表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
第1章
22/59

21話

「クライスト君、ご相談があります」

「断る」

「それで、話というのは学校のとある授業についてなのですが」

「聞いてる?」

毎朝何なの?俺もしかして厄年?


今朝もお客様がいらしてる。ノエルさんが。

そして当たり前のように、マーリンさんとシエルも来てる。

そしてアンナさんもいる。なんでだよ。


「実は近いうちに実戦訓練に入るんですが」

「断る、爺さん」

「断る」

「内容が2つありまして、1つが今までもやってる生徒同士の模擬試合。もう1つが魔物討伐をする事になってます」

いや聞けよ。この一族誰も話聞かねぇな。


「小僧、討伐に行け」

「断る、勝手にやらせればいいじゃん」

「それはちょっと………」

「え?なんで?」

なんで少し遠く見てるの?なんかあんの?


「あそこはボンクラしかいねぇだろ。死人が出るからついてけ」

「辞めさせろよ!バカなの!?なんでやんだよ!」

魔物の餌になりたいの?どんだけドMキメればいいんだよ。


「理由としてはですが、みんな騎士志望の子ばかりなので必ず通らなければならない道なんです」

「だからなんですか。俺は絶対嫌ですよ」

誰も言うこと聞かないもんね。下手したら俺を餌にされちゃうよ。


「私はクーが一緒にいてくれたらすごく心強いんだけどなー」

「私も同意見です。あなたが居てくれれば助かります」

「シエルはともかく、アンナさんは俺の腕知らんでしょ」

「そうですが、皆さんがクライスト君がお手伝いする事に反対どころか、賛成してると思ったので」

判断材料弱いよ。命かかってるってわかってんの?そういうとこだよ?


「とにかく断る。爺さんにやらせてよ」

「飽きた」

「やってたんかい、んじゃマーリンさん」

「ごめんね、忙しいから」

「嘘つけ」

どんだけ俺にやらせたいんだよ。ガチでやだよ。


「どうしてもダメですか?」

「ダメだよ。絶対、い、や、だ!」

「やけにゴネるな。なんかあったか?」

「あるだろ!そもそも王国来てからずっとだよ!お偉いさん方にはわからんだろうね!」

てかわかってて言ってるよね?じゃないと俺泣いちゃう。


「そうですか………では、日程ですが」

「本当聞いてる!?嫌だって言ってんじゃん!」

「嫌よ嫌よも?」

「好きじゃねぇよ!嫌だって!」

しつこい!みんなの顔見て?呆れてるよ!


「小僧、いい加減諦めろ。もう決まってる」

「は!?俺に呆れてんの!?バカなの!?」

みんなが何考えてんのかさっぱりわからないよ!僕もうお家かえる!


「クー君、条件付けたらやってくれる?」

「え?…………どんなの?」

「クー君の言うこと聞かない子はお仕置きって内容。もちろん教師も」

「………それ絶対効果無いでしょ」

「大丈夫、かなり厳しくすればなんとかなるよ。だからお願い出来ないかな」

優しいのはマーリンさんだけだな。でもこの提案普通ノエルさんが言わなきゃおかしくね?


「もう一個追加していいならやるよ」

「お、なになに?」

「俺は討伐に手を出さない。やっても自衛」

「却下」

「ダメです」

「無理だろ」

「それはちょっと……」

「ごめんね?」

みんななんなの?辞めれば?


