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楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
第1章
16/59

15話

「小僧、お前2年の間何してやがった」

「ジジイの面倒見てた」

「バカか」

怒られちった。心配しろや。


クマさんにペシャンコにされてからちょい後に助けてもらいました。生きてたよ。


マーリンさんはまたシエルがなんかしたかとドキドキしてたらしいけど、ご希望通り仲直りしましたよ。また死にかけたけどね。


骨は別に何とも無かったらしいが窒息しかけた。なんか恥ずい。


「俺はこんななったけどレッドベアーは倒せる様になったぞ」

「潰されてたら世話ねえだろ」

「ハイハイ、そっちはどうだよ」

「全然ダメ、アラド魔導に関しては全く才能無いわ」

マーリンさんでもダメかー。最終手段とか無いかね。


「マーリンさんが爺さんに魔力使えるようにする魔法とか作ったほうが早いんでない?」

「あー、確かにその方が早いかも」

「うるせえ。自力でなんとかするっつの」

「んじゃやってよ」

「………………あとでな」

おい。


「それはそれとしてだ。クー、闘神気はどうだった」

「呼び方やめれ。殴り飛ばそうとしたら余裕でぶち抜いたのは焦ったよ。しかも腕から漏れた闘神気で死んだっぽいし。下手したら防御も攻撃になるみたいな?」

「だろうな。ありゃ生物には毒だ」

普通の闘気や魔闘気ですら直接流し込まなきゃ効果無いのに、触れるとアウトはエグいな。


「お前なんで闘神気でやった?他にもあるだろ。そこのチビも居たんだしよ」

「ちょっと試そうと。あと一撃だとは思って無かったから」

シエルちゃんには申し訳無いですね。毎回助けを呼ぶことしかさせてないし。ごめんちゃい。


「クー君、傷は直したけど今日はもう休んでね。当面の目標は果たせたし」

あれ?メインは仲直りなの?俺と爺さんは?


「クー、またね。明日も来るから」

てことは明日も山に潜るのね。少しは休もうよ。


そんなこんなで次の日、マーリンさんが来た。あれ?


「マーリンさんおはよう、今日早いね。シエルは?」

「今日は騎士養成学校に出てるよ。今日試験なの忘れてたみたい。クー君のことばっかりだからかな」

そのアピールやめて。あとニヤニヤするのもだからね。


「騎士養成学校ってなに?あとシエル魔術師でしょ?なんで騎士なのよさ」

「騎士にも魔術使う人はいるよ。というか、騎士団は闘士と魔導師で半々くらいだよ」

あー、ですよね。なんか剣と鎧のイメージ強いからなー。関係ないか。


「小僧、興味あるか?」

「ない。全く」

この振り危ないやつですね。絶対乗らないよ!


