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似た者同士

ヘルンはリヒルたちにそれぞれ先生を用意し、立ち去った。


〜フィオナ・アスタ〜(フィオナ)

なんでお兄ちゃん行っちゃうのー!!!

初めての人と二人っきりとか恥ずかしいよ...

見た感じ私と同じか少し小さいくらいの女の子だよね、同い年くらいの子と話すの初めて...

その時、アスタさんが私に話しかけた。

「あの、フィオナさん、よろしくお願いします」

うぅ、私より幼そうな子が先に話しかけてる...!

私も頑張らなくちゃ、お兄ちゃんに頼まれたし!

「よ、よろしくね、アスタさん」

数秒の沈黙が訪れた。

え、この後どうすればいいんだろ!

まずは仲良くなるのが先かな、仲良くなきゃ教えるものも教えられないし。

いやでも、遊んでる暇はないよね、お兄ちゃんが戻ってくるまでに少しでも進めておかなきゃ。

ん〜!

と、とりあえず!!!

一旦お手本だよね!

「ちょっと私が実際に魔法を使ってみるから、見てて」

「あ、はい、分かりました!」

にしても、治癒魔法ってそんないつでも使える魔法じゃないしな...

私は周りを少し見渡した。

すると、とてつもなくちょうどいい治癒対象がいた。

「ア、アランくーん!カルディアさんー!ちょっとアランくんに治癒魔法をかけてもいいですかー?」

「ああ、問題ない」

カルディアさんは顔色一つ変えずに、でも結構早く応えてくれた。

よし、じゃあ頑張るぞ!

あ、でも、簡単な魔法じゃないと勉強にならないか。

いやでも、これくらいかって思われても良くないだろうし...

うぅ...教えるって難しい...

ん〜、とりあえずハイヒールくらいでいいかなあ。

「いくよ」

私はアランくんの方へ手をかざした。

「この者を癒したまえ、ハイヒール」

手の先から閃光が広がる。

アランくんの身体にあった擦り傷が瞬く間に綺麗に消えた。

「こ、こんな感じで」

「わー!凄い!こんな一瞬で治癒できるなんて!」

「え、え、うん」

「先生!私もこんな風に魔法を使えるようになりたいです!」

アスタさんが私の手を手で覆って言った。

私は圧倒されながら返事をした。


「じゃあまずは水属性魔法の練習をしよう」

「え、でも、私治癒魔法使いになりたいんですけど」

「うん、分かってるよ」

「治癒魔法の上達には、実は水属性魔法の練習をするのが一番効果的だって言われてるんだよ」

「え!知らなかった!」

「それに、治癒魔法使いもそれなりの攻撃魔法や防御魔法、補助魔法は使えた方がいい」

「特にアスタさんのパーティはちゃんとした魔法使いがアスタさんしか居ないから、自動的にアスタさんが補助魔法をみんなにかけないといけないよ」

「なるほど...パーティ内での治癒魔法使いは、治癒だけじゃないんですね」

「うん!じゃあどんどん出せる魔法出していこう!」

「はい!」

なんか、フィリアお姉ちゃんにと話してる時の私みたいだな。


〜カルディア・アラン〜(カルディア)

「よ、よろしくお願いします!」

「ああ、よろしく頼む」

「一応確認だが、魔力が無いんだな?」

「うす、生まれた時から空っぽっす」

「そうか」

俺とおなじということか。

まあ、人間に生まれた分だけ運がいい。

悪魔の世界で、魔力がない俺はゴミ同然だったからな。

「アランと言ったな」

「うす」

「お前を最強にしてやる」

「もちろん、魔法無しでだ」

「まじっすか!」

「ああ、ただ、死ぬよりも辛いかもしれぬがな」

「...そんな辛さなんてへっちゃら、お父さんに認めてもらえれば、それでいいんだよ」

「ふむ...」

何か抱えているのか。

まあ仕方もあるまい、人間界でも魔力が無いことは必ず不利として働くはずだ。

「おい、何をぼーっとしている」

「俺に殴りかかってこい」

「え?」

「剣は?」

「お前に剣はまだ早い」

「体術なしに剣術が身につくと思うな」

「分かったら早く来い」

「お、おす!」

それから俺とアランは、殴りあった。

と言っても、俺はアランを投げるだけで、殴られているのは俺だった。

俺が殴ってしまえば殺しかねない。

ヘルフェン様から預かった弟子を殺してしまうなど、あってはならない。

「もっと力を込めろ、何度も起き上がれ」

既にアランはボロボロ。

だがここで止める訳には行かない。

ここから追い込んで追い込んで追い込んだ先に、肉体の限界を破る未来があるのだ。

その時、少し遠くから高い可愛らしい声が聞こえた。

「ア、アランくーん!カルディアさんー!ちょっとアランくんに治癒魔法をかけてもいいですかー?」

フィオナさんか、治癒魔法をかけてもらえればより肉体の成長が進む。

少し魔法の手を借りるとするか。

あちらの教育にもなるようだしな。

「ああ、問題ない」

それから息をつくまもなく、アランは全回復した。

さすが元悪魔王フィオナ様だ。

しかし、魔法というものはやはり凄いとしか言いようがない。

フィリアもそうだが、肉体が魔法を超えることは非常に難しいのだろう。

俺もまだまだ強くならなければ。

フィリアに負けたままではいられない。


〜散歩中のヘルン〜

ああ〜いい天気だな〜

こうやってなんの目的もなくブラブラ歩くのもたまにはいいよな〜

あ、子供たちが遊んでる、可愛いな〜

わ、ピョンピョンしながら歩いてる、可愛いな〜

お、チンピラ達が街中で喧嘩してる、可愛いな〜


“お!あれはヘルンファミリーのヘルンさんじゃねえか?”

“六人を同時に制圧するとは、流石だな”

はあ、せっかくの僕の平穏な一日を邪魔しやがってぇ...

許すまじ...

その時、少し遠くの方で歓声のような音が聞こえた。

少し駆け寄って見てみると、フィリアが十人程度の不良を締めていた。

「フィリア〜!何してるの〜!」

「おおヘルンじゃないか」

「こいつらが一斉に喧嘩を売ってきたからな」

「少し世界というものを教えてやったまでだ」

「はは」

やっぱり、不良が束になった程度じゃ無理だよね...

「僕もさっきチンピラを大人しくさせてたところだよ」

「おお奇遇だな」

「最近治安が少し悪くなってるね」

「そうだな、何か考えなければならんかもな」

「そうだね〜」


え、僕とフィリアって似てるのかな...

なんかそれはちょっと...

ここまで読んで頂き、ありがとうございます!

リヒルたちの訓練は順調に進んでいるが、果たしてヘルンは自由な時間を確保できるのか!(?)

次の話もお楽しみに!


次話は、6月14日に投稿します!(諸事情による変更の可能性あり)

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