31話
「見えたぞ。あれが、我らの国アルカーンだ」
「おー、思ったよりデカイなー」
「貴様、人族のくせにバカにしてるのか?」
ちゃいますがな。カッカせんといてよー。
俺が話に聞いていたのは、獣王国は色んな種類の獣人の村や、集落が集まって出来たものっていう風に聞いていた。
見た目は人族の王国と同じ様に広くて、城もデカかった。あと見えない方が良さそうなのも見えるんだよね。
「あのさ、あのデカくて丸い建物なにさ」
「ん?知らんのか。あれは闘技場というもので、闘士達が、血湧き肉躍る闘いを見せる場になっておる」
「もしかして賭場もある?」
「なんだ、知ってんじゃねぇか。俺も何度か賭けに行って儲けさせてもらったぞ」
兄貴趣味悪い。そういうのぼくよくないとおもいます。
「ちなみに、女もよく出てくるぞ。ノアちゃんみたいな格好ばっかのがな」
「詳しく」
「変態」「変態」「変態お兄ちゃん!」
「やはり人族はクズだな」
お馬さんには言われたくない。兄貴も同罪じゃん。
小高い丘から獣王国を見てから1時間ほど移動し、やっと目標の1つに辿り着いた。
門の前に人は並んだりせず、普通に素通りしている。通ってええんかな。
お馬さんの荷台に乗ったままでいいって言われたので、とりあえずこのまま。
「おいお前、こっちに来い」
ですよねー。
「はい、なんでしょうか」
「貴様、後ろに何を載せている」
「乗っているのはお客様とお客様のおもちゃです」
「なに?」
こいつ本気にしてたのかよ。まぁ通れればいいけどさ。
「後ろを確認するぞ」
「はい、どうぞ」
と言って見張りがこっち来た。
見た目はイケメンのにいちゃんだ。頭にツノついてっけど。
「貴様、人族だな?何用で獣王国に来た」
「ギルドの依頼で、お届けを持って来ました」
「なに?確認させろ」
「はいどうぞ」
俺は依頼書と一応物も見せた。なんか顔怖い。
「中を確認してもいいか?」
「え?うーん、いいとは思いますよ」
「そうか、では……………開かん」
は?どゆこと。
「ふん!ぬぅぅぅ、開かん。どうなっている?」
「お兄さんよ、そりゃ多分魔法で本人か渡す相手以外開けらんねぇようになってるよ」
「ふむ、そうか。ならば仕方ない、通って良いぞ」
「え!?マジで!?」
「なぜそんなに驚く?」
「いや俺人族ですよ?」
「何かすれば殺すだけだからな」
あっはっはっは。全部把握。帰りたい。
「ノア、君はこれからどうするんだい?」
「私達は人に会いに行くわ。だからここまででいいわ」
「……君さえ良ければ、もっと一緒にいたい。ダメか?」
「でも、これから行くところは一緒には行けない。だから、ごめんなさい」
ありゃりゃ、振られてもーたな。南無。
「そうか、でも、俺は待ってるよ。俺も国にいるから」
「そう?なら後でね」
なん……だと………。予想外でーす。
「それじゃ、皆、行きましょ」
「いや、俺と兄貴はここまででしょ」
「え?」「え?」「え?」「なんで!?」
ニアちゃん、耳キーンなる。
「いや、3人にはここまでの案内と、まぁ一応護衛してもらったじゃん。だからここまででしょ」
「まぁ、確かにな」
「で、でも、え、えと」
「お兄ちゃんも一緒がいい!」
「…………少しくらい国を案内させてはもらえないか?」
皆の反応が思いの外、惜しんでくれてる気がして結構辛い。
「ねぇ、もう少しだけ。あそこの路地の裏まででいいから」
「お兄ちゃん少しだけだから!あとちょっとだから!」
「安心しろ。痛みは感じない様にする」
あれ?俺と皆の思いは違うの?
「はいはい、冗談はそこまでね。俺と兄貴はギルドで依頼終わらしたら出てくから。ほんじゃなー。うげっ」
「待ってよ」
お姉様!服引っ張んな!首しまる!