「修行はいつから始めるの?」

「これからだ。こいつはやる事無いぞ」

「おいジジイ、弟子の面倒しっかり見やがれ」

「お前に教える事特にねぇよ。組手は俺以外じゃ相手にならねぇけど俺は忙しい。奥義はお前が嫌がったんだろうが」

それもし出来るようになったらもっと無茶させるでしょ。


「クー君やらないの?アラドの奥義は誰も真似出来ない闘士最強の技、って言われてるんだよ?これ出来たらもうケガなんてほとんどしなくなるだろうし」

「そんなに便利なの?無茶振りしない?」

「出来れば無茶なんて思わなくなるぞ。闘神気で出来れば百戦錬磨だ」

なんか怖いな。逆に不安。


「どんな技なのさ?何個もあんの?やだよ」

「たった1つだ。闘気を飛ばすんだよ」

説明雑。


「どんなんさ。見してよ」

「あ?わかった」

なんか俺覚えたいみたいじゃね?不安プラス1。


外に出て爺さんがなんもないところでつったってる。

「見とけよ」

と言って闘気を纏い拳が空を切る。

すると、拳から真っ直ぐ闘気が打ち出された。

………………どこがすごいかわからん。


「どうだ」

「これがなんだよ。ただ飛ばしてるだけだろ」

「あ?やってみろ」


俺も真似して同じ動きをする。

…………………飛ばないね。なるほど。


「無理だね。諦めよう」

「いいから出来るまでやれ」

「コツは?」

「ない」

おい、少しは師匠やれや。


「クー君、出来そう?」

「全然わかんないや。無理だと思う」

「クー君でもダメかー。闘気を飛ばすなんて芸当、この人以外に出来るのかな?」

「いないと嬉しいよね。闘士なら防げるけど、それ以外の人にはどうにも出来ないもんね」

でも、確かにこれ出来たら魔物討伐楽だなー。


とりあえず試行錯誤ですね。

闘気を体外に出してみた。これは出来るよね。


次に、勢いをつけて体外に出す。

なんとなく距離伸びた?


もう一回突きに合わせて出す。

………………ちょっと出来た。

初めてすぐ上手くいった気がする。


もう一回同じ動き。

………………出来た。


出来たじゃん!

うひょー!


「出来たー!ウェーイ!ヤッフー!どうだジジイ!出来たぞコラ!どうだ見たか!」

「あぁ、初めてお前が上手く出来るところ見たよ。型なんて未だに出来ねえもんな」

急にテンション下がること言うなや。


「クー君すごいね。これは出来るのに型は出来ないの?」

「こいつ型だけで組手するって言っても、とっさに防いだり攻める時は平気で自分の動きしやがる。そもそも型もぶれぶれで全く使えない」

「ジジイの魔力と一緒だな」

「うるせえ」

はっはっは、図星。

ちなみに、ジジイの奥義の名前は、通しって名前らしい。ネーミングセンス。


「これで小僧は晴れてやる事無くなったな」

「家事、依頼の確認、自主練、睡眠、休憩と忙しい」

「お前がまともにやるのはあとの2つだけだろ」

失敬な、家事もやるだろ。


「ねえクー君、やる事ないならお願い聞いてくれる?」

「お断りです!」

「そっか、お願いっていうのはシエルに届けものをしてほしいんだ」

マーリンさん?聞いてる?


「そうですか。断る!」

「届けてほしいのは、この本ね。渡せば何かはわかってくれるはずだから。あとこれが学校に入るための書類。これを学校の職員さんに見せれば入校証を貰えるから。よろしくね」

断るって否定だよね?俺が違うの?


結果、諦めて学校に向かいました。

てかマーリンさん魔法で渡せないの?空気読めってこと?


学校は城に近いところに建っており、貴族様の区内なので居心地悪い。

学校には貴族だけではなく、平民もいるらしいが実力が無ければお察しみたいな俺が嫌いなところらしい。行かせんなや。


学校の敷地もなかなか広い。自転車で移動したいなー。

ちらちら周りを見ながら職員っぽい人を探す。

一番怖いのは何も聞かれず侵入者扱いされないかだ。格好も平民丸出しだからね。


今は授業?試験?の最中なのか人が全然見当たらない。試験って筆記なの?


周りを少し歩いてると職員玄関の様な場所を見つけたので侵入。

入ると当たりだったようで受け付け?があった。

学校ってこんなだったっけ。


「すみません。お届け物があって入りたいんですけど」

「届け物ですか?でしたらこちらで預かってお渡ししましょうか?」

これどっちがいいんだ?この本重要なものかな?


「えっと、一応直接渡してって頼まれたんで大丈夫です」

無いと思うが悪用されると怖いし。それにマーリンさんに後ですごいダメ出しされるし。


「わかりました。では、この書類に必要事項を記入してもらってもいいですか?」

「はい、了解です。あとこの書類見せるように言われたんですが」

「はい、拝見しますね。……………え?これマーリン様の…………」

なんかマズイかな。マーリンさんこれ大丈夫?


