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大切な人

—分かったよ……


でも、その後の結果については文句なしだからね。


結衣はゆっくりとカードを持ち上げた。


深く息を吸い込み、そしてついに質問を声に出して読んだ。


—「このクラスで、一番大切に思っている人は誰ですか?」


一瞬、バスの中に微妙な沈黙が流れた。


—それだけ?


クラスメイトの一人が首をかしげた。


—もっとひどい質問かと思った。


結衣は首を横に振った。


—みんな、分かってないよ……


これはすごく難しい質問なの。


—大げさだな。


—大げさじゃない!


一人の名前を言ったら、他のみんなが怒るかもしれないでしょ。


バスの中に笑い声が広がった。


—じゃあ、みんな大切って言えばいいじゃないか。


—それじゃ反則だよ。


—いつからルールを気にするようになったんだ?


—ちょうど五秒前から。


思わず笑ってしまった。


真矢も小さな笑みを浮かべている。


結衣はしばらくカードを見つめていた。


今度は……


本当に考えているようだった。


やがて、ゆっくりと顔を上げる。


—私が一番大切に思っている人……


選ぶのは難しいよ。


だって、このクラスには私にとって大切な人がたくさんいるから。


少しだけ間を置いてから、結衣は続けた。


—でも、もし一人だけ名前を挙げるなら……


いつもの彼女らしくないほど、素直な笑顔を浮かべた。


—真矢かな。


真矢が驚いたように目を見開く。


—私?


—うん。


だって、真矢は自分ではあまりそう思っていないかもしれないけど……


本当に強い人だから。


すごく辛いことをたくさん経験してきた。


それでも、自分のことより先に他の人のことを心配してしまう。


そんなところを、私はずっとすごいと思ってる。


真矢はゆっくりと視線を落とした。


—結衣……


—それに……


結衣は少し笑うと、こちらへ顔を向けた。


—真矢のおかげで、なかなか面白い人にも出会えたしね。


そして、俺の方を見る。


—あることに気づくのが、ちょっと遅すぎる人だけど。


—なんでそこで俺まで巻き込まれるんだよ。


—なんとなく。


からかうのが楽しいから。


その瞬間、バスの中が大きな笑い声に包まれた。


張りつめていた空気も、すぐに和らいでいく。


真矢は優しい笑顔を浮かべた。


—ありがとう……


私も、結衣のことすごく大切に思ってる。


結衣は勢いよく拳を握った。


—勝った!


親友が今、私のこと大切だって言ってくれた!


—別に勝負じゃないだろ。


—今から勝負になったの。


再び笑い声が広がった。


後ろの席に座っていた男子の一人が手を挙げる。


—なんだか、ひとつ分かったことがある。


—何?


結衣が尋ねた。


—このクラス、思っていたよりずっと仲がいいってこと。


何人もの生徒がうなずいた。


確かに、その通りだった。


今年に入ってから、いろいろなことがあった。


試験。


学校行事。


そして、青龍学園との交流。


気がつかないうちに……


俺たちはみんな、少しずつ変わっていたのかもしれない。


バスの前方に座っていた先生が、その様子を見ながら微笑んだ。


—みんなが楽しんでいるようで何よりです。


ですが、まだ長い道のりが残っています。


あまり騒ぎすぎないようにしてくださいね。


—はーい、先生!


俺たちはほとんど同時に答えた。


それから五分ほどして、質問ゲームは終わった。


何人かの生徒は再び友達との会話を始めた。


音楽を聴き始める者もいる。


そして、朝からの興奮で疲れてしまったのか、すでに眠り始めている生徒も何人かいた。


俺は窓にもたれかかった。


景色は、今もゆっくりと窓の向こうを流れていく。


その時、隣からとても小さな声が聞こえた。


—大輝……


俺は少しだけ顔を向けた。


真矢が穏やかな表情でこちらを見ていた。


—ありがとう……


—どうして?


真矢は微笑んだ。


—ここにいてくれて。


すぐには答えられなかった。


ただ、俺も彼女に笑顔を返した。


時には……


これ以上、何かを言う必要なんてない。


言葉にしなくても。


二人が同じ時間を共有している、その沈黙の中でこそ……


本当の意味を見つける言葉もあるのだから。

第167話を読んでいただき、そして今回もお付き合いいただき、本当にありがとうございます。


皆さんからいただく一つ一つの閲覧、コメント、そして応援の言葉は、私にとって本当に大きな意味を持っています。

それらが、この物語を書き続けていくための大きな力になっています。


旅はまだ続いていきます。

ダイキ、マイヤ、そしてユイと共に、これからもたくさんの出来事や笑い、そして新しい思い出が私たちを待っています。


**これからもこの物語を応援し、共に歩んでくださる皆さんに、心から感謝します!**


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