「そう慌てるな。儂らと離れて歩くと逆に危険だぞ?」
「お兄ちゃん綺麗な人にすぐ着いてっちゃうもんね!」
そんなことした事無いやん。ほらー、お姉様のお目目が首取るぞ?ってー。
結局一緒に行動。
実際ありがたい。今メチャメチャ殺気感じてるもんね。助かったー。
「まずは腹ごしらえでもするか」
「いや爺さん、あんたら人に会うとか言ってたろ?ノアちゃんもそれで馬のにいちゃんと離れたんだしよ」
「あれはただの口実よ。あんなのといたいわけ無いでしょ」
おっと、お姉様は小悪魔だったんですね。わいもお姉様に溺れたいでぇ〜。
「なんじゃ、あれはダメか?中々いい男だったろうに」
「確かに。お姉様はどんなのが好きなん」
「え?え、あ、それ、は、あの」
「お姉ちゃんはお兄ちゃ「ニアー!!」
…………仲睦まじい事で。
話もそこそこにして、城下町?を色々案内してもらった。
宿やギルドの場所だったり、娯楽や子供の遊び場、屋台や飯屋を周ったりした。
……………俺だけ飯食えなかったんだけどな。
「あのさ、そろそろギルド行っていい?依頼完了しないと次行けないんだけど」
「ふむ、確かに日が暮れて来たな。では、そろそろ行くか」
「ええ、きっと姫様、いえ、獣王様も待ってて下さっていますからね」
「はい待った。どこ行くってよ」
「どこって、城に」
話聞いて?ハードル高いし。
普通に無視して歩き出した。どうしよ。
「おいチビ、マジで行くのか?」
「俺に聞くなよ。それに絶対マジだろ」
「………俺ら絶対行かねぇ方がいいよな。魔族でも普通他所の国の城なんか入れねぇぞ」
「人族なんて余計に、だよな。……俺本当に死んだりしないよな?」
「………………」
そこは希望持たせて!少しでいいから!
「止まれ!ここは……ガ、ガレス様!?それにノア様とニア様も!」
「ああ、すまないが獣王様に取り次いでもらってもいいかな?あと、この人族も」
「ガレス様がそうおっしゃるなら、すぐ戻ります。少々お待ちを」
そう言って見張りのおじさんが城内にダッシュした。怒られない?
「お待たせしました。王の間へ、お願いします」
「ああ、ありがとう」
「………兄貴、俺、もうダメかも」
「………骨は拾ってやる」
最後に、エリスにお兄ちゃん大好き!って言ってほしかったなぁ………。
「お師匠様!お元気そうでよかった!私達はとても心配しましたよ!」
「すみませぬ、王よ」
「その話し方はやめて下さい。私はあなたをもう1人の父と思っていますから」
「そうか、すまなかったなナディ」
「いいんです。ノアも、ニアも、元気で良かった……」
「姫様……ありがとうございます……」
「ナディおねぇぢゃーん……」
感動の再会だ。わ、わいは泣いてないで!これはただの汗や!
「ガレス殿、本当に良かった」
「バランか、お前にも心配かけたな」
おっと、この人が前王ね。なんかメッチャ仲良しやん。
「それで師匠、今までどちらに?」
「ああ、実は、人族の王家に品を届けに行く最中に船が襲われてな。交戦したんだが、敗北し、やむなく奴隷になってしまったのだ」
なん………だと………。俺への敵対心が上がるじゃないか!
「…………他の者は?」
「………皆、死んだ」
「クソ!!!」
………やばい。キレた王様の殺気がハンパない。
他の獣人連中と強さがケタ違いなんですが。
これはあれですね、死んだ。
「……では、その人族は?まさかそいつが」
「ひぇ!」
つい声出ちゃった。恥ずかしいぜ!
「いや、この者は命の恩人だ。彼が私達を奴隷から解放し、ここまで連れてきてくれたのだ」
「なに?………本当は別の目的があるのではないか?」
「え、えっと、い、一応、ギルドの依頼って目的も、ですね、へへっ」
ママ!僕もう限界だよ!食べられちゃう!
「なんだと?その依頼はなんだ。話せ」
「へ、へいっ。あ、あっしは手紙を届けに来やした。それだけです」
「ふむ、見せろ」
「え?あ、はい」
怖。見れないとかってキレたりしたらどうしよ。
とりあえず手紙を護衛?の人に渡して渡してもらう。メンドくせ。
「ふむ、ん?…………なるほど」
いや、普通に開けて読んでますけど。どゆこと?
