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再会の港、追憶のViculus

「……おはよう」

隣で眠る彼女の寝顔は、昨夜の星空が嘘のように穏やかだった。結局、彼女が何時に戻ったのかは分からない。ただ、シーツに残った微かな香りが、孤独だった夜の終わりを告げていた。

朝食もそこそこに、私たちは彼女の母親が待つ部屋へと向かった。

扉を叩く指が少しだけ震える。


「…どうぞ」


通された部屋で待っていたのは、彼女の母親と妹達だった。しばし沈黙のあと、母親が口を開く


「娘のこと、よろしくお願いね」


私は隣に立つ彼女を見た。彼女は不安そうに、でも信じているという目で私を見返している。

私は、彼女の指で冷たく眠っていた銀色の輪を思い出し、その手を強く握った。


「彼女を、寂しくさせない。……それだけは、約束します」


文法も、発音も、きっとめちゃくちゃだっただろう。だが、母親は一瞬の沈黙の後、私の肩を砕けんばかりの力で抱きしめた。この国特有の、痛いほどの親愛の儀式だ。


「……手続き、遅れないでね」


港へ向かう道すがら、彼女はギルドの書類を束ねながら言った。


「分かってる。次は、僕の国の港で」 


「ええ。最高の笑顔で、会いに行くわ」


人混みの中、彼女の背中が小さくなっていく。

次に会う時、私たちは同じ屋根の下で、同じ国の土を踏む。

背負ったリュックが、昨日よりもずっと重く、そして誇らしく感じられた。

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