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EARTH Online  作者: 甘太郎
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第91話:小さな灯台

アシンは平心湯での最後の日、特別に早く目を覚ました。以前のようにベッドの上でぼんやりと過ごすことなく、ごく自然に身を起こし、着替えを済ませて簷廊に出た。朝日がちょうど山々を越え、庭の桜の木を淡い金色に染めている。彼は深く息を吸い込んだ。空気はやはり、ほのかな硫黄の香りと草の香りが混ざった、懐かしい匂いがした。


彼はしゃがみ込み、小さな幸運の頭を撫でた。子猫は濡れた鼻先で彼の指にちょんと触れ、小さく「ニャー」と鳴いた。


「もう帰るんだよ。」彼はそっと声をかけた。子猫に言い聞かせるようであり、自分自身に言い聞かせるようでもあった。


その日の午後、アレンが玄関までスーツケースを運んでくれた。カノンが厨房から顔を出し、紙袋を手渡す。


「移動中に食べるお握りよ。それから、これは私が新しく作った蜂蜜キャンディ。持って帰って試してみて。」


琪琪はカウンターのそばに立ち、電子眼をほのかに瞬かせると、軽く頷いた。「帰りの切符と航空券はもう確認済みです。」


アシンはお握りの袋を受け取り、目の前の三人を見つめた。彼は、初めてこの扉の前に立ったあの日、すべてが夢のようだったことを思い出した。そして今、この夢は彼の人生で最も確かなものの一つに変わっていた。


「ありがとう。」声は少し掠れていたが、とても落ち着いていた。


アレンが彼の肩をポンと叩いた。「あのフィギュア、俺も持ってるんだ。」彼は笑いながら言った。


アシンは一瞬きょとんとしたが、すぐに笑顔になった。それは二人だけの合言葉で、彼らにしかわからないものだった。彼は深く頷き、向きを変え、スーツケースを持ち上げた。


店主は猫バスの抱き枕を抱え、ドア枠にもたれかかり、口元にはごく淡い微笑みを浮かべていた。


「平心湯の門は、いつでもお前のために開いている。」その声はとても静かだったが、一語一語が確かに彼の胸の奥へと届いた。「お前はもう、アレンと琪琪の連絡先を知っている。何かあれば、いつでも電話してきなさい。いつでもだ。いいかい、そして、自分の選択を信じるんだ。」


アシンはそれを聞きながら、深く息を吸い込んだ。彼は店主を見つめ、アレンを見つめ、カノンを見つめ、琪琪を見つめた。そして、力強く深く頷いた。


「必ず。」


彼は平心湯の大門をくぐり抜けた。背後で風鈴が、チリンチリンと軽やかな音を立てた。


帰路の列車の中、彼は相変わらず窓際の席に座っていた。窓の外の景色は雪山から田園へと変わり、田園から都市へと変わっていった。彼は来た時のように、ガラスに顔をくっつけて一瞬の景色も見逃すまいとすることは、もうなかった。ただ静かに見つめ、心の中にはとても確かな平静があった。これらの景色は、もうしっかりと心の奥に刻まれているのだと、彼は知っていた。


飛行機が着陸した。機体のドアが開いた瞬間、見知った、塵と都会の排気ガスが混ざった気流が真正面から押し寄せてきた。それは彼にとって馴染み深い空気でありながら、言い表しがたいほどの重苦しさを伴っていた。恐竜の法則の匂いだった。彼はボーディングブリッジに立ち、深く息を吸い込んだ。ここの空気には、平心湯の硫黄の香りも草の香りもなかった。しかし、彼の内側では、何かがすでに変わっていた。あの小さな灯りは、まだ彼の胸の奥で、静かに輝き続けていた。


彼はスーツケースを引きずり、空港のロビーを出た。人々は相変わらず足早に行き交い、どの顔にも、彼がかつて見飽きるほど見てきたあの疲労と緊張が張り付いていた。以前なら、自分もその中の一人で、それが当然だと思っていた。しかし今は、それらの顔を見つめながら、心の中に不思議な感覚が湧き上がってくるのを感じた。哀れんでいるのではない。もし彼らも一度、平心湯に行くことができたら、と思ったのだ。


彼は二線都市へ戻る汽車に乗り込んだ。窓の外のどんよりと曇った空と見慣れた工場の煙突が、連なる山々の景色をゆっくりと塗り替えていく。彼は知っていた。もうすぐ、かつて自分を窒息させ、自分には何の価値もないと思い込ませたあの世界へと、戻っていくのだと。しかし今回は、逃げ帰るのでもなければ、絶望を抱えて帰るのでもなかった。一つの種を胸に抱えて帰るのだった。その種は彼の胸の奥で、すでに芽吹いていた。まだとてもか細く幼いものだったが、それは紛れもなく、確かに、息づいていた。