「事情はわかった。だが、貴様がマーリン様の友で、あの闘王アラドの自慢の弟子とは、信じ難いな」
「それは本当か?」
「ええ、お父様も見て下さい」
「ああ、…………なるほど」
………獲物を見つけた様な目で見ないで。美味しくないよ!
「確かに、だが、本当にあのアラドの弟子か?どう見ても貧弱なガキにしか見えんな」
「バランよ、まだ修行が足りてないな。こやつは儂よりも遙かに強いぞ」
「おそらく姫様の遊び相手になるくらいには」
2人共なに煽ってんの!?俺もうちびりそうだよ!
「ほほう、それはいいな。どれ、稽古場に移動しようではないか」
「王よ!私はただの卑しい人族の凡人です!命ばかりは!」
「……………あの、ノア?これは?」
「お気になさらず、昂ぶって混乱してるだけですから」
きぃさぁまぁ………。この恨みぃ、晴らさないから睨まないで?
駄々をこねたけどダメでした。
護衛?の人に引きずられて稽古場にゴーしましたよ。背中痛い。
「私は準備万端だ。いつでも来て良いぞ」
「降参で」
「ならん」
これはマジでヤバイ!危険がピンチだ!エマージェンシー!
このメンツでやったこと無いけど、やるしか無い!アイ!コンタクツ!
爺さん!助けて!
…………死ぬなよ?ざけんな!!
兄貴!助けて!
…………早く死ね?ガッデム!!
ニ、ニアちゃん?助けて?
「変態お兄ちゃん頑張れー」それは口に出さなくてよろしい。
お姉様!ヘルプ!
………がんばれー?あら、小さく手を振っていらっしゃる。かわいい。じゃねぇよ!
「まだか?こないならこっちから行くぞ?」
「ま、まだ、心の準備が、その」
「あぁ、いいぞ、………少しくらい触られても手出しさせぬから安心しろ」
「準備完了です」
「変態」「変態」「変態」「変態お兄ちゃん頑張れー」
ま、待たせると悪いと思っただけだし!
「それでは、始め!」
おじじの掛け声と同時に王様が走ってきた。メタンコ速いんすけど。
「バリアー!」
「甘い!」
王様は障壁を普通に殴ってきた。何故に?
と思ってると、王様の闘気が急に爆発的に増えた!ヤベ!
とっさにありったけ闘気を腕に纏わせた。
「おらぁ!!」
という叫びと共に拳が障壁をぶち抜いてきた。
力で魔術ぶち抜くとかわけわからん!
そのまま俺をぶん殴ってきたが、闘気を纏わせた腕で防ぐ。
「ふっ飛べ!!」
「うおぉぉぉ!」
防いだはずだが威力を受けきれず思いっきり吹っ飛ばされた。
ドガン!!という衝撃が頭の中で反響する。
頭がクラクラすりゅー。多分壁に叩きつけられた。…………あれ?
「お、おい、チビ………。腕……」
「………………お、おい」
「ク、クライスト!?大丈夫!?」
「お兄ちゃん!?腕がグニャグニャだよ!?」
「…………お前、本当に闘王の弟子か?」
王様そんな目で見ないで。俺は嫌だって言ったじゃん。言ったっけ?
王様パンチを腕をクロスして受けたんだが、物の見事に潰された。どいひー。
つうか激痛。辛抱堪らん!
「おいチビ、今治してやっから」
「すまないねぇ、お前には迷惑かけてばっかりで……」
「あ?えっと、それは言わねぇ約束だろ?だっけか。いいから治すぞ」
よく覚えてんな。さすがおふざけ隊長。
兄貴はヒーリングライトという、光に当たった部分の怪我を治してくれる魔法を使ってくれた。
見た目逆再生みたいでキモかった。
「つまらん、全然相手にならんではないか」
「ま、まぁ、王様が強すぎたって事ですよ」
「確かに。私が王位を譲った時も見事だったからな」
「姫様、お強くなられまして、とても嬉しいです」
「ですが、小僧の方が強いですな」
おいジジイ。歳か?歳なのか?
「………ガレス殿、さすがに今のを見ると、どう見てもナディが圧倒していたではないですか」
「まさか、私相手に本気ではないと?いくら師匠とはいえ信じられませんよ」
そうだ!もっと言え!
