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楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
第1章
17/59

16話

「君、待ちたまえ」

何で2回言うの?聞こえてるよ?


「フリード?どうしてここに?」

「何を言っているんだ。私は許嫁である君とは常に一緒だろう」

いやお前初めて見たけど。常にじゃないじゃん。


「はぁ。それで何の用でございますでしょうか」

「あぁ、君が最近シエルに付きまとっている平民君だな?私からの命令だ。もう2度と私のシエルに近づくな」

異議あり。俺は悪くないでーす。


「ちょっとフリード!この子はそんなんじゃ無いから!」

「大丈夫だシエル。私は君のことをよくわかっているから」

話噛み合って無いなー。シエルがんばー。


「だから違うの!この子は……」

「シエル、安心していい。私が全て何とかする。………君、シエルには2度と近づかないと今、ここで、誓え」

「俺は別にいいけど。その代わり何があっても責任取ってくれます?」

シエルがキレたら守ってね。マーリンさんが怒ったら助けてね。


「クー、それ本気?」

「本気本気。貴族様の命令も誓いも俺の出来る範囲で守るだけだから」

「平民にしては殊勝な心がけだな。では私のシエルの前からさっさと消えろ」

「はーい。シエルまたなー」

「え?あ、うん」

よし帰ろー。ついでに飯食ってこうかな?


「おい待て!貴様今何と言った!」

「え、はーいって」

それぐらい分かるでしょ?なに怒ってんの。


「違う!今またなと言ったな!」

「あ?あぁ、シエルにね」

「貴様、たった今私に誓ったよな。もう忘れたのか?平民は頭が悪いものばかりとは思っていたが、こうも間抜けなのか?」

「いや、覚えてるよ。でもシエルが俺んとこ来たら誓いも何もないじゃん」

避けようがないし。出来るだけ俺が近づかなきゃいいんでしょ。


「バカな!お前などに何故シエルが会いに行くのだ!ありえん!」

「いや俺に言うなよ。シエルに聞けって」

「チッ………。シエル本当か?何故こいつに会うんだ。答えてくれ」

「そ、それは………あの…………師匠の付き添いで……」

シエルちゃん、本当にしろ嘘にしろそれははっきり言ってね。誤解されるからね。


「マーリン様がこいつに?貴様、マーリン様とはどういう関係だ」

「知り合い」

「なんだと!?」

知り合いってそんなにハードル高いの?区分ではお前も知り合いになると思うんだけど。残念ながら。


「それ間違ってはいないけど………。クーはアラド様の弟子で、師匠が弟子同士で交流させようって」

「……………なに?この平民が?あの闘王様の?それは本当か?」

シエルたんそれはアカン!野次馬が再来や!


「まぁ一応。んじゃ帰りますね」

「いや待て!」

しつこい!もういいでしょ!


「貴様、またも私を謀ろうとしているな?」

いや弟子なんのかんのはシエルが言った。俺じゃない。

「違いますよ。なんでですか」

「お前が闘王様の弟子なわけがない。シエルを騙しているんだな!」

それ流石に無理あるでしょ。どうしたいんだよ。


「貴様に決闘を申し込む」

「断る」

一応殺気全開、威圧全開、あと穴空くくらいメンチでお返事。

シエルたんは案の定冷や汗マックス。ごめんね、帰りたいから。


「なんだと!?生意気だぞ!平民の分際で!」

「ちょっとフリード!やめて!殺されちゃうよ!」

「シエルちゃんそれダメ。そんな気あるわけ無いでしょ」

火に油でしょ。こういうやつ絶対聞かないでしょ。


「私がこんな平民に負けるものか!外へ出ろ!」

「フリード!ダメ!クーは1人でレッドベアーを倒すくらい強いんだよ!絶対怪我するよ!」

シエル!変なこと言っちゃダメ!倒して無いから!相打ちだから!


「嘘だ!シエル、君はこいつに騙されているんだ!」

「違う!私の目の前でクーはレッドベアーを倒したの!嘘なんかじゃない!」

ちょいちょいちょいちょい。野次馬めっちゃ集まって来たよ!これやばいよ!


「シエル!違う!絶対こいつに騙されている!目を覚ませ!」

「そんなわけ無いでしょ!信じてよ!」

もうダメだ。最終奥義を使うしかない。


「さらば!」

「何!?貴様、逃げるのか!」

大当たり。お前に構う暇ないっつの。


俺は猛ダッシュで学校から走り去った。精神的に疲れたー。帰ろ。


「クー君、届けてくれた?」

「届けましたよ。2度とやらないから」

俺は激おこだよ!プンプン!……………きもいな。


「ねぇ、学校どうだった?行きたくなった?」

「学校潰れないかなーって思った」

あのクソ学校の存在を疑うレベルで嫌い。


「小僧、どうだった?」

ジジイまでなんだよ?学校行きたいなら自分で見てこいよ。

「どうって、最悪だよ。生徒どころか教師もクズばっか。何様だよって感じ」

「…………珍しく荒れてるな。どんな事言われたんだよ」

そっちも珍しく食いつくな。教師にでもなんのか?


