18話
朝です。
今日はとてもいい天気!
二度寝にはもってこいだね!お休み!
「小僧、起きろ。行くぞ」
早くね?俺飯すらまだだよ?
「今日やる事についてですが、一応全員に確認しますねー。洞窟探検、以上」
「もっとあるでしょ?緊張感持たないと危ないよ?」
「弁当持ってきてるマーリンさんに言われても」
ピクニック気分やんか。まぁ飯大事か。
「あの、私はなんで一緒に来てるのかわからないんですけど………」
「師匠である私の仕事振りを見てもらうためなのです!」
「そうなんですか!わかりました!勉強させてもらいます!」
緊張感は?なんで俺だけ注意されんの?
「目的地に着く前に動きを確認するぞ。魔物は小僧、それ以外は小僧かマーリンがやる。いいな?」
「どこがだよ。俺だけ交代無しだろ」
「俺もだ」
「休みなし!」
爺さんは何しに来たんだよ。過保護なジジイ役かよ。
しばらく歩いてると魔物に遭遇。朝なのに珍しいな。
「小僧、やれ」
「ぼくこわくてうごけないよー。たすけてー」
「やれ」
「おらよ」
闘気を少し作って爺さん奥義、通しで魔物の頭をぶち抜く。倒したー。
「………クー、今のなに?」
「念力」
「それなに?私も出来る?」
「ごめんこれ闘気の技」
「えー、そんなことばっかするから嘘つきって言われるんだよ?」
いやほぼ言ってないから。言われてるだけだから。
魔物を倒してから進んで行ったが、目的地まで何度も魔物に遭遇した。ブルかウルフだったから割と楽に倒せたが、これはあれですね。
「ちょっと様子おかしいね。朝なのにこんなに魔物いるなんておかしいよね」
「目的地に近づくほど増えてくな。面倒だ、小僧先に全部片付けてこい」
「断る、無駄が出るから通り道の最低限だけやろうよ」
「チッ、行くぞ」
おい、舌打ちはやめてよ。傷つくよ。
目的地の洞窟に到着。めっちゃこわいよー。オバケとかいるんでないの?って感じ。
「小僧、先に入れ」
「罠があるかもしれないから先に引っ掛かれと。嫌です」
「とりあえず魔法で中確認するね。ほい」
といって指を鳴らす。本当それどうやって魔法使ってんの?教えて?
「罠な類は無かったよ。奥の方はちょっと深くてわからなかったから、進んでみよっか」
「はーい、んじゃ爺さん先頭よろしく」
「お前走って奥見てこい。その方が早いだろ」
「死んだら恨むぞ」
「…………進むぞ」
え?俺本当に死ぬの?否定しないの?
「…………結構歩きましたよね。まだ1番奥までサーチ届かないですか?」
「うん。今も見てるけど届いてないよ」
「疲れたー。飽きたー。今日もういいんでない?一回帰ろー」
「それだと明日もここら辺で帰ろって言うでしょ。諦めて頑張りなさい」
シエルたんキビシー。そこもかわいいよー。
「小僧、お前はどう見る」
「正直、人の線が高いと思う。しかも他所の」
「は?なんで他所のなんだよ」
「それはマジでただの勘」
「………当たるのか?」
「当たる。まず間違いない」
前世から勘は異常に鋭いのが特技出した。特技?でいっか。まぁ結果は残念だけど。
「それって細かいことわかるの?」
「マーリンさんは勘信じてくれるんだね。細かいと少し外しやすくなるかな」
「例えば、その他所の人は悪さをしてるとかは?」
「あー、してるしてる。それも間違いない。良いことはまぁまぁだけど、悪さに関してはまず外さないよ」
嫌な勘の鋭さですよね。普段は絶対気にしないようにしてるけど。
「お!奥まで探知したよ。………なにもないね」
「ってことは、隠蔽してあるか確認しなきゃと」
「小僧、走って見てこい」
「だから嫌だよ。安全第一」
道中でなんかあったら嫌じゃん。
「到着、ですね。見た感じは魔術や魔法っぽくなさそうですけど」
「気配は無いな。隠し通路か?」
「んー、違うなー。なんかあるよー」
「だね。これ魔法で隠してる」
「え?本当ですか?全然わからない………」
ありゃ。それちょっとピンチくさいね。
「マーリン少し待て。小僧準備出来たか」
「あぁ、いいよ」
シエルでわからないレベルはちょい危険だから魔闘気を纏っておく。生命力3割程だ。
「それじゃ解除するよ。シエル、いいね」
「はい。いつでも」
というとマーリンさんが手を壁にかざす。
すると、目の前の壁がだんだん薄くなり、消えた。
「気配は無いね。マーリンさんサーチー」
「はーい。ほい」
それ気が抜けちゃうなー。まぁいいけど。
「いるか?」
「……………何かある。それに人も。……………今ので気づかれたみたい」
「小僧」
「わかってる。マーリンさん、前出るからサポートよろしく」
「え?あ、はい。あれ?」
真面目にやったら俺たちこうだから。いつもアホじゃないからね?
