28話
移動して10日。移動のスピードはかなり速くなりました。いい傾向です。でも、
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
………重ーい。いたたまれないよ。
ストレス解消した結果、別のストレスがかかりだしたっていうね。ストレス保存の法則と名付けました。
だんまりはまぁ最悪我慢できるんだけど、周りチラチラ見るたびビクッてされるの辛い。
「……あ、あの」
「……………」
「ね、ねぇ」
「…………」
「変態、様」
「俺の事読んでたの?あとそれやめてね?」
前より酷くなってるよね?距離離れたよね?
「じ、しゃあ変態、ちょっと休憩しない?」
それは変わらないのね。だと思った。
「いいけどなしたの。花でも摘みに行くの?」
「いや、そんな事しないけど……。ちょっと、用をたしに……」
伝わって無いけど正解。恥ずかしい思いさせてごめんね?でも他の言い方知らん。ウンコ?とか聞けないもんね。
「おじじ、ちょいいい?」
「………なんだ?」
「次の目的地までどんくらい?」
「多分20日だ。それがどうかしたか」
「いやさ、次港町なんでしょ?入れんの」
「なんとかなる、はずだ」
不安でしょうがないんですけど。
実際、2日前に村に着いたのだが、
獣人に魔族?入れるわけねぇだろカス!どっか行けや!
ってなもんでした。回り道して通りすぎる事になったよ。残念。
「一応確認しとくけど、ダメだったらどうすんの?あとみんなどうやってこっちまで来たんだよ。船で?」
「儂らは密航した。船に潜りこんで渡ってきた」
「あら危ない。兄貴は?」
「あ?俺は魔法で」
「それ使えばいいじゃん」
「俺専用だから他の奴らは使えないんだよ」
なんじゃそりゃ。空飛べるようにするとか?箒とか言うなよ。
「お待たせ、もう大丈夫」
「他に休憩したい奴いない?」
「大丈夫だ」「特になーし」「…………」
あの、お嬢さん?モジモジしてどしたん?
「ニアちゃん?なんかあった?」
「あぅ、えっと、な、なんでもない、です……」
えー、そんなモジモジされると気になるんすけど。
「お腹すいた?おしっこしたいの?」
「変態」
「兄貴は黙っててねー」
俺は紳士だからね?
「………お腹、すいた」
「ご飯食べましょー」
「変態」「変態」「クズ」
「当たり強くない?」
何も間違ってないよね?
ご飯休憩に入り、その日はそのまま野営。
別に甘やかしてないよ?タイミングってやつ。
「んじゃ、今日の見張りは?」
「お前でいいだろ」「任せた」「お願いします」
「やれクズ」
「お姉様は優しさを持ってね」
態度の変わり方ハンパない。俺またおこだよ?
ごめんなさい睨まないで。
結局また見張り。一度もテント使った事ないよ。
べ、別にジジイと兄貴と寝たいわけじゃないんだからね!
キモいな。
「ねぇ、いい?」
「何かはわかんないけどいいっすよ」
木に寄りかかってるとお姉様が話しかけてきた。
もしかして……だ、ダメだよ!皆がいるじゃないか!
「………あなた、私達の事、どう思っているの?獣人の事怖くないの?」
「えー?おじじはともかく、お姉様とニアのどこが怖いかわからんけど」
「変態」
「待って、聞いて。俺はお姉様の方が断然好きだよ!」
「死んで」
「違う!小さい子で興奮しないってこと!」
お願いだから剣を構えないで!ちびっちゃう!
「………あなたなら私くらいどうとでもなるでしょ?何故怯えるの?」
「武器構えられて怯えないのは変態だけだ」
「え?」
「なんで!」
絶対合ってるでしょ!俺変態じゃないじゃん!
「……私は、正直、あなたが怖い」
「俺は変態じゃない」
「……あなたはどうやってその異常な力を得たの?」
「………闘王って知ってる?」
「ええ、まさかあなたが?」
「いや、俺の師匠。そいつに嫌々仕込まれた。いわば被害者」
俺は本当にそう思ってるからな。いつかボコしてやっからな!
「そう、何故あなたは強くなりたかったの?」
話し聞いてた?嫌々って意味違うのかな?
「師匠には旅するならこれくらい強くなきゃダメって言われただけだよ。必要なかったらやってないからな」
「……そう、変なの。誰でも強さを得たいと努力してるのに」
「変で結構。強くてもこき使われるだけだかんな。師匠やお嬢様方とか、あとはお姉様にもだな」
「………チッ」
抗議の声は届かなかったようだ。……目からよだれが垂れてきたぜ。
汚いな、ごめん。
「ねぇ、交代する?」
「いいよ、早く寝ないと肌に悪いよ」
「……そう、おやすみ」
「ん」
寝不足はお肌の大敵だものね!キモいな。
朝です。
結局また外で夜を明かしました。背中痛い。あと肩、ついでに腰。
「ニア、起きて。出発するよ」
「ん〜、まだ〜」
「俺がおんぶしよっか?」
「変態」
「んじゃお姉様を」
「死ね」
当たりが強い。メンチで穴空きそう。
ニアは結局起きなかったのでお姉様がおんぶして移動した。
羨ましいとか思ってないよ?
