34話
「お父様、ただいま戻りました。状況は?」
「かなり数はかなり減らせたが、変異種や群れの長のような個体がまだ残っている。そして、魔物達の後方に気味の悪い生物がいる」
「天使…ですね」
「とりあえず魔物を先に倒しましょう」
「小僧、お前は天使をやれ」
「ゔぉえぇぇ」
「………」「…………」「…………」
「…だ、大丈夫?」
恥ずかしくて死にたい。
「確認出来ている範囲だと、デッドブル、レッドベアー、ワイバーン、カオススライム、そしてドラゴン。これらがおよそ100体いる」
「スライムとワイバーンってなに?」
「ゲロザコは黙ってろ」
魔王様のディスに殺意は無いけど嫌悪感が半端ない。ごめんて。
「カオススライムは獣王国の闘技場くらいの大きさで、触れるものすべてを飲み込む危険な魔物だ。魔石も体内の奥深くにあるから倒しにくい」
「おまけに魔力を吸収する厄介な相手だ」
「ならそれは爺さんだな」
「通しは効くが、魔石の位置はわからん」
「んじゃシエルか」
「ごめんね、通しは出来ないの」
「兄さん、私がやるよ」
「んじゃ俺か、まぁしゃあない」
「黙れゲロカス」
変わってない?統一して?違う痛みは辛い。
「それじゃ、魔導師組はワイバーンとデッドブルだね」
「なら私とお父さんと闘王さんはレッドベアーとドラゴンかー」
「じゃあ、私が……天使を」
「それも俺」
「死にたいのかゲロゴミ」
「お前から殺すぞザコ魔王」
「喧嘩しない!まだ魔物が押し寄せてるんだよ!エリスはクー君の補助!はい決定!」
マーリンさんがめずらしく怒ったのにびっくりしてしまいました。魔王様もう睨むのやめて。
役割はさっきの通りで行く事になり、まだ増えてる魔物は他の兵達や前魔王様が、対処と連絡をしてくれるらしい。
「それじゃ、また転移するよ。クー君いい?」
「あーい」
「ゲロカス」
「チッ、乳揉むぞ」
「変態!」「最低!」「自重しろ!」「私のは!?」「自重しろ!」
なんかごめん。
マーリンさんにまた転移してもらい、戦場の真上に転移した。各自、自分の担当の敵に向かい落下していく。
「兄さん、着地出来る?」
「ゔぉえぇぇ」
「ちょ!汚い!」「いや!こっち来ないで!」
「少しは我慢しなさいよ!」「クー!耐えて!」
男性陣は黙ってくれてありがたい。マーリンさん汚いは真っ直ぐ過ぎて泣いちゃう。
落下アンドゲロをしながら、スライムを確認。
でかっ!だが数は3しか見えない。高さはまだ100メートル?わからんけどまだまだ高い。
俺は5割で魔闘気を作り、姿勢を整えて超集中と身体強化を使い、通しを打つ!
3体共、狙い通り魔石を打ち抜く事が出来た。
だが威力の問題かわからんが、スライムが爆発したように周りに飛び散った。汚ね。
「クー君さすが!」「小僧!お前はこのまま天使をやれ!」「終わったらこっちにすぐ来てよ!」
「クー!頑張ってね!」
他のみんなも戦闘態勢に入りながら敵に向かって移動し始めた。
「お兄ちゃん!」
「エリス!来い!」
俺はエリスを抱き寄せ、魔闘気を全身に纏わせ地面に着地した。足痺れたー。
地面に膝まで埋まってしまったが、力で蹴り上げ足を抜く。
エリスを隣に下ろして天使を探る。
「エリス、どこにいるかわかる?」
「うん、あっちの方向。少し離れちゃった」
「魔王様近いんだけど。…………ごとやるか」
「ダメだよ!」
チッ、エリスに感謝しろ。
俺とエリスは天使に向かって一直線に走り出した。途中に襲ってくる魔物はエリスが魔法で吹っ飛ばしてくれた。さすがエリス、かわいい。
真っ直ぐ進むと魔王がワイバーンと戦っている場所に差し掛かった。魔王は魔術を連射しながら魔法を準備しているようだ。あ、こっち見た。
「なっ!ゲロザコ!何してる!」
「うるせぇ!どけや!」
「お兄ちゃん!?」
俺はワイバーンの懐に入り込み、ボディーブローを打ち込んで吹っ飛ばした。はい倒した。
「お、お兄ちゃんすごい」
「お前もこれくらいさっさと倒せヘボ魔王!」
「んな!ふざけんな!死ね!」
プルプル震えて怒ってる。ふははは!もっと悔しがれ!
「お兄ちゃん、見えた。天使がいる」
「……俺も見えた。気持ち悪ぃ」
天使が見える距離まで近づくと、そいつから気持ち悪い違和感が感じられた。
強さがわからない。というより存在がキモい。
はっきり姿が見える距離まで来た。一応キリングレンジでもある。
見た目は天使感が全く無い。輪っかも羽もない。
やつは手に鞭をもって気持ち悪いニヤケ面のおっさんにしか見えない。そっちの方ですか?
