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楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
2章
45/59

44話

怪しい旅人を普通に信じて案内してくれる、怪しい騎士様に連れ添い2時間ほど歩いた結果、村に着いた。もうちょいだったやん。


「おや?騎士様?龍の村に向かったのでは?忘れ物ですか?」

「いえ、途中で行き倒れた彼を案内する為に戻りました」

「旅人?はて、あなた以外にこの村を通った者はおりませんが」

「マーリン様に転移魔法で送っていただきましたので、それでだと思います」

「ふむ、なるほど」

怪しまれてる気がしてビビってる。おれいいひとよほんとよ。


「そうですか、では初めましてですね。ようこそ、アクダイカン村へ」

俺よりよっぽど怪しいな。この騎士様なんとも思わないの?急に旅に出たくなったよ。

「よろしくです」

揉み手もやめてね。悪はお主だけだからな。いやわからんが。


「それでサクラ殿、これからどうするおつもりですか?」

「とりあえず、1番近い大国に行こうかと」

「では魔王国ですか。ですが、今はあまり行かない方がいいと思いますが」

「え?なんでです?」

「知らないのですか?」

墓穴?いや聞かないで行く方が怖い。地雷原だったら笑えない。


「今の魔王国は少し荒れてる、というか、沈んでるんですよ」

「なんでですか?今は結構平和ですよね」

「え?そんなわけ無いじゃないですか。天使は今でもどこにいるかわからないですし、未だシャキーンは活動を続けていますからね」

地雷が多すぎてどうしようもない。皆5年何してたの?俺の頑張りどこいった?


「あの、シャキーンって?」

「それも知らないのですか?んー、旅に出ていたから?ですかね」

「そうです!その通り!」

「え、えぇ、わかりました。でも世界中にいるはずなんだけどなぁ」

そんな有名なの?めっちゃダサい名前だからタツの悪ふざけだと思ってた。


「実は、天使大戦の後にシャキーンという組織が現れ、天使を操り世界中を混乱させたんです」

名前とやってる事のギャップ。クソ迷惑なんですけどー。


「それめっちゃ危ないやつじゃないですか」

「そうですよ。だから知ってると思ってたんですよね。まだ本拠地も勢力も調べがつかないので、いつまで戦いが続くのかもわからないんですよ」

「なるほど。それと魔王国がなんの関係が?」

「シャキーンのせいで被害が少なくない事もあるんですが、最近魔王様があまり元気が無いそうです。噂では天使大戦の折に婚約者が行方不明だとか」

「……………へ、へぇ」

なんで今メンタルやられてんだよ。時間差すごすぎだろ。


「天使大戦の直後はかなり心を痛めていて、それでも、日々努力して国をまとめていらっしゃるのですが、まだ乗り越えることは出来ないそうで」

「…………ま、魔王様も大変ですね」

「そうですね。国をまとめる事やシャキーンの対策だけでも凄い事ですのにね。とても悲しいですよ。魔王様は今でも毎日枕を濡らしているらしいですから」

もうやめて!俺も泣いちゃうから!つうかたった数日で俺の何をそんなに気に入ったんだよ。そんなにゲロが好きなの?俺以外も出せるからね?


「それで魔王国全体の雰囲気が悪くなってましてね。あ、でもサクラ殿も人族ですし、多分皆さん優しく接してくれますよ」

「え?何故に?」

「多くのシャキーン所属の人間や、天使と戦ってくれてる方が人族の方で、魔族や獣人族の中で人族の評価が変わりつつありますので」

「その方ってどんな方ですか?」

「勇者エリス様、そして兄の闘王クライスト様ですね」

「マジ!?」

「うわっ、どうしました?」

「す、すみません」

闘王って、いや、ホントごめん。多分俺が関係してんだろうな。多分。


「闘王様って交代したんですか?」

「そうですよ。あと、知ってると思いますがマーリン様も隠居するらしいです」

「え、えぇ、そうですね…」

「後継者の方も聞きました?」

「いえ、それはまだ」

「シエル様ですよ。かつての1番弟子達が師を超えて、師匠達の後を継ぐ。なんと素晴らしい!」

「大丈夫ですか?」

「あ、す、すみません。つい。あ、実はですね、クライスト様は親戚なんですよ。私のちょっとした自慢です」

言質とりました。アウトです。あなたの一族はアウトです。


「まぁそれは置いといて、とりあえず宿をとって改めて旅の準備をしましょう」

「え?龍の村に行くのでは?」

「今は誰もいなかったのですよね。では、あなたを魔王国まで送ろうと思いまして」

ありがたい。でもどうしてもやばい気がしてならん。どうしよ。


「実はまだ魔王国には行った事が無くてですね。私の目的地の1つでもあるのですよ」

行く気満々だな。疑われそうだしついてくか。怖いけど。怖いけど!


「そうですか。ではお願いします」

「もちろんです!騎士としてしっかりお守りしますよ!ふふん!」

この子結構ダメな子かも。いい子過ぎて俺の事なんとも思ってないし。よく他所に行けたな。


という事で、今日は荷造りをして1日休み。

買い物は全部支払ってもらった。これがヒモの気持ちってやつか……

感慨深いぜ!





「おはようございます!」

「………あの」

「なんですか!」

「何故部屋に?あとまだ日の出ですよね。早い」

「もう十分休んだではないですか!早く行きましょう!」

遠足前の子供ですね。おっさんにはキツイ。


レナさんに連れられ村を飛び出す事になりました。飛んでは無いよ?意識がね?


「レナさん」

「はい!なんですか!」

「あの、道ってわかります?あと、どのくらいかってのも」

「道は大体聞いたので多分大丈夫です。時間的には50日くらいですかね」

……………おっふ。死んじゃう。道も不安。


「あ、あの、馬とか、借りません?」

「当たり前です!お金がかかりますし、修行になりませんから!」

俺は修行してないんだが。まぁ金が無いので文句は言えない。唸れ!我が健脚!頼むから震えないで!


ちなみに次の町まで10日歩いた。

この子の活動時間は日が出てる時間らしく、早朝から日が完全に落ちるまで歩き倒してた。

休憩?甘えだな。足?ふっ、痛い!


だが、嬉しい事に魔物とは出会わなかった。

天使が出始めてから魔物はかなりひっそり暮らしてるらしい。

その分天使と鉢合わせする事もあるらしいが、出会わなかった。セーフ。

そして、肝心の騎士様の強さは、

「私、こう見えて強さは4000位なんですよ!凄いでしょ!」

よく死ななかったな。1人じゃウッキーの群れにすら勝てないじゃん。






「サクラ殿!着きましたね!」

「……………そだね」

「あれ?どうかしました?元気無いですが」

「俺何回休憩しない?って言った。言ってみろ」

「え?えと、毎日何度も言ってたから……100回です!」

俺の言いたい事悟れ!キレる力も無いほど弱らせるな!


「サクラ殿知ってますか?この町、アクトゥウでは大きな賭場があるんですよ!」

何故テンションが上がる。ダメな子か。行かせないよ!名前的にボラれる気がするし。悪党め!


とりあえず宿をとって休みました。

何が怖いって各自で休憩しましょうだって。

もうあかんやん。

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