俺先頭で一列に並んで真っ直ぐ進む。
俺が前の理由は魔闘気なら魔術や魔法も対処出来るからなのだ!えっへん!ジジイ早く覚えろよ。
真っ直ぐ進むが何もない。誰も来ないと思ってたのかね。
もしくはここはダミーとかか?ギルドはメリダオバさん以外信用出来ないからな。
「もう少しで1番奥だよ。多分待ち構えてる」
「了解。絶対攻撃しないでね。みんないい?これ振りじゃないからね?」
「わかってる、早く行け」
「大丈夫大丈夫行こ行こ」
「2人もかなり心配なんだけど」
「え?1番って私?」
ごめんシエル。悪手は得意だと思ってたからさ。
奥まで歩くと、人がいた。後ろ姿はやや細めの男?かな。
まずは軽くジャブか。
「こんにちは?おはようお兄さん。こんな所で何してるの?」
「………………」
「あのー?聞こえてる?言葉わからないとか?」
「ねぇ、あれ生きてるの?人形とかじゃない?」
「生きてる。ただあいつはおそらく魔族だ」
マジかー。あっちゃー。爺さんとシエルはキツイな。
魔族は魔術や魔法に長けている。人族で越える実力を持っているのはマーリンさんくらいらしい。
だからシエルは敵わない。爺さんは相手次第。あまりにも強いと手も足も出ないとか言ってたな。
「ねぇお兄さん。もしかしてお姉さん?だったらごめんね。後ろ姿しか見えないからさ。もしよかったら俺とお茶しない?最近の環境問題について語り合おうよ」
「………うるさいなぁ」
おー、話した。声的に男か。なえー。
「ありゃ、お兄さんか。こんなとこで何してんの?ラブドールでも作ってんの?」
「なんだそりゃ。お前には関係無いだろ。さっさと帰れ。研究の邪魔だ」
「えー?それって、魔物の研究?魔物を使役するとか?魔物を操るとか?それとも………魔物を作るとか?」
「…………お前なんだ?殺すぞ」
うひょー。マジでこわいよー。殺気も魔力もえらいこっちゃやでー。
「ねぇねぇ、答えてよ。お兄さん魔族だよね?人族の、それも王国の近くで何してんの?」
「黙れ」
消えた!?どこだ!?
「マーリンさん!」
「後ろ!」
さっきのお兄さんはシエルの後ろにいた。
そしてシエルに向かって手をかざしてる。
俺は超集中を使ってシエルの前に飛び込んだ。
魔法が放たれているが攻撃じゃない。だが避けるとシエルに当たるので両腕に魔闘気を集中して受け止める。
「バカが」
「え?」
謎の魔法の光が腕をすり抜けて頭に当たった。
そして俺は気を失った。
「起きろ!」
「うおっ!」
爺さんのデカイ声で飛び起きた。なんだ?
「クー大丈夫!?なんともない?」
「え?なにが?もしかして漏らした?」
全然状況がわからん。なんだ?
「お前、何してたかわかるか?」
「は?寝てた」
「なんで寝てたかわかるか?」
「え?んー、んー、んー?……………魔法だ!」
そうだよ。お兄さんによくわからん魔法でやられたんだ。あぶねー。
「やっと起きたか。永遠に起きないかと思ったぞ」
「おいジジイ、不吉なこと言うなよ。ビビってションベンちびるだろ」
「本当に危なかったんだよ?私が解除魔法で起こさなかったら2度と起きなかったよ?」
怖いな!マジで死にかけてんじゃん!
