36話
別室の魔王様専用訓練室で特訓中の爺さんの様子を見に行く事にしたクライスト一行。
果たして、彼の師匠、ジジイの特訓の成果やいかに。
まぁ出来てないよな。
「おーい。爺さん出来たかー」
「………」「………」「………」
「まだだな」
「まだとか言える空気じゃなくね?」
教育係3人の顔見たら状況最悪以外のなにもんでもないんですが。多分だけど転移した後の俺の顔みたいになってる。
「もう少しだ」
「嘘つけ。皆の顔見て言ってみろ」
「もう少しだ」
「どこが!」「全然じゃないですか!」「師弟揃ってバカか!」
「流れ弾やめてよ」
俺は出来てっからな?ジジイだけだぞ。
「ふん、それよりそっちはどうなんだ」
「というかなんで手繋いでるの?」
「クー君、そっちの特訓じゃないよ」
「何の話してんだよ。そっちもどっちもねぇだろ」
「貴様が娘と手を繋ぐなど100年早い!」
「死んじゃうよ」
話曲げないで?現実見てよ。爺さんから目を背けないで。
「こっちは1歩前進。ヘボ魔王、見せてやれ」
「……………やだ」
「兄さん、お願いの仕方間違ってますよ」
メンドくさいシステム作んなや!駄々っ子か!
「はぁ、魔王様、お願いします」
「やだ!」
「なんでだよ!」
「間違ってるからじゃない。ほら、もう一回」
「はあ?んじゃ、やれクソ魔王」
「死ねゲロバカ!」
「あぁーもうー」
なんで俺が呆れられんの?魔王様の気分ではないか。
「いいからやれよ。話進まねえっての」
「ふん!知らん!」
「兄さん、ふぁいと」
かわいい。いやそうじゃねえよ。
「フィーネ、見せて、お願い」
「………………もう一回」
「やれよ!なにおねだりしてんだよ!」
「姉さん、恥ずかしがってやらないだけだから。後でいっぱい言ってもらお?ね?」
「……うん、わかった」
なんでそうなんだよ。………外野!ニヤケんな!お前ら深刻な状況忘れてんのか!?
「見てなさい。はっ!」
「…………おい」
「ね、姉さん?」
「………も、もう一回」
何失敗してんの!?恥ずかしいじゃん!
「いきます。ふん!」
「おい」
「姉さん!ふぁいと!」
「出来てないだろ」
「出来てないジジイは黙っとけ!」
「もう、クー何教えてたの?スケベ」
「こっちのセリフでもあるからな。ジジイ出来てねぇだろ」
「クー君。おめでとう」
「マーリンさんだけちげぇよ!もっと色々悲観して!」
希望が薄れつつあるんだよ?おめでとうってどっから出てきたんだよ。
「あ、出来た」
おい。あ、ってなんだ。
「フィーネ!すごいぞ!」
「おおー。フィーネちゃんすごーい」
「さすが魔王様ですね」
「あれくらい当然だな」
「おいジジイ、魔術くらい使ってから言え」
何目線なんだよ。総合的にダメダメだからな。
「とまぁ、こっちは進歩してるわけだが、そっちはどうにもなんねぇのか」
「うーん、今のところどうすればいいかわからないよね」
「もう私が闘神気使える様になった方が早いかも」
「シエルじゃ多分使えても戦いにはどうにもなんないよ。量が足りないよ」
「………確かに。ごめんね」
「おいジジイ、見たか?見習えよこの姿勢」
「ああ、そうだな」
1ミリも思ってないなら言うなや。
「ゲロバカ、私にした様にやれば出来るようになるんじゃないの」
「クー君!それはダメ!」
「き、貴様!許されないぞ!」
「クー、わたしがちゃんと面倒見てあげられ無かったばっかりに…」
「俺にその気はない」
「何考えてるかわかりたく無いけど、本気で言ってたらやらないからな」
「…………どんな事するか聞いてもいい?」
何心配してんだよ!なんの心配だよ!
「俺がフィーネにやったのは、生命力を……クソ魔王手離せ。生命力をこいつに……なんだよ!」
「イチャイチャするの後にしてね?」
こいつが手モゾモゾしたり握ってくんのが悪いんだよ!なんもしてねぇからな?
「俺がやったのは、生命力を流して、それを無理矢理闘気に変化させたっていう力技」
「それ影響出なかった?」
「今のところ何も無い。だからマーリンさんもやってみてよ」
「うーん、なるほど。アラド、こっち来て」
マーリンさんは爺さんの手を握り、魔力を操作している。頑張ってー。
「身体強化」
マーリンさんが唱えると、出来てる?のか?