結局ゴリ押しされた。チョベリバ。

内容を改めて聞くと試験よりベリーハードだった。


生徒10人班で闘士と魔導師の混合パーティ。どっちが何人とかはランダム。決めろよ。

これを毎晩やるんだと。ふざけてんのかよ。


生徒総数は1500人なので単純計算150日。

休みも挟むので予定は一年。バカか。

引率の先生2人をローテーションで入れるらしいが俺は毎回出ろってよ。悪魔か。


そして、指示を聞かない愚か者への罰は単位を減らされるだけだと。狂ってんのかよ。

あと先生は減給。甘えてんのか。


「無理。ふざけてんのか」

「ごめんね、これ本気なの。これで許してくれない?」

「他当たって下さい」

「お願い!君しか頼れないんだ!」

「ギルドにでもお願いすれば」

「毎回依頼はするんだけど誰も受けてくれないんだ。だからお願い」

俺は保険かよ。扱い雑すぎるよ。


「小僧、諦めろ。やれ」

「爺さんと交代では?」

「嫌だ。疲れる」

「おい」

譲歩してんの俺だけだろ。辛い。


「クライスト君はどうしてそんなに嫌なんだ?君自身の修行にもなるだろ?」

「それどういう意味?足手まといがいる時を想定しろって?」

「いや、その、複数人で魔物と戦うことをって意味で」

「あんた程度ならいない方がマシ。いるだけ邪魔だから」

「………ごめん」

魔物と戦った事ないの?やっぱ俺の周りだけ狂ってんのか。泣きそう。


「ハイハイ、アンナちゃんをいじめない。今回は本当になんとかするから。お願いね?」

「マーリンさ〜ん、でもさー、やだよー。辛いよー。やんなきゃ良いだけじゃん」

「そう思うかもしれないけどこれをやった方が騎士になってから役に立つのよ」

「クライスト君、ごめんなさい。お願いします。ね?」

最後のいらねぇだろ。かわいくねぇわ。


諦めた。今回こそは絶対断るって決めてたはずなんだけど。………はぁ。


授業は3日後から始めるとのこと。

当日の日暮れくらいに学校集合で、班を確認次第出発進行らしい。後はさっきの通り。死ぬかも。




はい3日たった。とてつもなくテンション下がってます。


「小僧、機嫌直せ。始まりゃなんとかなる」

「変わってよ」

「断る」

……………はぁ。


日暮れまでマーリンさんの研究室に厄介になり、出発の少し前くらいに今日のメンバーが学校の門に集まった。嫌だなー。


「今日はこの班員で授業に行きます。そしてそこの少年が今回闘王様の代理で来た者です。自己紹介しなさい」

初手から物凄く上から目線なんですが。もう不安的中じゃね?


「ご紹介に上がりました、クライストです。よろしくお願いします」

「では行きましょう。引率は私とトミー先生が務めるので、何かあればどちらかに声をかけるように。では出発!」

え?俺だけ?他のやつは俺になんかないの?


全員でゾロゾロ見慣れた山ん中へ移動。

生徒や教師を見ると、どいつもこいつも緊張感がない。隊列もヘッタクレもなく、コソコソ話しながら移動してる。先生もだ。こりゃ参った。


少し歩き続けていると、魔物の気配がする。

数は6で木の上に2。多分お猿さんだな。

ウッキーは動きが立体的な動きをするから結構戦いにくい。

それに物を投げてくるのが厄介。たまにウンコ投げてくる。めっちゃ臭い。


距離は5メートルくらい離れてるのでまだ奇襲されたりしないと思うんだけど、厳しいなー。

多分だけど誰も近くにいるって気づいてない。

というか山ん中入ってから誰も探知しない。ナメてんのか。


「あの、先生」

「なんですか。今忙しいので邪魔しないでもらいたい」

うざ!まぁ我慢。


「いえ、近くに魔物がいるので」

「は?くだらない。いたらとっくに私かトミー先生が気づいていますよ。授業の妨害になるのでふざけるなら他所でやってもらいたい」

はい終了。もう知らん。


忠告を無視する一行はお猿に囲まれた。しかも全部が木の上に登ってしまっている。これは面倒。


距離が2メートルくらいまで近づいてようやく先生が気づいたらしい。


「みんな止まって!近くに魔物がいる。戦闘態勢!」

というと、魔導師を中心に集めて闘士が周りに配置する形をとった。それ動けなくね?


案の定、ウッキーに先制攻撃をされまくった。

だが魔導師勢の魔術によりノーダメージ。

そしてそのまま魔術で攻撃。当たらなかったけど。


ウッキーの群れは多分持ってたもん無くなったから全部逃げた。1匹も仕留めて無いじゃん。


「ふぅ。ひとまずは追い払ったようですね。ですが、すぐにまた来るかもしれません。十分に警戒して下さい」

あんなのでビビって逃げるわけないだろ。だる。


この後同じ流れが4回続いた。討伐数ゼロ。やる気出せ。………俺か。


「皆さん、一度休息を取りましょう。無理は禁物ですから」

と言って集まって休みだした。まだ近くにいるよ?探知しな?