「ありがとうございました。あ、あと記入は結構です。今入校証をお渡ししますね」

マーリンさん、この書類絶対余計だったでしょ。

無くても入れそうじゃん。この時点で嵌められた?


程なくして入校証をもらった。あとはシエルたんを探さなくてはならないが、職員さんに聞くと何故か頑張ってくださいしか言わなかった。

これはあれですね、マーリンさんですね。はぁ。


辺りを見ながらフラフラ歩き回る。教室のような所はあるんだが人っ子一人いやしない。

試験中なんだろうな。にしては気配もない。


お、校内の地図発見。

……………なんだよ、試験会場って別で建物あんのかよ。しかもデケェな。

形はドームみたいだ。ってかまんまじゃね?


とりあえず向かってみた。

近くに寄って行くとやっと人の気配がする。というか学校の人間全員いるみたいだな。


中に入ると教師や生徒もチラチラ見つけた。

近くの教師にでも聞いてみましょう。


「すみません。おたずねしたいんですけど」

「なんだ。貴様平民だな?何故この神聖な校内に貴様の様なゴミがいる。さっさと出ていけ」

あれ?これ生徒?どっちにしろアウト。


「あの、荷物を届けてほしいって頼まれまして」

「貴様の事情などしるか。平民の分際で貴族の私に馴れ馴れしく話しかけるな」

取りつく島もない。島ってか要塞くらい鉄壁。


諦めて他の人に聞いてみた。

全員同じ返事でしたー。逆に面白い!わけないよね。


とぼとぼ歩き回ると平民?っぽい雰囲気の生徒たち?がいた。見た目じゃわからん。制服に平民って書け。


「すみません。お聞きしたい事があるんですけど」

「あ?なんだお前。何の用だよ」

「ていうか、お前学校の人間じゃねえな」

「その歳で迷子かよ。すげぇバカじゃん。ここはお家ではありまちぇんよー」

…………いや何お前らゲラゲラ笑ってんだよ。面白いとこ無かったじゃん。怖いよ。


「いえ、実はお届け物がありまして、人を探しているんですよね」

「あ?荷物?ちょっと見せろよ」

それダメなやつだよね。マジでメンドくさい。


「いえ、本人にしか見せないでって言われてるので」嘘です。

「あ!?いいから見せろよ!見たらわかるっつの!」嘘つけ。


言い合いをしてる間にアホ共が近づいてくる。

………逆に見せた方が早いな。


渋々本を出して見せる。すると予想通りにぶん取られた。荒いなー。


「あんだこれ?ショボい本だな。おい、見てみろよ」

「あ?確かにボロっちい本だ。お前も見てみろ」

あー、これも予想通り。返してよー、のくだりをやれと。しんどいなー。


「あの、もういいですか?それで人を探しているんですけど」

「あ?もっとよく見なきゃわかんねぇよ」

「いちいち急かすんじゃねぇよ。うるせえやつだな」

あー、ダルい。辛い。メンドイ。


「あの、わからなければもう大丈夫です。本返してもらえませんか?」

「は?返せって?返してほしけりゃとってみろよ。ウヒャヒャヒャ」

いや笑いかた。そこまでしなくていいよ。


一応振りなのでやります。

「返してください!返してください!」

「ほらほら。そんなんじゃいつまでたっても取れねぇぞ」

「返して!返してよ!」

「どんくさいやつだな。ほら、早くとれよ」

もういいかなー。疲れたよー。


疲れたのでちょい諦めムード。周りに助けを求める様に見ると、

ん?なんかみんな面白がってね?これあれだね。帰っていいやつだよね。


「あの、もういいですか?」

「あ?何がだ?返してほしけりゃ取れって」

「いや、もう疲れたんで」

「はぁ?なんだそりゃ。だったら俺らがこの本をお前の代わりにお届けしてやるよ」

そんなニヤケ面で言われてもなー。まぁやらせるけど。


「そうですか。ではお願いします。お渡しする方はシエル様で、送り主はマーリン様から、と御本人にお伝えください。それでは失礼します」

「え?………………ちょっと待て!」

なんだよ。代わりやるんだろ?