「いえ、姫様がそう思うのもわかります。ですが、こいつはこう見えて強いですよ。本気を出したがりませんが」
「ノアが言うとなぁ、惚れた男を悪く言われたくない様にしか思えんぞ」
「ちょ!!ナディ!!違うから!!」
お姉様、素出てる。慌てると余計怪しいしさ。
「ふむ、ならこうしよう。次は本気でやれ。私に勝ったら、この国で自由にする権利をやろう。人族には不便だろうからな」
中々好条件。でもすぐ出てくから別になー。
「そして、負けたら処刑だ」
「その理不尽なんだよ!!逃げるしか無いじゃん!」
「逃げたら不戦敗だな。処刑っ処刑っ」
この暴君なんなん!冷や汗止まんないよぅ。
「お前ならなんとかなるだろ。まぁナディも本気では無かったから勝てるかはわからんがな」
「おじじだけは絶対許さん。泣いて謝っても肩たたきをやめない券を後でやるからな」
「いらん」
普通に断んな!後でな……とか俺が生きてるルート発掘して!
「ほら、早く準備しろ。こっちはもういいぞ」
…………王様さっきより闘気の量が多いんだけど。マジ無理ゲー。
「……………王様、本当に本気でいいの?」
「ん?当たり前だろ。そうでなくてはつまらんからな」
「あーい了解」
俺は闘王気を出来るだけ作った。
訓練を制御に絞ったため、闘気を魔闘気や闘王気に変化させるときのロスをほぼ無くす事が出来る様になった。
針の穴に通す的なレベルやで!
生命力5割で闘気を作り、残り4を混ぜて完成。
少し比率違くてもなんとか出来た。
んで闘王気は両方足して、大体8割位に増えた。
修行の賜物ですな。
「なにそれ?面白いね」
「次のが面白いですよ」
魔力をありったけ闘王気にぶち込んだ。
「……え?うそ」
「小僧!待て!」
「クライスト!?止まって!」
「いやなんもしてないでしょ。んで、どうします王様。やります?それとも降参?」
闘神気を作るとみんな慌て出した。ですよね。
制御を異常なまでに関連した結果、闘神気を1分くらい戦っても大丈夫なくらい操れる様になった。
これで師匠をぼこせるぜ!
「あ、あの、降参、です」
「うぇーい勝ったー」
これで俺は自由だ!!もう町で舌打ちされたり、飯食わせてもらえなかったり、石とかウンコ投げられずにすむんだ!
「おい、小僧。お前のそれはなんだ?前のと違うだろ」
「クライスト、正直に話して。あなた本当に人族なの?」
「君は何者なんだ!まさか、我が国に攻撃を…」
「いや、しませんよ。得する事無いじゃないですか」
みんな俺をなんだと思ったんだよ。背だってまだお姉様より低いんだぞ?
「お兄ちゃんすごーい!お兄ちゃんならおむこさんにしてもいいよ?」
「え?なんで急に」
「獣人ってのは強い奴がモテるんだよ。だからお前もモテモテだな」
「マジかよ」
未だにニアちゃんにも足蹴にされてるけどそれでもいいの?
「とにかく、俺の勝ちな。処刑は無し。そして自由。すばらしー」
「そ、そう、ですね、うん」
「姫様?どうかしました?」
……………皆なに?こっち睨むなよ。
「クライスト、様?あの、よろしければ、これから一緒に食事でも、どう、ですか?」
王様、それはやめて。お姉様が超睨んでるから。
「いえ大丈夫。私はこれから宿に向かいますゆえ、これにて失礼します」
「まぁ待たれい。クライスト君、君を気に入ったよ。私達の恩師達を救い、ここまで連れてきただけではなく。とてつもない強さを持ちながら、相手を思いやるその心、娘の婿に相応しい!」
こいつトチ狂ってるのか?
「お、お父さん!恥ずかしいからやめてよ!ま、まだ会ったばかりだし……」
「あぁ、わかっているとも。だから、これからゆっくり話し合おう」
「いや、ちょ、本気?」
「本気だな。小僧、諦めて嫁に貰えばいいだろう。ナディはいい女だろ?」
「いや、そうじゃねぇだろ」
「安心しろチビ。獣王国では重婚は当たり前だ。ノアも嫁に出来んぞ」
「へ!?え、いや、あの」
お姉様も慌てないで。そうじゃない。
結局皆で飯食って城に泊まらせて?もらった。
まぁ強制ですよね。




