表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
33/42

蒸発した再会の台本

短くてすみません

早いものであれから一ヶ月が過ぎようとしていた。

指折り数えた日々がようやく終わりを告げ、私は再び異国の土を踏んだ。背負い袋の中には、彼女の家族への贈り物で溢れている。代わり映えのしない日常を脱ぎ捨て、新婚旅行という華やかな未来へ飛び込む準備は万端だった。


だが、異国の扉が開いた瞬間、期待という熱風は一気に冷え切った。

視線が無意識に「その姿」を探す。汗ばんだシャツで駆け寄ってくる彼女。一ヶ月ぶりの抱擁。そんな映画のワンシーンのような再会を、疑いもしなかった。しかし、視界を埋め尽くしたのは見知らぬ名前を掲げたツアーガイドの群れと、容赦ない喧騒だけだ。


『今どこ? 着いたけど近くにいないの?』


焦燥を込めて送ったメッセージ。数分後、魔導通信機が短く震えた。


『そんな約束してたっけ?』


画面に並んだ文字は、あまりに簡潔だった。

「察する」文化なんて、この国の太陽の下では一瞬で蒸発してしまう。俺が勝手に描いていた再会の台本は、一文字目から書き直しを命じられた。


「……そうだよな。ここは異国だ」


苦笑いと一緒に吐き出した溜息は、熱気に混じって消えた。

予定調和なんて何一つない。だからこそ、私はこの国に、彼女に、惹かれたんだった。

独り、魔導馬車の呼び込みを捌きながら、私は予約した宿へと向かう。再会の舞台は、もう少し先になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