食したよ。バカ。
1日抜いた分をチャージしてから魔導商会へ移動した。バカは10日分食って変態に払わせたよ。
初めて変態に同情したよ。その心、泣いてるね。
「すみません。リューベンスへ転移して頂きたいのですが」
「ええ、行けますよ。運が良いですね、たまたま空いてますよ」
「混んでるとかあるんですか?あとリューベンスってどこ」
「魔王城下の街ですよ」
「そうです。そして、転移は距離によって消費する魔力が全然違うんですよ。ここからリューベンスへは、1度転移すると5日は待ってもらわないといけませんので」
おぉー。結構ラッキーやん。普段の行いやな。
「そうですか、ではお願いします。料金は幾らでしょうか」
「金貨3枚になります」
「……………レナちゃん」
「え、えと、サクラ殿?」
「……………こっちは2枚」
「……………さっきの食事で空です」
「おいバカ、体売ってこい」
「ご、ごめんなさい!!」
これも普段の行いか。笑えへん。
「あの、一応予約という形も取れますよ?」
「え?そうなんですか?」
「はい。ですが、次のお客様が来た場合、お待ちできるのはお客様が来てから1日だけです。なのでそれまでに来て頂かないと予約は取り消しさせて頂きます」
「おぉー。それでお願いします」
「ありがとうございます!」
首の皮一枚ですな。肝を冷やしたぜぇ。
「んで、どうやって稼ぐ」
「まぁ、依頼、ですよね」
「もしくは賞金首を捕まえる、とかですね」
「なんだそりゃ。絶対都合よく見つからんだろ」
「そうなんですよね」
「なら言うな変態カス。そうだ、お前の持ち物売れば足りんだろ。出せ」
「ちょ、い、嫌ですよ。レナちゃんは何か売れるものとかありませんか?」
「体」
「嫌ですよ!!サクラ殿なら買いますか!?」
「内臓売れるもんな」
「いやぁぁぁーー!!!」
「痛え!!」
本気ビンタやめろ!首が捻れるかと思ったろ!
他の案が結局出なかったのでギルドに直行。
結構良い案だと思ったんだけどなー。
ギルドに入って依頼を確認。
………………何も無いねぇ。
ついイラっとしながら2人を見ると目を逸らしやがった。もちろんつねった。泣いても謝らん!
「すみません。何か金がもらえる仕事ありませんか?」
「えっと、依頼は確認しましたか?」
「はい。でも何もないですよね。何かあったんですか?」
「いえ、逆に何も無くてこうなりました。この辺りは魔物も天使も野賊もほとんど出た事が無いんですよ」
早くも王手ですね。また歩きかー。今度こそ死ぬな。
「あのー、どうにか出来ませんか?じゃないと私売られちゃうんですよぅ」
「…………」
「俺たちは悪くない。こいつが全て悪い」
「れ、連帯責任……」
「節制した俺が爆食いしたお前の為に責任を取れと?」
「うぅ、レナード殿…」
「…………」
「せめてこっち見て下さい!」
これがお前の罪だ。往生せいや。
「あ、あの、でしたら、賞金首を捕まえるのはどうですか?」
「それ簡単に見つからないですよね」
「そうなんですが、今、この街にいるんですよ。とても困った人が」
「そ、それ!やります!」
「話聞いてからだバカ」
「その賞金首ってどんな奴なんですか?」
「その、実はそれ、下着泥棒なんです」
「…………」
「…………」
「………ど、同業者じゃん。良かったな変態」
「俺はそんな下品な事はしない!」
ナンパは上品でもなんでもないぞ。ゲス顔も下品だ。
話を聞くと、下着泥棒はこの街だけで100件ほど事例がある。顔も名前も割れてるのに捕まらないだとか。
そのせいで捕まえた報酬は金貨2枚との事。皆ゲキギレじゃんな。
「作戦とかあります?」
「変態の思考は変態に任せる」
「俺は変態じゃない!紳士だ!」
「おいバカ。どう思う?」
「…………そ、そうですね」
「酷いよ!」
フォロー出来なくてすまない。まぁ味方でもなんでもないからしゃあない。
とりあえず一泊して次の日に捕獲作戦を始動する事になった。あれだよ。心労がね?




