33話
朝飯を食い、メンバーが集まる広間へと集合。
準備すると言ってたが道具も何もない。
ただ全員が中々気を張ってる感じかして居心地悪い。
「クー君おはよう。準備出来てる?」
「まぁ、用意するもんは無いし大丈夫」
「心の準備も?」
「今からだと疲れるしょ。あとでね」
「本当に大丈夫か?お前が1番死にそうなんだぞ」
その煽りいらない。てかやらせてんの皆。
「まぁなんとかなるでしょ。それじゃあ行きましょう」
「魔王国までどんくらいなのさ。結構遠いんじゃないの?」
「え?魔法で行くから一瞬だよ?」
「ちょっと待て。何故それを教えない」
「使ったら旅の意味無いでしょ?教えない方が面白そうだし」
「そもそもチビにゃ使えねえよ。俺も1人しか飛ばせないからな」
どうせセンス無いですよ。ちくせう。
「皆集まって。……行くよ?」
マーリンさんの声が聞こえた次の瞬間に周りが光に包まれる感覚がした。あとグニャグニャする。
「はい到着」
「…………」
「小僧、どうした」
「……出る」
「は?チビ待て!」
「ゔぉえぇぇ」
「うわ!」「ちょっと!」「おいおい」「あー、またやっちゃったー」「こいつ大丈夫か?」
皆の視線が痛い。頭も痛い。心も。
「兄さん大丈夫?」
「全然」
「クー、水貰ってきたよ?はい」
美少女達に甲斐甲斐しく世話してもらえたので、これはこれでよかった?かな。
「マーリン、これが例の奴か?」
「あのー、はい。この子がそうです」
「これ本当に使えるの?いくらマーリンさんでも信じられないよ」
「ごめんね?転移に慣れてないらしくて」
あかん。印象最悪やん。今にもトイレ会議されそうな勢い。
マーリンさんの転移の魔法で魔王城に飛んで移動したのだが、また酔って朝飯を撒き散らした次第です。
しかも、事前に決めてた場所は魔王様方の目の前だったので、見事な不敬。腹切りコース真っしぐら。
魔王フィーネ様はかなりお怒りの様で、マーリンさんが謝り倒してる。さーせん。
「マーリンさん、この無礼者の事も含めてもう一度作戦会議を行います」
「うーん、わかったよ」
「それでは、獣王、闘王、マーリンさんと私で会議をします。他の方は待っていて下さい」
おっと威圧すごい。皆の反感もすごい。やめて!僕の事で争わないで!
「魔王様、さすがに関係者全員の方が良いのでは?」
「必要無い。お父様とは話し合ったし他の者は私達の言う通り動けばいいだけでしょ。待ってなさい、命令よ」
「はっ!」
兄貴まともに話せるやん。魔王様怖いだけかもですけどね。
「待て、小僧も入れろ」
「チッ、必要無いだろ」
「入れろ」
やめて!爺さんなんだから気張らないで!
「人族のくせに、思い上がるな」
「王になったからと調子に乗るなよ小娘」
「魔王様の言う通りだ!調子に乗んなクソジジイ!」
「おい」
俺は間違って無いだろ!命を大事に!
「くだらん、早く会議をしろ。そんなのがいてもいなくても一緒だ」
「お父様、不快でつい殺してしまうかもしれません」
「かまわん」
かまえ!俺切り札じゃねえの!?ここで切るの?
「まぁまぁ、こんなでも旦那様は強さだけはまともだからいいじゃん」
「お前本当は俺の事嫌いだろ」
「チッ、少しでも私をイラつかせたら殺す」
「イエスマム!」
「…………バカにしてるの?」
「いえ最上級に敬ってます」
だから殺意をぶつけないで?またご飯出ちゃう。
場所を移動して、魔王会議に使う一室に移動しました。魔王会議は政治とかお偉いさん方の話し合いをするらしい。イメージそこだけ重量3倍位ありそう。
「これより討伐について話し合う。実は前と変わった状況になった」
「どんなの?」
「実はドラゴン達が一ヶ所に集まって我等を待ち構えている。そして、最上位のドラゴンから対話を求められている」
「はい?」
「殺すぞ」
「すみません」
つい聞いたらつい死にそうになったよ。ギリギリセーフ。
「まだ対話はしてないのね?」
「あぁ、何があるかわからんからな。戦力が集まってから、と思ったんだがな」
あれ?俺睨まれてる?不快?腹切ショー?