「貴様ら、なんのようだ?」
「お前だろ、魔物をけしかけた変態さんは」
「ふへへ、だったら?なんだ!!」
手の鞭を振るうと伸びて俺の顔面をなぎ払おうと迫って来た。
だが、遅い。エリスの頭を抑えて躱し、通しを打ち込む!
「ぶへ!…ご馳走さまぁ」
「は?なんだそりゃ」
「お兄ちゃん、奴は攻撃を吸収してるよ。今のでかなり強くなってる」
クソ能力だな。攻撃も吸収すんのかよ。
「次は避けられるかなぁ!」
「チッ!クソ!」
同じ様に振った鞭が迫ってくる。だが今度はかなり早い。腕に魔闘気を集中して腕で受ける。
「お兄ちゃん!ダメ!」
「え?クソ!」
「ぶひゃひゃひゃひゃ!いただきぃ!うへひゃひゃひゃ!」
鞭を受けた腕から力を吸収しやがった!やばい!
一度鞭の範囲から逃れようとバックステップで離れる。が、エリスが動かない。
「おい!エリス退がれ!」
「………大丈夫、私がやる!」
「あん?お嬢ちゃんが相手してくれんのか?なら死ね!」
俺の力を更に吸収し、速さと威力を増した鞭がエリスの頭を狙う。
だが、エリスはそれを左手で掴み取った。
「な、なんだと!?だ、だが、力を奪って……あ、あれ?吸収、できん…ま、まさか……そんな、嘘だ!」
「これで!終わらせる!」
エリスは思いっきり鞭を引き、天使を引き寄せ、闘気と魔力を全身に纏い全力で天使の胸に拳を叩き込んだ。
「うぎょあぁぁぁ!!!」
天使は吹っ飛んだ。まだ動けるようで這いずりまわってる。
「終わりよ」
「ま、まだだぁ!」
「え?うぐっ!」
「エリス!」
天使は体から黒い煙を吹き出し、エリスを吹き飛ばした。そして、天使の近くに魔物が近づいた。
まずい!
天使は魔物の力を吸収し、力を取り戻した。
ダメージも回復したようで、立ち上がり、こちらを睨みつける。
「ぶひっ!これで形勢逆転だぁ!」
「お兄ちゃん、ごめん…」
「いいよ、あとはおれがやるから」
「で、でも」
「お兄ちゃんを信じて」
「…うん」
「ぶふふふ、お前に何が出来る?勇者は覚醒してないようだし、お前はただの餌に過ぎない!」
クソうざい。見た目普通のおっさんがブヒブヒ言ってるから更にムカつく。
「失敗したらごめんね」
「う、うん」
俺は残りの生命力を使い最大まで闘神気を作って纏う。
そして、天使との間合いを一瞬で詰め、天使の核のような物だと思う力の集まりに向けて拳を打ち込んだ。
「え?なん?僕の体に?穴?吸収?え?え?」
「消えろ」
体に突き刺さった腕を抜き、頭を蹴り、頭部を粉砕した。
……グロ、くない。頭は機械?みたいな感じになってる。なんだ?
「お兄ちゃん……すごい……」
「はっはっは!お兄ちゃん好きだろ!」
「えっ、あぅ……うん」
イィィィィヤッハァァァァァ!!!!お兄ちゃん大勝利だぜぇぇぇ!!
天使を破壊?すると、魔物共は混乱したように暴れたり逃げ出したりし始めた。
これで終わりか。
俺たちは一応帰りながら、魔物を倒しながら城に向けて移動した。
まぁ闘神気のせいで中身空っぽだからエリス任せだったんだけどね。不甲斐ない。
「おい!あの力はなんだったんだ!天使はどうした!なんでお前は生きてるゲロザコ!」
うるさい。一個に絞って。
「あれは兄さんが…」
「俺の秘めたハイパーウルトラジャスティスパゥワーが覚醒して天使をぶっ潰した」
「死ね!」
なんで!説明してんじゃん!
「クー君、お疲れ。天使は?」
「これだよ」
マーリンさんに天使のパーツを見せた。壊れてよくわからんやつ。
「これは?」
「天使の一部。頭蹴り飛ばしたらこんなの出てきた」
「やはり小僧がやったんだな」
「おー、でもかなり危なかった」
「なんでだ」
天使との戦いを出来るだけ細かく説明する。
「嘘つき!お前みたいなゲロカスがそんなの相手に勝てるか!」
「ワイバーンに手間取るザコ魔王に言われても」
「なん……ぅぅ……弱くないもん……」
………みんな見ないで。俺も泣いちゃう。
「マーリン、なにかわかるか」
「正直さっぱり。クー君が頭の一部以外壊さなきゃ少しはわかったかも」
「さーせん。まぁわかるのは、闘神気は効く。というわけで、爺さん頑張れ」
「お前もな」
出来るようになれよ。俺やってるだろ。
「旦那様!倒したよ!褒めて!子作りしよ!」
「お疲れー、帰っていいよ」
「帰ってからするの?いけずー」
バカなの?決定事項なの?
「その闘神気について聞きたい。それはどうすれば出来る」
「生命力と闘気と魔力を足して完成」
「………残念だ」
「いや頑張れよ」
前魔王様諦め早い。少しはやって?
天使との戦いは一応勝って終わったが、対策が取れないまま今日は休む事になった。
………魔王城でお泊まりだって。帰ろうよ。