「おい!お前デタラメ言ってんだろ!なんでお前みたいなヘボに、あの王国一の魔導師であるマーリン様が届け物させるんだよ!」

「そうだぞ!お前、マーリン様の名前を勝手に使うなんて許されないぞ!」

「どうでもいいですけど、それ本当だった時はどうすんですか?俺は別にどっちでもいいけど」

マーリンさん、俺はこういう子だよ。ごめんね。


「お、おい。これどうする?」

「なにビビってんだよ。どう考えても嘘だろ」

「いや、もし本当だったら?あいつただの配達の業者かもしれないだろ」

「あんなのが働けるわけないだろ。 絶対嘘だね」

「いや、でも」

「おい!こんなガキにナメられていいのかよ!」

長い。もう帰ろ。


回れ右してきた道を戻る。

やっと終わったー。帰って寝よ。


「おい!待て!なに帰ろうとしてんだ!」

「いや、どっちでもいいけどあんたら長いよ。待つ意味無いし」

「は!?お、お前この本どうすんだよ!」

「お前らさっき代わりやるって言ったろ。てことで頑張ってー」

「ふ、ふざけんな!やるわけねぇだろバカが!」

危ね!投げて返すなや。マーリンさんに言いつけてやる。………………顔忘れるなー。


だが困った。当てが完全にないや。

「あの?それ本当にマーリン様からのお届け物ですか?」

なんだこいつ。野次馬だったやつか?


「まぁそうですけど。それがなにか」

「いえ、マーリン様とはどういう関係なのかお聞きしたいと思って」

は?なんでやねんやねん。


「ただの知り合いですけど」

「え!?マーリン様とお知り合い!?そ、そうなんですね。へぇー」

うざい!なんだよ。


「では、私がその本をシエルさんにお届けしましょうか?」

「断る」

「え?で、ですがさっきは」

「お前なんで届けてくれんの?」

「そ、それはあなたがお困りのご様子だったので」

絡まれてる時のがよっぽどお困りだっただろうが。お前の目ん玉どこについてんだよ。


「別に困ってません。それじゃ」

「あ、ちょっと!待ちなさいよ!」

やめて!もう精神は限界よ!

なんてふざけてるとすげぇ威圧してきた。うざ。


「平民のあなたが貴族である私に刃向かうなんて許されないことなの。だからあなたは黙って私にその本を渡しなさい」

「いーやでーす。これはーあなたにはー絶対にーわたしませーん」

「ふざけないで!!」

耳キーンなったやん。うるさいなー。


マーリンさんの名前を出してから散り始めてた野次馬が再来して来た。メンドイメンドイ。


「クー?なにしてるの?なんでここに?」

神は私を見捨て無かった!!シエルたん降臨!


「シエル〜。会いたかったよ〜」

「え!?ほ、本当に?私に?」

これは誤解ってやつしてますね。まぁいいけど。


「これ、マーリンさんからのお届け物。渡せば分かるって言ってたんだけど大丈夫?」

「え?あ、うん。…………これ私が読みたかった本だ。なんでクーに届けさせたんだろ」

マーリンさんよ!せめてもっとマシなの渡せや!教材とかじゃねぇのかよ!

…………怒るポイントも違うかな?


「まぁいっか。わざわざありがとうね。クー」

人前でその呼び方恥ずかしいなー。だから帰る。

「おー。んじゃ帰るな。また後でか?」

「ううん、今日は1日試験だから」

「おー。そっか。余計なお世話だけど、頑張ってね」

「うん!ありがと」

きゃわわなお嬢さんのおかげで少し癒された。

後は帰って更に体を癒したい。寝たいだけだがな。


「君、待ちたまえ」

………………もういいよ!なんだよ!


振り返るとシエルの側にいるイケメン君に睨まれてる。誰これ?

…………………また絶対メンドイじゃん。もー。

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