「おいチビ、昨日何話してたんだよ」
「え?聞こえてなかったん?」
「じいさんに邪魔されたんだよ。自分は聞いてたみたいなのにな」
どっちもどっちじゃん。俺よりお前らのが変態ではないのか!
「んでなんだったんだ?体を好きにして良いから命だけはー、ってか?」
「変態」「変態」「変態」
「俺は違ぇよ!」
「俺も違うよ!?」
は、ってなんだよ。爺さんのこと?
…………俺を見んなや!
「お兄ちゃん抱っこ!」
「あ、はい」
「変態最低死ね」
「俺が悪いの?」
お願いされたんだから許してよ。
「お姉様も抱っこして上げよっか?うん、わかったしまって」
無言で抜くのは良くない。ピカピカに磨いてるのも知ってる。
お姉様と密談して以来雰囲気優しくしてくれるようになった。やっと俺の人間性が伝わったみたいだな。睨まれてるのは気のせい。
それで困ることも増えたが、ニアの遊び相手かお姉様のイライラのはけ口にされるくらいだ。悪くない。
「見えたぞ。あれが港町シャールンだ」
「とりあえず入れるか聞いてみる?」
「お兄ちゃんがんばって!」
「お前次第で入れるか決まるからな」
「失敗したら殺す」
1人だけハードルえぐい。それ逆効果だしな。
入り口は門があるが、たまたまか知らんが誰も並んでたらしない。行けんのか?
入り口にいる見張りらしき人に確認してみる。
「すみません。入りたいんですけどいいですか?」
「ええ、どうぞ。決まりなどはありませんので」
「ありがとうございます。連れもいるんですが、実は獣人と魔族なんです。大丈夫ですか?」
「はい、問題無いですよ。港は種族関係無く行き交う場所ですから。違う種族の商人や、ギルドの依頼で来たりする事も多いので、この町では珍しく無いですよ」
超ゆるいじゃん。まぁラッキー。
戻って説明し、町に向かう。
「知ってたぞ」
「ジジイふざけんな」
ちょっとトラブったけど。
先に港に向かい、獣王国の大陸に向かう船を探し、出航する日にちを確認してきた。
予定では、2日後に出るとの事で、各自それまで暇潰しをする事になった。やっとちゃんと寝れるでー。
「おい、買い物行くわよ」
「デート?」
「チッ、それ何?」
舌打ちしないで聞いて?ワンクッション辛い。
お姉様と2人で買い物をする事になるという謎。
ちょっと怖い。
「ニアは?」
「お爺様と遊びに行ってる。デンゼルは女の子に声かけてくるって」
「最低ー。ここにいい女がいるってのにもー」
「気持ち悪い。死んで」
「ごめんなすって」
俺のこと殺さなきゃ気がすまない?それとも幽霊がタイプなの?
買い物についてだが、何聞いても「チッ」される。
なんで連れてこられたの?人気の無い所だけは行かないようにしよ。
お姉様に連れられ歩きまわる。
…………どこ行ってんの?グルグル回ってね?
「お姉様お姉様、どこ行きたいの?迷子」
「チッ、うるさい」
「飯ならあっちの方だよ。武器屋もあっち。服屋はこっち、んで道具屋はそっち」
「チッ、……チッ」
2回はひどい。受け止めきれないよ。
結局行き先がわからず、たらたらついて歩いてた。人多いな。
少し歩いてると人通りが多い所に出たらしい。
はぐれそうだと思ったので色んな意味で勇気がいるが、お姉様のふつくしいお手を拝借した。
恋人繋ぎはしないよ?あれで強く握られるとメッチャ痛いから。
手を繋ぐといきなり足を止めた。びっくりです。
見ると犬シッポがピーンと真っ直ぐ立ってて動かない。威嚇?
「お姉様どしたん。はよ行きまひょ」
「や、あの、手、あの」
「はぐれるかもっしょ。手汗ひどい?」
「…………キモい」
ご機嫌ナナメですかね。
………………超シッポ振ってるんすけど。お散歩気分ってこと?
結局散歩のみで終わり。俺、生きてる!
宿に全員集合して、その日はそのまま各自休んだ。
ちなみに兄貴はナンパ失敗らしい。ざまぁ!
翌朝、
「ニアがいない?なんで?」
「わからん。起きたらいなかったらしい」
「ごめんなさい。私が目を離してしまったから………」
「それより早く探した方がいいだろ。俺はここから魔法で探る。お前らは足で探せ」
「うい」「ああ」「わかった」
…………面倒には巻き込まれてませんように。