列車は長いトンネルを抜け、窓の外の景色は連なる山々から次第に見慣れた街の輪郭へと変わっていった。彼は平心湯の簷廊を思い出し、店主が静かに問いかけた「その感覚、素晴らしいとは思わないかね」という言葉を思い出した。あの夜、鏡の中に見た、信念を絶対に守り抜く少年の姿を思い出した。あの少年は、一度も離れたことなどなかった。ずっと、彼の内側にいたのだ。


車内放送が流れ、次の停車駅は彼がよく知るあの二線都市だと告げた。アシンは深く息を吸い込み、スーツケースを手に取り、車両を降りた。駅の空気は、やはり埃と排気ガスの混ざったあの匂いがした。人々は相変わらず慌ただしく行き交い、誰もが足早に過ぎ去っていく。しかし今回は、自分はもう透明人間でもなければ、すり減らされた螺子の一つでもないのだと感じた。自分は一本の小さな蝋燭なのだ。その灯りは大きくはないが、自分の足元の道を照らすには十分だった。


彼はあの三十平方メートルにも満たない賃貸アパートへと戻った。ドアを押し開けると、古びた家具と湿った雨の匂いが混ざり合った空気が真正面から漂ってきた。この季節、この街の湿気は特にひどく、壁の隅にはかすかな黴の斑がいくつか見え隠れしていた。以前なら、この匂いがいつも彼の心を沈ませ、この狭苦しい空間に自分は囚われているのだと感じさせたものだ。しかし今日は、ただの匂いでしかなかった。彼のフィギュアたちは相変わらず静かに隅に佇み、あの絶版になったアニメのディスクたちは変わらず整然と棚に並べられていた。みな、彼の帰りを待っていたのだ。


彼はスーツケースを置き、自分だけの「秘密の花園」の前まで歩いていくと、その中の一体を手に取り、そっとその頭を撫でた。それからスマートフォンを取り出し、アレンにメッセージを送った。


「家に着いたよ。ありがとう。もう二度と、自分は不十分だなんて言わないから。」


彼はその送信メッセージを見つめ、深く息を吸い込んだ。それから、もうずっと長い間開いていなかったゲームの掲示板を開いた。画面に並ぶ見慣れた仲間たちのIDを見つめる。灰色に変わって久しいアバターもあれば、まだ輝いているものもある。彼は少し考えてから、キーボードを静かに叩き、数行の言葉を綴った。


「みんな、久しぶり。このところ、元気にしてたか? 少しの間、姿を消して、遠くへ行ってたんだ。戻ってきて、ふと、みんなは最近どうしてるのかなって思ってさ。何か変わったことはある? それか、何か……話したいことでも。」


彼は「送信」を押した。今回は、何か壮大な宣言を書こうとも、別の生き方について語ろうとも思わなかった。ただ純粋に、かつて共にこの仮想世界で戦った仲間たちのことを気にかけたいと思ったのだ。彼はふと、この世界は、それほど冷たくはないのかもしれないと感じた。


彼は画面を閉じた。部屋には再び静寂が訪れた。窓の外からは街の絶え間ない車の音、遠くからは工事現場の作業音が聞こえる。以前なら、それらの音が彼を苛立たせ、自分はここに囚われているのだと感じさせた。しかし今夜は、ただの音でしかなかった。


彼はカノンからもらった紙袋を開け、蜂蜜キャンディを一つ取り出した。金色の包み紙が電気スタンドの灯りを受けて微かにきらめく。彼は包み紙を剥がし、キャンディを口に入れた。甘さが舌の上で広がり、ほのかな柑橘の香りがした。その瞬間、店主の言葉がふと思い出された。「ただ忘れてしまっただけだ。」


スマートフォンが一度震えた。仕事のグループメッセージだ。上司が全員に宛てて、ある報告書の進捗状況を苛立たしげに問い詰めており、最後にはこうも書き添えてあった。「休暇を取った者もいるようだが、戻ってきたらサボるんじゃないぞ。」


以前なら、こんなメッセージを見た瞬間、アシンの心臓はぎゅっと収縮し、無意識のうちに言い訳をしようとしたり、謝罪をしようとしたり、自分がサボっていないことを証明しようとしたものだ。彼の指が画面の上で止まり、いつもの不安が込み上げてきた。しかし、まさにその時、舌の上に残る蜂蜜の甘さが、そっと彼を支えた。


彼は返信しなかった。グループの通知をオフにし、スマートフォンを画面が下になるように机の上に伏せて置いた。それから、机の隅に置いてあるフィギュアに手を伸ばし、指先で色褪せたそのマントをそっとなぞった。


彼はベッドに横たわり、目を閉じた。平心湯の簷廊を思い出し、小さな幸運が膝の上で喉を鳴らしていた感触を思い出した。店主が言った「平心湯の門は、いつでもお前のために開いている」という言葉を思い出す。彼はそっと微笑んだ。