「マジか。シエルありがと。ほいであのにいちゃんは?」
「マーリンがとっ捕まえた。お前が寝かされたあとブチ切れて殺しかけたけどな」
マーリンさん。ありがた怖い。
「マーリンさん。ありがと。ごめんね、心配かけて」
「いいのよ。むしろ私が油断したせいで危ない目に遭わせちゃったんだから。ごめんね?」
「かまへんかまへん。んでにいちゃんよぅ。どう落とし前つけてくれるんかのぅ」
「うるせぇ」
当たり強いなー。なんかみんな俺にこうじゃね?
男だから?ですよねー。
「にいちゃんさ、お腹空いてないかい?カツ丼、食べなよ」
「は?」
こわ。最近の子はすぐ切れるわねぇ。やだもー。
「にいちゃん。にいちゃんが悪いことしてるのはわかってる。正直に白状しな。田舎のお袋さんが泣いてるぜ」
「は?」
あかん。これあれやな。無理ゲーですな。
「あんたいい加減言いなさいよ!それとももっと痛めつけられたいの!?」
「はいシエルちゃん黙ってー。暴力反対だからねー」
「え、や、でも」
「いいからあっち行けや。邪魔だ」
「あっ、ご、ごめんね」
やべ、俺もキレちゃった。糖分足りてないな。チョコ食べたい。
「へいにいちゃん!へいへい!ここで何してたんだい!」
「うるせぇ」
「オッケー!にいちゃんへい!何してたんだい!」
「だからうるせぇんだよ!」
「あ、はい」
俺には…………無理だ…………。帰りたい。
「マーリンさん、どうしよっか」
「私よりアラドの方がいいんじゃない?ねぇ」
「ギルドに渡すか。それしかねぇだろ」
「渡したらどうなんの?」
「拷問の末に奴隷落ちか死ぬかだな」
うわーグロいー。
「それやだなー。結局魔族と仲悪くなるじゃん」
「は?それがなんだよ」
「いや、戦争の発端とかなると困るじゃん。俺これでも世界周らなきゃいけない身だからね」
もう2年もサボってるけど。…………いや!じゃんだから!
「は?お前みたいなクソガキが旅だと?クソつまんねぇ冗談だな。絶対死ぬぞ」
「かもね。でも戦争なんかしたらもっと死ぬかもしれないじゃん。俺とか絶対最前線だよ?」
「んなわけあるかボケ。最前線は常に強者しかいねぇんだぞ?お前が行けるわけ無いだろ」
「このジジイは行くだろ?俺もついて行かされるだろ?死ぬでしょ?あかん」
この方程式崩せるなら崩してみせてよ。泣いて喜ぶよ。
「だったらなんだ。お前何したいんだよ」
「俺の理想は、お互い何も無かった。で通したい」
「は?」
「どういうことだ?」
「それ本当に言ってるの?」
質問責めすごいな。慌てなさんな。
「ここで俺ら全員が何も無しで通すと、国同士は仲は悪くならない。戦争起きない。俺らは後は帰るだけだし、にいちゃんも拷問だの奴隷だのも無くなる。これぞまさにウィンウィン!」
決まった!完璧だ!
「良いわけあるか。魔族共は明らかに俺らに喧嘩売ってきてんだろ」
「もしかしたら、もう戦争する気かもよ?」
「そうだけど、戦争する口実は無くなるでしょ。俺が言いたいのは俺が旅を終わるまで戦争しないでって事」
「バカかよ」
「しょうがないじゃん!だって危ないじゃん!」
誰だって自分かわいいじゃん!
「お前最低だな。だから人族は嫌いなんだ。クズしかいない」
「……………にいちゃんさ、否定出来ない悪口やめて?ただただ傷つくから」
「………………お前気持ち悪いな」
ひど!オブラートに包んでよ!
「お前、魔族嫌いじゃねぇのか?」
「今んとこにいちゃんしか知らないからなんとも。人族は嫌いだよ?クズばっかだから」
「おい」
「クー君酷い!私達のことそんな風に思ってたのね!うぅ………」
「クー………ごめんね、クズで…………ぐすっ」
「みんなは違うけどその感じは嫌い!」
すぐ俺をいじめるよね!それ本当良くない!
