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楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
2章
48/59

47話

「無事到着しました。皆さん、ありがとうございました」

「まぁ、結局何もしてませんけどね」

「いえいえ、我々が安心出来たのも、楽しく移動出来たのも、皆さんのおかげですから」

俺は全く楽しく無かったですがね。おいバカ、なんでドヤ顔してんだよ。


護衛は何の問題も無く終了した。

ただ馬車に乗せてもらっただけで申し訳ない。

でも報酬はもらう。だって食費が。


「それで、これからどうするのですか?また馬車を借りて移動ですか?」

「一応そうなるけど、次の街までだね」

「は?なんで」

「貴様、知らんのか?これだから凡人は」

「はーいさーせん」

「あ、すみません。私もわからないので教えて下さい」

「ええもちろん。なんでもお答えしますよ」

目の前でいじめが起きてますよ。騎士様仕事しろや。


「次の街には魔導商会があります。そこには色々な魔道具や魔法に関する知識、そして料金を払えば色々な魔法を使用してもらう事も出来るんだ」

「んで?」

「チッ」

「あ、あのー、それで、どうするんですか?」

「実は魔導商会では、転移魔法を使用してもらえるんだ。料金に応じて距離は変わるんだけどね」

「そこから魔王国って幾らかかるんだよ」

「チッ」

「お前喧嘩売ってんのか?」

「い、い、いや、す、すまない、じ、冗談、冗談だから、いや、ですから」

「サクラ殿、抑えて」

ストレスが爆発して思いっきり殺気をぶつけた結果怒られた。こいつに窘められるとは……屈辱!

というかエリートビビりすぎだろ。俺程度なんて顎パッカーンなんだろ?お得意のカマキリ拳法見せてくれや。


「とにかく、まずは食料の調達です!」

「バカ、次の街は馬でどんぐらいかかんだよ」

「そ、そうだね。まぁ2日もあれば着くかな」

「んじゃ一応3日分だな。基準は俺」

「そんなんじゃ足りないじゃないですか!」

「金が足りなくなんだろバカ。なんだ?体売ってくる気になったか?」

「なりません!」

「な、お、俺が買っても、いえなんでもありませんすみませんでした」

賢い選択だ。頭と胴体がお別れしなくて良かったな。


買い出しは俺がやることになり、バカと変態は足の調達に行かせた。

おねだりされたため蹴りを入れた。まぁ諦め無かったので抓った。泣かないで。


「サクラ殿、ご飯持ちますよ」

「信じていいんだな」

「…………も、持ちますよ」

「食ったら置いてくからな」

「うぅ〜そんなぁ〜」

アホか。アメちゃん食ったろ。


準備が終わるとすぐに出発した。馬は騎士様が操れるらしいのでお任せ。

………俺、変態と2人で後ろか。辛たん。






2日後、道中は今回も問題無く移動出来た。

まぁ、移動中の空気は本気で重くて泣きそうだった。

しかもバカの運転が荒くて8回吐いた。そのせいでニヤケ面の変態をつい殴ってしまったではないか。ひどいな。


「到着!では!ご飯ですね!」

「…………お前のせいだがな」

「…………レナちゃん、食べ過ぎ」

「…………ごめんなさい」

このバカは恒例化したいのか知らんがまた飯を食い尽くした。おかげで1日断食したよ。バカ。


1日抜いた分をチャージしてから魔導商会へ移動した。バカは10日分食って変態に払わせたよ。

初めて変態に同情したよ。その心、泣いてるね。


「すみません。リューベンスへ転移して頂きたいのですが」

「ええ、行けますよ。運が良いですね、たまたま空いてますよ」

「混んでるとかあるんですか?あとリューベンスってどこ」

「魔王城下の街ですよ」

「そうです。そして、転移は距離によって消費する魔力が全然違うんですよ。ここからリューベンスへは、1度転移すると5日は待ってもらわないといけませんので」

おぉー。結構ラッキーやん。普段の行いやな。


「そうですか、ではお願いします。料金は幾らでしょうか」

「金貨3枚になります」

「……………レナちゃん」

「え、えと、サクラ殿?」

「……………こっちは2枚」

「……………さっきの食事で空です」

「おいバカ、体売ってこい」

「ご、ごめんなさい!!」

これも普段の行いか。笑えへん。


「あの、一応予約という形も取れますよ?」

「え?そうなんですか?」

「はい。ですが、次のお客様が来た場合、お待ちできるのはお客様が来てから1日だけです。なのでそれまでに来て頂かないと予約は取り消しさせて頂きます」

「おぉー。それでお願いします」

「ありがとうございます!」

首の皮一枚ですな。肝を冷やしたぜぇ。


「んで、どうやって稼ぐ」

「まぁ、依頼、ですよね」

「もしくは賞金首を捕まえる、とかですね」

「なんだそりゃ。絶対都合よく見つからんだろ」

「そうなんですよね」

「なら言うな変態カス。そうだ、お前の持ち物売れば足りんだろ。出せ」

「ちょ、い、嫌ですよ。レナちゃんは何か売れるものとかありませんか?」

「体」

「嫌ですよ!!サクラ殿なら買いますか!?」

「内臓売れるもんな」

「いやぁぁぁーー!!!」

「痛え!!」

本気ビンタやめろ!首が捻れるかと思ったろ!


他の案が結局出なかったのでギルドに直行。

結構良い案だと思ったんだけどなー。


ギルドに入って依頼を確認。

………………何も無いねぇ。

ついイラっとしながら2人を見ると目を逸らしやがった。もちろんつねった。泣いても謝らん!


「すみません。何か金がもらえる仕事ありませんか?」

「えっと、依頼は確認しましたか?」

「はい。でも何もないですよね。何かあったんですか?」

「いえ、逆に何も無くてこうなりました。この辺りは魔物も天使も野賊もほとんど出た事が無いんですよ」

早くも王手ですね。また歩きかー。今度こそ死ぬな。


「あのー、どうにか出来ませんか?じゃないと私売られちゃうんですよぅ」

「…………」

「俺たちは悪くない。こいつが全て悪い」

「れ、連帯責任……」

「節制した俺が爆食いしたお前の為に責任を取れと?」

「うぅ、レナード殿…」

「…………」

「せめてこっち見て下さい!」

これがお前の罪だ。往生せいや。


「あ、あの、でしたら、賞金首を捕まえるのはどうですか?」

「それ簡単に見つからないですよね」

「そうなんですが、今、この街にいるんですよ。とても困った人が」

「そ、それ!やります!」

「話聞いてからだバカ」

「その賞金首ってどんな奴なんですか?」

「その、実はそれ、下着泥棒なんです」

「…………」

「…………」

「………ど、同業者じゃん。良かったな変態」

「俺はそんな下品な事はしない!」

ナンパは上品でもなんでもないぞ。ゲス顔も下品だ。


話を聞くと、下着泥棒はこの街だけで100件ほど事例がある。顔も名前も割れてるのに捕まらないだとか。

そのせいで捕まえた報酬は金貨2枚との事。皆ゲキギレじゃんな。


「作戦とかあります?」

「変態の思考は変態に任せる」

「俺は変態じゃない!紳士だ!」

「おいバカ。どう思う?」

「…………そ、そうですね」

「酷いよ!」

フォロー出来なくてすまない。まぁ味方でもなんでもないからしゃあない。


とりあえず一泊して次の日に捕獲作戦を始動する事になった。あれだよ。心労がね?

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