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完璧なプレゼント

昼休み。


話題は、またしてもクリスマスのことだった。


当然といえば当然だ。


街のショーウィンドウはクリスマスの飾りでいっぱいになり、学校でも冬休みに向けたイベントの準備が始まっている。


「みんな、プレゼント交換する?」


麻美が尋ねる。


「もちろん!」


結衣が即答した。


「毎年の恒例行事だよ」


「美子は?」


「私は……まだ決めてないかな」


三人は、それぞれどんなプレゼントがいいか話し始めた。


その一方で、舞夜は黙ったままだった。


「どうしたの?」


結衣が尋ねる。


「何でもありません」


「何か考えてるでしょ」


「考えてません」


「考えてる」


「……」


舞夜が視線を逸らす。


「本当に何も考えてません」


「じゃあ、どうして五分もスマホでお店のカタログを見てるの?」


「……!」


舞夜は慌ててスマートフォンの画面を閉じた。


「み、見てません!」


「はいはい」


結衣が楽しそうに笑う。


「誰かへのプレゼントでも探してたの?」


「違います」


「例えば……大樹っていう名前の人へのプレゼントとか?」


「結衣!」


舞夜の顔が一気に赤くなる。


テーブルの周りから笑い声が起こった。


「本当に、何も探してませんから」


舞夜が必死に否定する。


「じゃあ、スマホ見せて」


「嫌です」


「それ、私の予想が正しいって認めてるようなものだよ」


舞夜は腕を組んだ。


「……結衣は、本当に意地悪です」


一方、その頃。


俺も昼食を食べながら、似たような会話をしていた。


「で、何をプレゼントするんだ?」


悠真が尋ねる。


「誰に?」


「とぼけるなよ」


「何の話か分からない」


「分かってるだろ」


悠真が机に肘をつく。


「もうすぐクリスマスだぞ」


「知ってる」


「そして、舞夜がいる」


「それも知ってる」


「じゃあ、何をプレゼントするんだ?」


「誰がプレゼントするって言った?」


悠真が笑い始める。


「いやいや」


「俺でも分かるぞ」


「俺は何も考えてない」


「嘘つけ」


俺はその言葉を無視して、昼食を食べ続けた。


でも――。


その会話は、放課後になっても頭から離れなかった。


プレゼント。


別に、悪い考えじゃない。


でも――。


舞夜は、何をもらったら嬉しいんだろう?


そんなことを考えながら教室を出ると、舞夜が入口で待っていた。


「帰りますか?」


「ああ」


俺たちは一緒に駅へ向かって歩き始めた。


冷たい風が吹いている。


街の店では、少しずつ明かりが灯り始めていた。


「大樹くん」


「ん?」


「大樹くんは、プレゼントをもらうのって好きですか?」


突然の質問だった。


「まあ……普通かな」


「どんなプレゼントが好きですか?」


「うーん……」


俺は少し考える。


「考えたことないな」


舞夜はゆっくり頷いた。


「そうですか」


「どうして聞くんだ?」


「ちょっと気になっただけです」


「なんだか怪しいな」


舞夜が俺を見る。


「どうしてですか?」


「だって、今は十二月だろ?」


「それが何か?」


「いや、どう考えてもクリスマスを意識してるだろ」


「してません」


「本当に?」


「本当です」


俺は笑った。


「じゃあ、プレゼントのことは考えてないんだな?」


「はい」


「絶対?」


「絶対です」


「……嘘だな」


舞夜が少し目を細める。


「大樹くんは?」


「え?」


「大樹くんは、プレゼントのことを考えてないんですか?」


俺は黙った。


舞夜が小さく眉を上げる。


「……捕まえました」


「それはずるいだろ」


「いいえ」


舞夜が笑う。


「普通の質問です」


「絶対、結衣の影響を受けてるだろ」


「そうかもしれません」


「それは悪口だぞ」


「たぶん」


舞夜が楽しそうに笑う。


俺たちは、そのまま歩き続けた。


そして、ある店の前を通りかかった時――。


舞夜が足を止めた。


ショーウィンドウには、クリスマスらしい飾りが並んでいる。


小さな動物の置物。


キーホルダー。


ぬいぐるみ。


その中で、舞夜の視線が一つのものに止まった。


小さな猫の飾りだった。


「……それ、好きなのか?」


俺が尋ねる。


「え?」


「その猫」


「見てません」


「いや、見てただろ」


「……」


舞夜が少しだけ視線を逸らす。


「少しだけです」


「じゃあ、好きなんだな」


舞夜は小さく笑った。


「……たぶん」


そして、俺たちは再び歩き始めた。


でも――。


さっきの小さな出来事が、俺の頭から離れなかった。


完璧なプレゼントが何なのかは、まだ分からない。


でも――。


一つだけ、手掛かりを見つけた気がする。


駅に着くと、舞夜が手を振った。


「また明日」


「ああ。また明日」


舞夜が電車に乗り込む。


俺はその姿を見送った。


そして、さっき見た小さな猫の飾りを思い出す。


……少しだけ、寄り道してみるか。


そう思った。


完璧なプレゼントを見つけるのは、思っていたより難しいのかもしれない。


そして――。


なぜか俺には、舞夜も同じことを考えているような気がしていた。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!


クリスマスが近づき、少しずつ「プレゼント」という新しい悩みが生まれ始めた大樹と舞夜。


舞夜が気になっているものを見つけた大樹は、果たして彼女にぴったりのプレゼントを見つけられるのでしょうか?


そして、舞夜は一体誰へのプレゼントを探しているのでしょうか?


次回も楽しんでいただけたら嬉しいです。


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