「あー、平民風情が話しかけるな、なんだクソガキ、貴族様に逆らうな、的な?」

もう忘れかけてるよ。嫌な事忘れたいもんね。


「…………クー君、それ本当?クー君なら寧ろ敬われるくらいだと思ったんだけど」

「は?なんでさ」

「俺の弟子っていやどいつもこいつも頭下げんだろ」

「それシエルが言ったら俺が嘘つきって言われたよ。それは逆に面白かった」

無理矢理過ぎて草。あと必死な顔も面白かった。


「………んー、そっかー。そういえばフリード君には会った?」

「マーリンさんの知り合い?」

「ううん、シエルの許嫁だとかでよく付いてくるけど、挨拶くらいしか話した事ないよ?」

なるほど。これは知り合いではないですね。

仲良くなっといてよ。そしたら俺メンドイこと無かったんでね?


「そのフリード君がどうしたの」

「クー君がどう思ったかなーって」

「………………マーリンさんさ、俺のことわかって聞いてる?」

「うん、もちろん」

ニヤニヤすんな!ムカつくわい!


「マーリンさんの期待とは違う答えですよ。俺、あいつ普通に嫌い。シエル関係無く」

「えー?本当にー?シエルの許嫁とかー、シエルと仲良しとかー、関係無く?」

「う・ざ・い!違うっての」

「えー?じゃあなんで?彼、結構いいこでしょ?」

顔しか見てねぇからそう思うんだろ。仲良くなってやれよ。


「あいつ、俺の顔見るなりシエルに近づくな、近づかないと誓え、決闘だ、平民風情が、嘘つきめ、だってさ。しかも殺気も威圧も分かってないど素人に喧嘩売られるのはストレスすごい」

「ストレス?………まぁ言ってることはわかったよ。もしかして、私クー君困らせたかな?」

「とてつもなくね。だから2度と学校行かないから」

次あいつの顔見たら叫んで逃げたくなるかも。ってくらい。


「クー、なんで決闘しなかった。黙らせればいいだろ」

「メンドイし腹減ったしイライラすごかったから」

「クー君ごめんね?今度は私も一緒に行くから」

そうじゃねぇだろ!1人で行けや!


その晩、ストレス解消にいつもの倍くらい食ってしまった。太ったらあいつのせいだな。


翌日。


「おい!平民はいるか!出てこい!決闘だ!」

シエルぅぅぅぅ。これはマジで許さん。お尻ペンペンだ!


「おい小僧、客だ。さっさと相手してこい。うるさくて敵わん」

「爺さん、本当にお願いします。代わりに出て。お願い」

俺渾身の全力土下座。師匠、信じてるから!


「断る」

「おい」

たまには優しくしようとか思わんのか。だからモテないんだぞ!


渋々表に出る。

すると、例の貴族様とシエル、まさかのマーリン様まで一緒。助けてよ。


「新聞ならもう取ってるからいりませんよー。お引き取り下さーい」

戸を閉めて中に戻る。ものすごくだるい。


「貴様!何を言っている!さっさと出てこい!」

しょうがない。もう一度対応しますか。


「は?受信料?うちテレビ無いから。帰ってくださいねー」

また戻る。本当に無いから相手する必要無いもんね。


「おい!何わけのわからないことばかり言っている!出てこい!決闘だ!」

しつこいなー。警察呼びますよ?


「あのですね。うちはあなた達と違う神に仕えているんです。だから宗教の勧誘とかやめて下さい。お引き取りを」

帰った。いやーしつこい。勘弁してよねー。


「平民風情が!私を愚弄するのか!早く出てこい!矯正してやる!それとも私が怖いのか!卑怯者の詐欺師め!」

あいつに俺どう見えてんの?メガネ買いな?


悲しいかな。爺さんに蹴り出されたよ。みんなして俺をいじめないでよ!

外に出されると、貴族様が顔真っ赤にしてお怒りだ。マーリンさんは笑ってる。絶対面白くないでしょ言ってること全然わかんないでしょ?

シエルはなんかそわそわしてる。かわいいけど今回は許さん。……………本当だからね!