「って事はこれから皆で対話しに行くって事?」
「チッ、それをどうするか話し合うんだろ。それでも王か?」
「なんだと?」
「はい落ち着くー。まずは意見をまとめましょ」
若い王様達は血の気が多くてダメですね。もっと愛と思いやりを持たないと。俺?溢れてるやんけ!
「ふん。私は対話するつもりだ。頼みの綱がこんなのだからな。仕方ない」
「俺もだ」
「私も一緒」
「私はどっちでもいいや。旦那様がなんとかしてくれるから」
「ちょい!あ、賛成で」
「旦那様?……まぁいい。それでだ、交戦する事になった時にどうするかだ」
初めて殺意が薄れたよ。若干引き気味になったけど。
「最上位ってどんなの?」
「残念ながら人型だ」
「へ?人型?」
「黙れ、殺すぞ」
「待って待って、クー君知らない?」
「初耳、それ何?どゆこと?」
急にわけわからんくなったんですが。ドラゴンどこ行った。
「ドラゴンには2つの状態があるんだよ。1つは旦那様も知ってると思うけどデッカいトカゲみたいなやつ。もう1つが、人と同じ形の人型。この人型は最上位の中でも限られた強いドラゴンしかなれないんだよね」
「って事は?」
「旦那様の危機?」
「降伏しよう」
「死ね!」
「待った!冗談!お願い助けて!」
魔王様の逆鱗に触れてしまい死にかけた。余裕が足りてないですぜ。
「話を戻すけど、実際に会わなきゃわからないよね?今まで無かった事だし、対処はもうクー君しか頼れないからね」
「だな」
「……それが役に立つかわからないけどそれしか無いのね」
「結局丸投げやめて」
諦めムード出すなよ。ワンチャンあるよ。ない?
なぁなぁで会議を終わらせ全員に話を通し、すぐに移動となった。
「ゔぉえぇぇ」
「クー君しっかり。目の前なんだから」
だったら手前に転移して?好きで出してないからね?
ドラゴン達は魔王国から見える程度の距離の何もない平地で待ち構えてた。ヤル気満々じゃね?
「来たぞドラゴン共。話とはなんだ」
魔王様!少しだけでいいからお控えなすって!
「……何故人を集めてきた」
「貴様らが我等に敵対した時に潰すために決まってるだろ」
「ふむ、まぁいい。だが、勇者を連れているという事は何を話すかも検討がついているのだろう?」
「何!?どういう事だ!」
え?ちょい待ち?何それ?
「ちょっと待って、一から説明してちょうだい」
「いいだろう。少し前から魔物達の活性化が見られた。原因を探ると1つの異常に気づいたのだ」
話について行けないんですが。パリピ位わけわからんけど。
「その異常とは、世界にいくつもの空間の亀裂、異空間へ続く通路が見つかった」
「それ、つまりどういう事?」
「その繋がった先にあるのが、天界、もしくは魔界、というわけだ」
「それと我等がどう関係あるというのだ!」
それな。どこにどう問題あんだよ。てか勇者ってなんやねん。
「君たち魔族が魔界の者を呼び寄せたのでは無いかと思ってきたのだよ。最初はな」
「どういう事だ。そんな事した覚えは無いぞ」
「だろうな。でなければ、勇者がこの世に現れる事など無いからな」
「はっきり言え!貴様は何が言いたい!」
「君は過去の大戦の事を知らないか?」
えー。まさかの昔話に入る?てか聞きたく無い。
「それって全部の種族が争った?」
「そうだ。闘神の末裔よ」
「え?マーリンさんそうなの?」
「らしいよ。闘神様以外は皆魔導の方が得意だったみたい」
勿体無いって言っていいのかね?