「おい、あんた」

「え?なんですか?」

急に生徒の1人に話しかけられた。お金なんか無いよ?


「お前何しに来たんだよ。目障りで集中力削がれるんだよな。もう帰れば?」

出た。はい単位減ったー。………本当に減るかな?


「俺も帰りたいけど、一応頼まれたから」

「は?んなもん知るかよ。んじゃなんか芸でもやれよ。それなら少しは考えてやるよ」

「お、いいねー。ほらなんかやれよ!」

「おー!やれやれー!」

うわうざ。そのコールやめてようざい。


しょうがないからやってあげよう。

「それじゃあやりますね」

闘気を少しだけ作り、周りを確認。

ウッキー6匹の位置を再確認し、猿に向けて通しを六発打ち込む!


見事に成功し、6匹仕留めた。

木から落ちた猿を全部持って来て生徒達に見せる。


「はい。どうだった?」

「……………あの、とてもすごかったです」

「ありがと。先に言っとくけど俺お前ら全員嫌いだからなにがあっても助けないからな?」

「え?あ、あの………」

「あとそこの先生方程度じゃ下手したら全滅だからな。んじゃがんばって」

と言って木の根元に寄りかかって寝る。もう疲れた。


だがしかし!現実はそんなに甘くなかった!


「あの、すみません。よろしいですか?」

「いえ、俺では邪魔になるらしいんで。先生方に任せますからご自由に」

「う、で、ですが、あなたも仕事で私達の補佐をしてるんですよね!でしたらお話を聞いてもらわないと!」

「知るか」

なに強気になってんだよ。つまんねぇ冗談やめてくれ。


だが、俺のこの反応が悪かったらしい。

この日1日、俺が寝てる場所から一歩も動かなくなって朝になってしまった。甘えすぎだろ。最初の自信どこ行ったんだよ。


更に不幸が重なった。

10日ほどたったのだが、全部初日と同じ様な流れになった。ストレスフルでゲロ吐きそう。


先生方は3日に1回のペースで交代してるのだが、全員同じ考えなのか。クソかよ。

10日目には最初の先生方がまた来たし。はぁ。




「クライスト君、授業のことなんですけど」

「ノエルさん、これ以上の事は俺絶対やらないから。あと罰とか全然効いてなくね?てか本当にやってるの?」

「ええ、約束通り。ですが、その様子だと全然効果が無い様ですね」

「はい、教師はなんとか聞く耳だけは持つ様になりましたけど、生徒は誰1人言う事聞きませんね。でも俺はやり方変えませんからね」

なに言っても聞かないし、先生は最初以外は聞くけどそもそも弱い。本当に生徒にモノ教えてんのかよってレベル。


「…………そのことなんですが」

「やめますよ」

「ちょっと待って。罰を重くするから。それならいい?」

「どのくらい?」

「退学処分で」

「1人もいなくなるぞ」

この人アホか。マーリンさんくらい話聞かないプラス爺さんくらい雑。嫌なとこだけ似てんなー。


「どうすればいいかなー。いっその事殴って言う事聞かせよっか」

「おい学園長、それ言っちゃダメでしょ」

この人ホントにアカン。誰だよ、この人学園長にしたの。


「まぁいっか。この休みの間に君の噂が広まってなんとかなるでしょ」

「そんな上手くいくわけ無いでしょ」

「だよねー。しょうがない!先生方に丸投げしましょう!」

「それでいいのかよ」

俺の予想通り全く改善出来ませんでした。アホしかいねぇな。





「クライスト君、今日はよろしくお願いします」

「おー、アンナさん。こちらこそよろしく」

やっと知ってる人が来たよ。まぁ後のはまともなのシエルしかいないけど。


今日もいつもの流れで山に来た。生徒もアンナさん以外はいつも通り。ですよねー。


「あの、クライスト、さん。お聞きしたい事があるんですが」

「お断りです」

毎回溜めてからさん付けする感じなんだよ。クソみたいなプライド捨ててから話しかけろや。


「クライスト君、なぜ話を聞かないの?」

「言うまでも無いから」

どうせこの辺どうだとか魔物どうだとか隊列云々とかだろ。くだらね。


「そうですか。私からも質問があるのですがよろしいですか?」

「もちのろん、なにかね?アンナ君」