「なんですか貴族様。貧乏暇無しって言葉通り、俺忙しいんですよ。シエルちゃんとお花摘みでも行ってくれば?」

「黙れ!平民は平民らしく貴族の私の言うことを聞いていればいいのだ!わかったか!」

怒り過ぎでしょ。心配になってきたよ。


「それで、俺に何しろと」

「決闘だ!貴様がいかに無能な人間か思い知らせてやる!」

マーリンさんにアイコンタクト。


助けて。

…………頑張って?助けてよ。

シエルちゃんは?助けて。

…………殺しちゃダメ?俺をなんだと思ってんだよ。やるとか言ってないじゃん。


「決闘ですね。了解です。何すればいいんですか」

「私と一対一の戦いだ!貴様の様なクズには私が思い知らせてやらなければならないからな!」

何回も同じこと言うなよ。しつこいなー。


ルールとしては、魔術有り、闘気有り、俺は道具有り、平民風情だからハンデくれるってよ。うれぴー。


マーリンさん達は立ち会いだと。止めろよ。決闘もあいつの言動も。俺のこと嫌いなの?


「それでは、始め」

気の抜けるようなマーリンの声でスタートですって、やだもー。帰っていい?


「バリアー!」

予想通りですねー。シエルと一緒だよ。

俺は違うけどね。


「ファイアーボール」

俺も魔術で戦います。だるいじゃん。

「なんだと!?平民風情が!」

怒らしちゃった。魔術弾いてんだから許してよ。


その後も続けて魔術を打つ、弾かれるを繰り返し。疲れたー。

ダラっとしながら打ち続けてると、やっと魔術を使ってきた。遅いよ。


「くらえ平民!サンダーボルト!」

「ぐわぁぁぁぁぁ!」

俺は魔力で体を覆った。これで魔術のダメージを軽減できる。闘気と一緒だね。

んでやられたフリ。守ったけどちょっと痛かった。ぐすん。


「ふはははははは!どうだ平民!もう立ち上がれまい!」

「……………………うぅ」

はいそうですねー。マーリンさん終わったよー。


「シエル!君にこの勝利を捧げるよ」

「え?えーっと、うん、そっか」

そっかじゃないよ。ちゃんと貰いなさい。終んないでしょ。


「マーリン様、平民を倒しました。宣言をお願いします」

「うーん、まぁいっか。勝者はフリード君」

よっしゃああ!!終わった!!ヤフゥゥゥ!!


「おい平民!貴様は金輪際、シエルに近づく事を禁ずる!私の命令を破るとまた痛めつけるからな!忘れるな!」

と言いつつ蹴りを入れてくる。死体蹴りはマナー悪いぞ。死んでないけど。


「わかったか!この!クズが!」

と蹴り3連発。2人とも止めてよ。やっぱり俺の事嫌い?


「ふぅ。マーリン様、シエル。もうこんな所に用は有りません。学校に戻りましょう」

「いえ、私達はあるから。君は好きにしてね。クー君、ご飯食べた?まだなら作るよ」

「マジで?やったー。お腹と背中がちょうどくっ付いてたんですよねー」

「ふふ、クーそんなにお腹空いてたんだ。なにか食べたいものある?」

「え?シエル作れんの?それ食える?」

シエルちゃんの料理は不安だなー。爆発はさすがにしないよね。


「な、貴様!何故立てる!何をした!」

「今マーリンさんが治してくれんだよ。もしかして気づかなかった?」

「む、も、もちろん気づいていたさ!何故気を失っていないか聞いたのだ!」

こいつバカかよ。嘘下手だし、嘘に気づけよ。


「いやあんたが蹴るから起きたんじゃん」

「そ、そうか。うむ。ならばさっき私が言った事もわかったな?」

「ハイハイ、んじゃさいなら。マーリンさん、シエル行こ。もう腹限界」

やっとおわたー。メシ!メシ!


「き、貴様!」

「フリード君、うるさい。早く帰って」

あ、マーリンさん怒った。初めて見た。やだー怖いー。


「うっ、で、ですが、シエルが………」

「シエルは私について来てるだけ。でしょ?」

「はい、そうです師匠」

「ね?問題ないでしょ?だから帰って」

「………わかりました。平民!シエルに手を出したら許さないからな!」

「ハイハイ」

お前はシエルのお父さんか。門限5時とか言いそう。


プンスカしながらもやっと帰ってくれた。もう2度と会いたくないものだ。


「クー、大丈夫?痛くない?」

「心が痛いよ。マーリンさんもシエルも助けてくれないからさ」

「うぅ、………ごめんね?」

「かわいい。許す」

かわいいは正義だもんね。しょうがない。


マーリンさんがニヤついてるが言ってもこの人気にしないからな。ほっとこ。


小屋に戻ってメシ作ってもらったよ。シエルは普通に料理うまかった。いい嫁になるな。


今日はやる気が無くなり自主的に休んだ。

さ、サボりじゃないよ!蹴られたとこが痛いだけだから!

………………朝から疲れた。

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