「クソガキ、この拘束解け」
「え?なんで?てかマーリンさんがやってるし」
「いいから早くしろ」
「だからなんで?」
「お前を殺すから」
「嫌だよ!情緒不安定かよ!」
急にこわいよ。しかもなんかゲラゲラ笑いだしたし。
「はぁ、お前人族にしては面白いな。お前、俺のダチに似てるよ。…………名前は?」
「え?あぁ、クライスト。にいちゃんは?」
「俺はデンゼル。それで、俺をどうする」
「え?んー。爺さん」
「…………好きにしろ」
えー。そこはさすがに決めてよ。これは大事な話だからね?わかってる?
「私もクー君に任せるよ。何かあったら責任取ってもらえるから」
最後の一言やめて。こわい。
「私もクーに任せる。責任取ってね?」
言い方よ!かわいい!
「んじゃ、デンゼル兄にお願いだけど、ここでやってる研究は痕跡全部消して魔王国に帰ってもらうって事で」
「…………本当にそれで良いのか?魔族を殺せる機会はもうないぞ?」
「なんだよそれ。1回も来て欲しいと思った事ないよ。メリットないじゃん」
「メリット?まぁあれだ、戦争とかだ。魔族滅ぼせるかもしれねぇぞ」
もー。なんだよー。ドMかよ。
「んなことしたら先に人族が消えるよ。というか俺がいの一番に殺されるでしょ。だから却下」
「俺を連れて帰れば貴族にでも取り立ててもらえるかも知れないぞ?それはどうだ」
「貴族嫌い。むしろ貴族滅べ」
これガチの本音。
「クー………ごめんね?」
「クー君、そんなに私達のこと………」
「そうか、面倒見てやったのに」
「え?なに?爺さん貴族なの?似合わな」
「うるせぇ。勝手にされたんだよ」
あー、ありそうだな。全然見えないけど。はたから見たら木こりだもんな。
「クライスト………本当に俺を逃すのか?」
「え?うん。それが1番都合いいからね。でも人族に見つからないでね。ここもバレたからさ」
「……………そうか。お前は違うんだな」
「え?お、おう」
「なにわかってないのに返事してんだよ」
うるさいよ。バラすなよ恥ずかしい。
「本当にいいんだな?」
「いいのいいの。お互い面倒はごめんでしょ?」
「………まぁな。これがお前の罠じゃなければな」
疑うよねー。人族すげぇ。嫌われっぷりマネ出来ねぇ。
「んじゃ先帰るね。マーリンさん拘束よろしく。デンゼル兄、またねー」
と言って俺は帰る。お腹空いたもんね。
このまま来た道を戻る。……………後ろから刺されないよね?
洞窟を出ました。何もなくてホッと一息。
「おい小僧、ギルドにはなんて報告するんだよ。お前が言い訳しろよ」
「わかってるよ。出来れば一言くらいは助けてくれるとありがたいけど」
「チッ、しょうがない」
舌打ちは入れなくてよくね?わざわざ俺の顔見てやる必要もないよね。
4人でこのままギルドに向かった。
シエルとマーリンさんは用事ないけどついて来てくれた。ありがたい?かな。
「それで、洞窟に居たのは見たこともない魔物だったと」
「そうなんですよぅ。だから、今回は何も無かったんですよ。爺さんの言った通りとは珍しい事もあるもんだ!」
「……………」
視線が痛い。たちけて。
「坊や、本当に本当なんだね?」
「本当だって。いっつもみんな俺のこと嘘つき呼ばわりするよね。結構傷ついてるんだよ?」
「…………そうかい、まぁ何聞いてもその答えなんだろ。2人も何も言わないから別に悪いことでも無さそうだしね。わかったよ」
ウェーイ。ミッションコンプリートー。
「へへっ。メリダの姐さんにはいつもお世話になりやすぜ」
「ハイハイ。そういうところが胡散臭いんだよ」
嘘でしょ?ユーモラスじゃん。子供の。
そんなわけで難を逃れた。いぇーい。
この後はここで解散して全員帰った。
俺お疲れ!
問題は起きてないし、あとは何も起きないことを祈ろう。まぁ何も無いだろ。今は。




