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完璧なプレゼントを探して

クリスマスまで、あと数日。


学校は日に日に飾り付けが増え、休みの予定について話すことも、すっかり日常になっていた。


けれど、俺には一つ問題があった。


かなり深刻な問題だ。


「……舞夜に、何をプレゼントすればいいんだ?」


俺はショッピングモールの店の前で、たくさんの商品が並ぶショーウィンドウを眺めていた。


アクセサリー。


ぬいぐるみ。


香水。


小さな置物。


チョコレートの箱まである。


それでも、どれもしっくりこなかった。


「思ってたより難しいな……」


数日前に舞夜からもらった、小さなプレゼントを思い出す。


あの猫のオーナメント。


今も俺の机の上に置いてある。


高価なものじゃない。


特別大きいわけでもない。


でも、舞夜は俺のことを思い出して、それを選んでくれた。


俺も同じようなものを贈りたかった。


舞夜のことをちゃんと考えて選んだんだと、伝わるようなものを。


俺は店の中へ入った。


「何かお探しですか?」


店員さんが声をかけてくる。


「クリスマスプレゼントを探していて」


「彼女へのプレゼントですか?」


その言葉を聞いた瞬間、俺は完全に固まった。


「……違います」


少し間を置いてから、付け加える。


「いや……正確には、まだ……」


店員さんは微笑んだ。


「それなら、とても大切な方なんですね」


「……はい」


それだけは、迷わず答えられた。


店内を歩きながら、商品を一つずつ見ていく。


数分後、小さなアクセサリーコーナーが目に入った。


ネックレス。


ブレスレット。


そして、小さなペンダント。


そこで、ふと思い出す。


舞夜はいつも、鞄に小さなアクセサリーをつけている。


それに、思い出に関係するものも好きだった。


そして――。


俺の目に、一つの商品が入った。


小さな星の形をしたペンダント。


シンプルなデザイン。


中央には小さな石が埋め込まれていて、光を受けるたびに淡く輝いている。


俺はそれを手に取った。


「……これなら」


そう思った。


けれど、その瞬間。


昨日のことを思い出した。


イルミネーションを見に行った時、舞夜がショーウィンドウの中で見つめていたもの。


まさに、これと同じような星のペンダントだった。


俺が気づいていたことを、舞夜は知らない。


偶然なのかもしれない。


それでも、あまりにも出来すぎた偶然だった。


「……これにしよう」


俺はそれを購入し、丁寧に袋へしまった。


店を出てから、もう一度小さな袋を見る。


なぜか、少し緊張していた。


こんなに緊張するとは思わなかった。


ただのプレゼントじゃない。


舞夜に、自分がちゃんと彼女のことを考えていたと伝えたい。


そう思っていた。


一方、その頃。


ショッピングモールの別の場所では――。


舞夜も同じ問題に悩んでいた。


「……何が大樹くんに似合うでしょうか」


テーブルに並べられた商品を見つめる。


「ありきたりなものは嫌です」


「うん」


「それに、高すぎるものも……」


「うん」


「ちゃんと特別なものにしたいんです」


隣にいた結衣が口を開く。


「じゃあ、大樹のことを考えればいいじゃん」


「考えてます」


「違う違う」


結衣は笑った。


「大樹が何を好きなのか、ちゃんと考えてみて」


舞夜は黙り込んだ。


「……大樹くんは、シンプルなものが好きです」


「いいね」


「あまり自分のために何かを欲しがるタイプでもありません」


「完璧じゃん」


「それから……思い出を大切にする人です」


「じゃあ、もう答えは出てるんじゃない?」


舞夜はもう一度、目の前の商品を見渡した。


そして、その視線が一つの商品で止まる。


小さな革のブレスレット。


そこには、シンプルな金属プレートが付いていた。


「……これ」


結衣が笑う。


「気に入った?」


「はい」


舞夜はブレスレットを手に取った。


「たぶん、大樹くんも好きだと思います」


「じゃあ、それでいいじゃん」


「……そうですね」


購入しようとしたところで、舞夜はプレートを見つめた。


そこには、小さな文字を刻印できるようになっている。


「……ここに何か入れられるみたいです」


「何を入れるの?」


舞夜はしばらく考えた。


そして、ふっと笑う。


「……私たちだけが分かるものを」


結衣が片眉を上げた。


「それ、かなりロマンチックじゃない?」


舞夜の顔が赤くなる。


「そ、そういう意味じゃありません!」


「はいはい」


結衣は楽しそうに笑った。


「好きにすればいいんじゃない?」


舞夜は小さく息を吐き、それからブレスレットを購入した。


プレートには、ある言葉を刻印してもらうことにした。


完成を待っている間、舞夜はスマートフォンを取り出す。


画面には、クリスマスツリーの前で撮ったばかりの写真。


自分と大樹が並んで写っている。


舞夜はその写真を数秒間見つめた。


そして、小さく笑う。


「……喜んでくれるといいな」


しばらくして、ブレスレットが完成した。


舞夜はそれを大切そうに鞄へしまう。


これで、二人ともプレゼントを用意した。


けれど――。


相手も同じようにプレゼントを探していたことを、二人はまだ知らない。


二つのプレゼント。


二つの秘密。


そして、少しずつ近づいてくるクリスマス。


きっと二人にとって、今年のクリスマスは少し特別なものになる。


完璧なプレゼントなんて、本当は必要ないのかもしれない。


大切なのは、それを受け取る相手のことを、どれだけ考えたか。


そして、その気持ちが伝わるかどうか。


クリスマスまで、あと少し。


二人の小さな秘密もまた、静かにその日を待っていた。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます!


大樹と舞夜、それぞれが秘密のプレゼントを用意しました。


二人のクリスマスが、少しずつ近づいています。


次回もお楽しみに!

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