「はぁ、えっと、クライスト君はいつもどうやって魔物討伐をしているんですか?」

お、いい質問。この聞き方は説明1回だから楽。


「俺はテキトーに歩いて、気配を察知したら突っ込んで倒して終わり」

「へ、へぇ。………全然わかりません」

「えー?どこがさ」

「あの、気配ってどう察知するんですか」

「感覚で」

「えー」

それしか無くね?頑張ってよ。


「まぁ出来なきゃ魔術で代用だね。サーチってやつ」

「あの、私闘士なんですけど」

「だからなんだよ。魔術使えないの?」

「いえ、使えますけど……」

「んじゃ使えよ。弱いくせしてんなナメたことしてるから魔物1匹仕留めらんねぇんだよ」

「………すみません」

やべ、めっちゃ凹んじゃった。周りにも凄く見られてるよ。萎え。


「あの、申し訳無いのですが魔術を教えて貰ってもいいですか?」

「そこの魔導科のやつに聞けよ」

「あの、ですが、その………」

うざ。お前らが仲悪いとか知らねぇんだよ。早く行けよ。


俺に聞くのは諦めてスゴスゴ他の生徒に聞きに行った。

すると普通に教わってる。最初っからそうしてよ。


多分俺達の話をみんな聞いてたんだろう。

全員一斉にサーチし始めた。バカしかいない。

魔物は魔石に魔力が溜まってる。魔術を使うと魔石が反応するからこっちも位置がバレるのだ。


一斉に使った結果、魔物が寄ってきた。はぁ。

今度は7匹。全部陸にいるから多分ウルフ。

だといいなーって気持ち込み。


「全員警戒態勢だ。近くに魔物がいる。数は3だ」

「え?4じゃ無いんですか?」

「私、2だと思った………」

「いえ!5匹はいます!」

バラバラじゃん。統一してよ。


「アンナちゃんは何匹だと思う?」

「………2匹だと………」

「あー、そうですか」

「何匹かわかります?」

「7」

「嘘だ!」

聞き耳立ててた上に嘘つき呼ばわりかい。


「んじゃ好きな数にしてよ。はいがんばー」

「あの、クライスト君は何を?」

「寝る。がんばってね」

「え?え?手助けしてくれるんじゃ無いんですか?」

「アンナちゃん以外言うこと聞かないからやらない。無駄じゃん」

「えー」

しょうがないじゃん。アドバイス無視されると泣きたくなるからね。


「せ、先生!次はどうすればいいですか!」

「落ち着け!魔物はおそらく近づいてきてる。冷静に対処するんだ」

「でも!どうやって!」

少しは考えろよ。先生かわいそうだろ。


「全員一ヶ所に固まれ!みんな背中合わせにして周囲を確認しろ!魔物が視認出来たら魔術で攻撃し!打ち損じたものは闘士が対処するんだ!」

結局おしくらまんじゅうかい。それ好きだね。


「クライスト君だったらどうします?」

「俺?俺の中では7匹だから、先生が1匹ずつ、あとは2人で1匹倒せばよくね?って感じ」

まぁ闘士と魔導師が五分五分なら出来るんだけどね。あと実力次第。


残念ながら結果は変わらず。

怪我人は出ないものの、討伐は失敗。あらら。

先生方も生徒のフォローで手が回らないのか、そもそも強くないのか魔物を倒せない。

他の少年少女は言うまでも無い。これ本当にやる意味あんのか?


「クライスト君、どう思う?」

「なにが?」

「私達のこと」

「がんばれーって」

「いや、そうじゃなくて戦い方とか」

めんどいよ。自分らで考えてよ。


「えー、あー、やる気とか?」

「ふむ、あとは?」

まだ言うの?

「えっと、気持ちとか?」

「それ一緒でしょ。他の」

「はぁ、連携とか?警戒心とか?実力とか、戦術とか、考えとか」

「そ、そっか」

「あとは口の聞き方かな。俺も人の事言えないけど」

でも俺は敬語から入るからセーフだよね?


こいつら聞き耳立てるの好きだねぇ。

俺らの会話聞いてから集まってコソコソ作戦会議してるよ。どうせ変わらんだろうに。





結果、本日、討伐数ゼロ。予想通り、以上。

こんなの一年かぁ。身がもたない。アンナちゃんももうちょい動けるように鍛えてね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