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二、 鉄くずの船
厳の周りに残った漁師仲間は、全員が四十代から六十代の旧人類ばかりだった。彼らの乗る船は、船や道具のメーカーが新人類向けに開発した「UV・IR光学ソナー搭載の最新鋭船」に買い換える金もなく、メーカーのサポートからも「旧式」として打ち切られた、文字通りの鉄くずの塊だった。
「俺たち旧人類にしかできない仕事が、何かあるはずだ」
厳たちは毎夜、港の居酒屋で安い酒を煽りながら、もがくように話し合った。彼らが目をつけたのは、新人類が「眩しすぎて見合えない」と嫌う、強烈な直射日光が照りつける日中の浅瀬での一本釣りや、逆に彼らの目が情報オーバーロードを起こすような、電磁波や熱のノイズが激しい臨海工業地帯近くの湾内での漁だった。
「あいつらは目が良すぎて、光のノイズに弱い。俺たちの鈍い目(RGB)だからこそ、ノイズに惑わされずに網を打てる場所がある」
それは確かに、一時的な武器になった。新人類の漁師が近づかない歪な漁場で、厳たちは意地のように、泥臭く魚を獲り続けた。見えないからこそ、惑わされない。その不自由さを強みに変えて、古い男たちは海にしがみついた。