側から見るとマーリンさんが爺さんに魔術かけた様にしか見えないんだけど。
「それ出来てんの?」
「多分。どう?わかった?」
「ああ、わからん」
なんで一回返事すんだよ。軍隊かよ。
「なら次だな。魔術をありったけぶち込む。死んだらごめん作戦だ」
「断る」
「さすがにそれは……」
「それじゃ出来ないと思うけど」
「バカめ」
「これだからゲロバカは」
「兄さん最低」
俺だけ当たり厳しくない?これぐらいの気持ちをね?わかって?
「ならどうすんだよ。何回も繰り返すのか?」
「それしか無いんじゃない?」
「小僧、魔闘気だ。それでやってくれ」
「おー、アラド冴えてる」
「なるほど。ゲロザコ、やってみろ」
「…………死んでも恨むなよ」
「わかってる。やれ」
「え?ちょ、兄さん?」
クソジジイ、マジで狂ってんのかよ。
「クー君、真面目にやらなきゃダメだよ」
「マーリンさんこそ真面目に聞けよ。クソ魔王に闘気作らせたのと同じだと思うなよ?」
「え?どういうこと?」
「しくじったら間違いなく死ぬ。制御の難易度もハンパなく高いのに、だ。自分のと他人のとじゃ勝手違うのわかるだろ?」
「………そう、なんだ」
「それでもやるか?って話」
「やれ」
「おい」
1人だけ軽いよ。話聞いてた?よな。
「アラド、いいの?」
「弟子の事を信じてやるのもいい師匠だろ。だからやれ」
「へいへい、皆一応離れてね。集中するから」
「………頑張って」
「兄さん、ふぁいと」
「クーなら大丈夫」
「しくじったらお前を殺す」
「ゲロバカ、頑張れ」
応援する気ある?プレッシャーかけんなよ。
「いくぞ」
「ああ」
爺さんの腹に手を当てて、集中。
超集中を使いながら生命力を流し込む。
混ざってきた所で闘気に変化。ここまでは順調。
次に魔力。流し込む。まぁ順調。
魔力が混ざりだした所で闘気に合わせる。
ゆっくり、ゆっくり、慎重に、慎重に。
順調に混ざりだした。いけるなー。
もうちょい、もうちょい、すこーし、すこーし。
………………あれ?まだ?
混ざれー、混ざれー、もうちょい、もうちょい。
………………おい、出来ねぇぞ。なんでやねん。
「小僧、もっとしっかり合わせろ」
「…………危ねぇぞ?」
「やれ」
「……了解」
指示通りもっと量を増やして無理矢理合わせた。
いけ、いけ、いけ!いけ!!いけ!!!
「お、おお!」
「出来てる!すごい!」
「さすが兄さん!」
「うぐっ、ジジイ!制御出来っか!?」
「もう出来る!離せ!」
「了解!」
俺はジジイから制御を離して、爺さんからも離れた。
…………セーフ。作戦成功かね。
「闘王、制御は出来てるみたいだな」
「あぁ、今ならお前も魔王も余裕で倒せるな」
「ふん、自分の力で出来る様になってから言うのだな」
「アラド、大丈夫?痛いとことか無い?」
「ああ、問題無い」
「大事なのはこっからだしな」
「自力で出来なきゃ意味無いものね。ちゃんと出来るよ」
さっき怪しかったよね?よく言ったなお前。
「いくぞ。………どうだ」
「で、出来てる」
「さすが闘王様ですね」
「兄さんに出来て、師匠の闘王様が出来ないはずが無いですもんね」
「エリスちゃん、それは俺より爺さん傷つけてるからね?」
「うるさいゲロカス」
少しは俺も褒めてよ。俺かなり頑張ったよ?
「ほんじゃ次やってみよー」
「いきなり?」
「もう少し練習した方がいいんじゃない?」
「急にやった所で出来るわけでもあるまい」
「兄さん、無理させちゃダメだよ」
「ゲロカス」
なんで俺が1番危機感出してんだよ。なんか違くない?
「フィーネ、頑張ろう」
「え!?あの、え、う、うん」
「クー君、皆の前で何言ってるの」
「変態」「兄さん最低」
「自分らの考えてる事がおかしいって気づいて?」
俺よりお嬢さん達のがよっぽどスケベやで。
今日の訓練?は終了らしい。
俺の思ったより2人共疲労が溜まってるとか。
確かに、闘気使った事ない魔王も、魔闘気を初めて使ったジジイも生命力をかなり使ってるだろうからな。
俺は慣れてるからあんまわかって無かったんだな。
「あ、あの」
「なんだよ。手?」
「いや、違くて」
違うのに手は握るのな。まぁいい。
「なんだよ」
「だから、その、一緒に、あの」
「一緒?なにが?」
「ね、寝るの?」
「どっからそれが出てくんだよ。俺はエリスとしか寝ないぞ」
「変態」
「ゲロスケベ!」
「お前に言われたく無いっつの」
「違っ!違う!バカ!スケベ!ゲロ!アホ!」
テンパりすぎ。あと手振り回さないで。肩痛いから。
最終的に魔王とエリスが2人で寝てた。
俺は?