「その大戦では多くの死人が出た。その多くは人族の裏切りや罠によるもの、そしてもう1つ」
「なんだと?他にあるのか?」
「あぁ、それは、天使による虐殺だ」
「は?なんだそれ?」
「初めて知ったんだけど………」
「………それがなんだ」
天使ってなんだよ。イメージ違いすぎんだけど。
「天界というのは天使共を異空間に封じた場所を意味してるだけだ。つまり、奴らが今こちら側に流れ込んできているという事だ」
「それが魔物と勇者になんの関係が?」
「奴らは魔物を使ってこの世の生物を殺そうとしている。勇者はそれのために出現したのだ」
…………なるほど。イマイチわからん。
「バカか。魔物ごときにやられる筈が無いだろ。そんな事しか出来ん奴らなど見つけて殺せばいいだけだ」
魔王様の過激な思考についてけないでやんす。
「出来るものならやってみろ。魔物は奴らにとってはただの遊びの道具だ。君たち程度なら天使の下級兵1人にすら勝てないよ」
「なんだと?」
「天使はこの世全ての天敵だ。奴らは生物を殺す事を快楽を覚える化け物で、強さも桁外れのものばかりだ」
最悪やん。引くな。
「そいつらに対抗するための存在、それが勇者だ。勇者とは、天使達を殺すために魔界の魔神、我等の長、龍神、そして君の祖先、闘神で作り出した力だ」
「なんなんだよ。わけわからない」
「獣王である君にもその力の一端が分けられてるよ。急に強くなっただろ?影響が出てるんだよ」
「なっ……そういう事なのか……」
「魔王、君もだ」
「………チッ」
代替わりの理由が意外なとこに有ったな。
ということはかなり勇者の力ってのはぶっ飛んでるってわけか。
「早速だが、奴らが動き出したみたいだな」
「え?なんだと?」
「………フィーネちゃん、魔王国に魔物が押し寄せてる。相当の数よ」
「なんっ……クソ!!お父様、城に戻り迎撃を!」
「わかった」
前魔王様は転移して国に戻ったようだ。嫌な感じビンビンで萎える。
「恐らくは天使も来ている筈だ。奴らは力の大半を失っている。それを生物から取り込むだろうからな」
「でも天使にかなわないんでしょ?どうすればいいの」
「勇者だ。今の力に目覚めていない勇者でも、下級兵くらいなら簡単に殺せる」
「………その勇者って、誰?」
………いや、まさかな。嫌な予感しかしない。
「その子だ」
「……いやー、マジかよ!なんで俺ばっかこんな事やらされんだよ!」
「違う、君ではない。そこの女の子だ」
「え………嘘……」
「エ、エリス…ちゃん?」
「違う!!エリスは俺の妹だ!!んなもんじゃねぇ!!」
クソが!!嫌な勘ばっかり当たりやがんな!
「いや、間違いない。君が天使を滅ぼすんだ」
「ふざけんな!前の勇者だかはどこ行ったんだよ!そいつでいいだろ!!」
「先代勇者は死んだ」
「なんでだ?寿命か?病気か?事故じゃねぇよな?あ!?」
「天使に殺されたのだよ」
「この…クソが……殺すぞ」
「小僧、待て」
何を待てっつぅんだよ。我慢出来るわけねぇだろ。
「他に方法は無いの?。龍神様や魔神様のお力を借りる事は出来ないの?」
「無理だ。過去の大戦で闘いで体が壊れ、もう闘う事が出来ない。その為の勇者だ」
「んなもん知るか。エリスは関係無い」
「……待て。その娘なら倒せるのだろう?」
「お前今なんて言った?」
「旦那様待って!お父さんも急に何言ってるの?」
「何も急ではないだろう。勇者が天使を倒す。その娘はその為にいるのだろう」
このクソが。ぶっ殺すぞ?
「反対だな」
「私も。天使の前にクー君が暴れそうだもんね」
「私もクーとエリスの味方です」
「ならばどうするのだ?全員に命を捨てろと?」
「ふざけんなクソ共が。頭からケツまで他人にやらせようとしやがって。生きたきゃ自分でやれや。妹はお前らの道具じゃねぇ!」
「だが他に方法は無いぞ。このままだと世界も君の妹も死ぬ事になる」
「世界なんぞ知るか。エリスは俺が守る」
「お兄ちゃん……」
身内や仲間ならいざ知らず、こんなクソ共の為なんかにエリスを戦わせるわけねぇだろ。
「つまらん冗談だな。ただの人族などに守れる訳がない」
「あっそ。もうお前らどうでもいいや。マーリンさん、魔王国に戻ろう。手伝わなきゃ」
「……わかった。ドラゴンの皆さん、失礼します」
「……我等に力を借りたくなったら龍の村に来い」
「はい、ありがとうございます。それでは」
マーリンさんの転移魔法でまた移動した。
ドラゴン共のクソみたいなツラを睨みつけて頭に焼きつけながら。




