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新しい年の最初の登校日

冬休みが終わった。


思っていたよりも早く、新しい年の最初の登校日がやってきた。


学校へ向かう道は、いつもと何も変わらない。


同じ道。


同じ店。


眠そうな顔で歩いている、いつもの生徒たち。


それなのに――。


どこか、いつもとは違うような気がした。


きっと、まだ冬休みの思い出が頭に残っているからだ。


クリスマス。


舞夜が俺の家に来たこと。


俺が八神家を訪れたこと。


駅で交わしたキス。


そして――一緒に迎えた、最初のお正月。


俺は自分の手首を見る。


そこには、舞夜からもらった小さなお守りがあった。


一月一日から、ずっと身につけている。


「まさか、こんなに気に入るとは思わなかったな」


俺は小さく笑った。


そのまま学校へ向かって歩き続ける。


校門をくぐると、すでに何人かのクラスメイトが集まっていた。


校舎に入る前から、冬休みの話で盛り上がっている。


「明けましておめでとう!」


「明けましておめでとう!」


「冬休み、何してた?」


「あっという間だったよな」


新年の挨拶と会話が、昇降口に響いている。


俺は靴を履き替え、教室へ向かった。


二階へ続く廊下を歩いていると――。


聞き慣れた声がした。


「大樹くん」


振り返る。


そこに舞夜がいた。


いつもの制服姿。


長い濃い紫色の髪が、いつも通り肩にかかっている。


お正月に見たような、綺麗にまとめられた髪型ではない。


簪もない。


振袖もない。


いつもの――俺が毎日見ている舞夜だ。


それなのに。


お正月の姿を見た後だからだろうか。


どうしても、あの日の姿が頭に浮かんでしまう。


「おはようございます」


舞夜が微笑む。


「おはよう」


「明けましておめでとうございます」


「明けましておめでとう」


一瞬、俺たちは互いの顔を見つめた。


何も言わない。


けれど、きっと二人とも同じことを思い出していた。


神社。


最初の一枚。


絡み合った指。


新年に交わした願い。


舞夜が先に視線を逸らした。


「ちゃんと眠れましたか?」


「ああ」


「私もです」


「本当に?」


「本当です」


「なんだか眠そうだけど」


「冬休みが終わってほしくなかったんです」


「俺もだよ」


舞夜が嬉しそうに笑う。


「……同じことを考えていたんですね」


「みたいだな」


俺たちは並んで教室へ向かう。


歩くたびに、肩が触れそうになる。


「まだ、お守り持ってますか?」


舞夜が尋ねた。


俺は手首を少し持ち上げる。


「もちろん」


「私も持っています」


舞夜はバッグを少し開ける。


そこから、俺が神社で買った小さな猫の木製飾りを見せてくれた。


「持ってきたんだな」


「もちろんです」


「家に置いてきたのかと思った」


「そんなことしません」


舞夜は小さく笑う。


「大切にしたいですから」


「そっか」


「大樹くんも、ですよね?」


「もちろん」


「じゃあ……お揃いですね」


「そうだな」


二人で笑いながら、教室へ入る。


すると、何人かのクラスメイトが俺たちに声をかけてきた。


「明けましておめでとう、南!」


「明けましておめでとう!」


「冬休みどうだった?」


「楽しかったよ」


俺は答える。


「そっちは?」


「俺? ずっと家で――」


そんな会話がしばらく続いた。


けれど、その間も時々、舞夜の視線を感じた。


俺も同じように舞夜を見る。


不思議な感覚だった。


冬休みの間に、俺たちはいろいろなことを経験した。


それなのに、こうして学校へ戻ってくると、またいつもの日常に戻ったように見える。


やがて、俺たちはそれぞれの席に座った。


舞夜が少しだけ身を乗り出す。


「大樹くん」


「ん?」


「一月一日に話したこと、覚えていますか?」


「何のこと?」


「もう……」


舞夜が少しだけ頬を膨らませる。


「私たちの約束です」


俺は笑った。


「ああ。もちろん覚えてる」


「それなら……」


舞夜は嬉しそうに微笑む。


「今年は、やることがたくさんありますね」


「そうだな」


「忘れちゃ駄目ですよ」


「忘れないよ」


「……よかった」


舞夜が満足そうに笑った。


その直後――。


「はい、席につけー」


先生が教室へ入ってきた。


クラスメイトたちが慌てて自分の席へ戻っていく。


そして、新しい年最初の授業が始まった。


俺は窓の外を見る。


一月の空は、雲一つなく澄んでいた。


新しい一年は、まだ始まったばかりだ。


そして、冬休みの間に起きたことを考えると――。


俺たちの関係も、もう以前とまったく同じではいられない気がした。


少しずつ。


本当に少しずつだけど、俺たちは前へ進んでいる。


それに気づいている時もあれば、気づいていない時もある。


それでも、一つ一つの出来事が俺たちの距離を近づけてきた。


そして今――。


この新しい一年で、俺たちがどこまで進んでいくのか。


それを知ることだけが、残されていた。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます!


冬休みが終わり、新しい一年の学校生活が始まりました。


大樹と舞夜の距離は、これからどこまで近づいていくのでしょうか。


今年も二人の物語を見守っていただけたら嬉しいです。


次回もお楽しみに!

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