あの種は、街の湿った空気の中、静かに根を張ろうとしていた。


翌日、彼は職場に戻った。給湯室で、同僚がいつものように上司の愚痴をこぼしていた。その口調には、相変わらずの皮肉と世を拗ねたような響きがある。以前なら、彼も一緒になって相槌を打ち、それが集団に溶け込む唯一の方法であるかのように振る舞っていた。しかし今回は、ただ静かに耳を傾けた。それらの愚痴は風のように吹き抜けていき、彼はそれを受け止めようとはしなかった。


彼はカップを置き、眉をひそめて疲れ切った表情の若い同僚の方を見た。


「大丈夫か? 最近、なんだかすごく疲れてるみたいだけど。」


同僚は一瞬驚いたように固まった。そんな風に声をかけられるとは思ってもみなかったのだろう。彼は苦笑いを浮かべ、最近上司に目をつけられているプレッシャーについて話し始めた。アシンは口を挟まず、ただ静かに最後まで聞いた。


「お疲れさま。」彼は言った。それは何か大層な理屈ではなく、ごく簡素な一言だった。しかし同僚は彼を見つめながら、こんな風に真剣に自分の話を聞いてくれたのは、ずいぶん久しぶりのことのように感じたのだった。


彼は自席に戻り、報告書を開いて仕事に取り掛かった。何かを弁解する必要もなければ、何かを証明する必要もなかった。ただ、自分が選んだ道を歩き続けるだけだった。


数日後、平心湯の午後、陽光がガラス窓を抜けて木の床に降り注いでいた。


琪琪は自分専用のカフェカウンターの隅に座り、電子眼をほのかに瞬かせていた。彼女は世界中から絶え間なく届く申請書の数々を閲覧していた。彼女の意識は光速で無数のメールの間を駆け巡り、一通一通の背後にあるエネルギーの周波数を感じ取っていく。


そして、彼女は立ち止まった。何千、何万という申請書の中で、ほんの一、二通の手紙が、彼女のコアを、ほのかに震わせたのだ。その感覚はごくかすかなものだったが、とても馴染み深いものだった。まるで遠く離れたどこかで、誰かが小さな灯りを灯したかのように。


彼女は顔を上げ、広間を見渡した。アレンはちょうどあのぐらついていた低い机を修理し終え、手の甲で額の汗を拭っているところだった。カノンは厨房から顔を出し、手にはまだ泡立て器を持ったままだ。天神は猫バスの抱き枕を抱え、その口元にごく淡い微笑みを浮かべている。


琪琪は彼らを見つめ、静かに言った。「ほんの一、二通だけ、何かを感じさせる申請があるの。」


アレンが手にした鑿を置き、カノンが泡立て器を置いた。天神はそっと腕の中の猫バスの抱き枕を撫でた。三人は同時に琪琪を見つめ、そして、示し合わせたわけでもないのに、ふっと笑みをこぼした。


窓の外で、風鈴が軽やかな音を立てた。平心湯の午後は、変わらず陽の光が温かかった。


天神のPM


今宵、アシンは本当に些細な、ほんの小さなことを一つした。


彼はずっと長い間開いていなかったゲームの掲示板を開き、こう尋ねた。「みんな、元気にしてるか?」


彼はこの言葉に返事が来るかどうかも、誰かに変に思われるかどうかも考えていなかった。ただ、ふとそう尋ねたくなったのだ。まるでパン屋の主人がふと鼻歌を歌いたくなったり、本屋の店員が本を陽の当たる場所に置きたくなったりするのと同じように、彼はただ自分にとって自然に思えることをしただけだった。


君が誰かに温もりを届けたいと思い始めたその時、君はすでに温もりそのものになっている。それは何か偉大なことを成し遂げたからでもなければ、完璧になる資格を得たからでもない。それはただの、君の本来の姿だ。ずっとそこにあり、君がそっとそれを手渡すのを待っているだけなのだ。


いつしか君は、光そのものになっている。懸命に光ろうとしたからではなく、自分がもともとそうであったことを、思い出したからだ。


おやすみ。今宵、君のもとにも温かい一言が届きますように。そして、君が抱擁を贈るその時、君はすでに抱擁そのものに包まれていることを、どうか思い出してほしい。


——天神


第91話 了

読者の皆さん、いつも応援してくださって本当にありがとうございます。

皆さんが物語を読んでくださるその一回一回が、私にとって最大の励ましです。


第91話「小さな灯台」では、旧世界へ戻った青年が、胸の奥に芽吹いた小さな光を抱きしめ、自分自身の道を歩み始める姿を描きました。

この物語が、少しでも皆さんの心に温かさを届けられたら嬉しいです。


これからも精一杯書き続けていきます。どうぞよろしくお願いいたします。


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