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友達との会話

昼休み。


俺はいつものように、松と一緒に昼食を食べていた。


ところが、食べ始めてすぐ――。


松が妙な目で俺を見てきた。


「大樹」


「何?」


「お前、なんか変わったな」


「どう変わったんだよ?」


「前より笑うようになった」


「……それって悪いことか?」


「いや」


松は箸を弁当の上に置いた。


「でも、怪しい」


「怪しい?」


「ああ」


松が身を乗り出してくる。


「昨日のチョコと関係あるんじゃないか?」


危うく、食べていたものを喉に詰まらせそうになった。


「なんでそんなこと聞くんだよ?」


「だって昨日から、お前ずっと幸せそうな顔してるぞ」


「幸せそうな顔?」


「そう。アホみたいに幸せそうな顔」


「そんな顔してない」


「してる」


松が笑う。


「それに昨日、舞夜と一緒に帰っただろ?」


「一緒に歩いただけだよ」


「はいはい」


「話をしただけ」


「はいはい」


「それに、チョコをもらった」


「それは見た」


俺は小さくため息をつく。


「……それで、何が聞きたいんだ?」


松が笑った。


「別に」


「じゃあ、もう聞くなよ」


「ちょっと確認したかっただけだ」


「何を?」


松は少しだけ真面目な顔になる。


「お前が、本当に大切に思ってるのか」


俺は黙った。


松は何事もなかったように、再び弁当を食べ始める。


「答えなくてもいいぞ」


俺は自分の昼食を見る。


そして、数秒後――。


小さく笑った。


「……うん」


「何が『うん』なんだ?」


「大切だよ」


松が眉を上げる。


「へえ」


「何だよ」


「いや」


松が笑う。


「やっと認めたなと思って」


「別に何も認めてない」


「今、認めただろ」


俺が言い返そうとした、そのとき。


後ろから声が聞こえてきた。


「何を認めたの?」


結衣だった。


「何でもない」


俺は即答する。


結衣が松を見る。


松も結衣を見る。


そして――。


二人が同時に俺を見る。


「なるほどね」


結衣が言った。


「大樹って、隠し事するの下手だよね」


「何を隠してるっていうんだよ?」


「何もないよ」


結衣は笑いながら、その場を離れていった。


俺は遠ざかっていく結衣の背中を見る。


「……なんで今日は、みんな変なんだ?」


松が肩をすくめる。


「たぶん、お前がまだ気づいてないことを、みんな知ってるんじゃないか?」


「そんなわけないだろ」


「さあな」


松はそう言って、また弁当を食べ始めた。


───


その頃、教室の反対側では、結衣が舞夜の隣に座っていた。


「それで……」


「何ですか?」


「昨日のあと、どんな気持ち?」


舞夜は少しだけ視線を落とした。


「……幸せです」


「それだけ?」


「はい」


結衣が微笑む。


「昨日のこと、色々考えすぎたりしてない?」


「……少しだけ」


「それで?」


舞夜は大樹のほうを見る。


大樹は松と話をしている。


「……箱を取っておいてくれるって言ってくれたことが、嬉しかったです」


「カードも?」


「はい」


結衣が笑う。


「じゃあ、大成功だね」


舞夜は小さく頷いた。


「……はい」


しばらく沈黙したあと、舞夜が口を開く。


「でも……今度は、私も何かしたいです」


「何か?」


「はい」


「何を?」


舞夜は少し考える。


そして、優しく微笑んだ。


「……これからも、大樹くんと一緒に思い出を作りたいです」


結衣は舞夜をじっと見つめる。


「それ、結構本気だね」


「……分かっています」


「それで、何をするの?」


舞夜は数秒考えた。


「まだ、決めていません」


結衣が笑う。


「じゃあ、私たち同じだね」


「同じ?」


「うん」


「どうしてですか?」


結衣は大樹のほうを見る。


「なんとなく、大樹も何か考えてる気がするから」


舞夜が少し目を見開く。


「……大樹くんが?」


「うん」


「どうして分かるんですか?」


「分からないよ」


結衣は笑った。


「ただ、そんな気がするだけ」


舞夜はもう一度、大樹を見る。


大樹は松と話しながら、楽しそうに笑っている。


その笑顔を見つめながら、舞夜は考えていた。


――大樹くんは、何を考えているんだろう。


その頃、大樹もまた――。


舞夜に何を贈ればいいのかを、まだ知らないまま考え始めていた。


そして二人は、まだ知らなかった。


それぞれの小さな計画が――。


やがて、思いもよらない形で交わることになるなんて。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


大樹と舞夜、それぞれの小さな想いが、これからどう交わっていくのか……。


次のエピソードもぜひ楽しみにしていてください!

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