ヘルンファミリーと狼
昨日は体調不良でお休みしてしまいすみませんでした!
「本当に良かったの?」
「ん?」
「冒険者パーティになって」
「私の先輩だからって気を遣ってない?」
「そんな事ないよ」
「元から冒険者パーティを組むつもりだったんだ」
「その方が身分的に動きやすいしね」
「恐らくそれなりの間ここを拠点にするだろうけど」
「困ってる人が居るんだ、守護神の座を降りたとしても、僕は未だに守護神だし、それ以前に神族だ」
「神が困っている人を見過ごしていいわけが無い」
「ヘルン...私に出来ることがあったらなんでも言ってね!」
「もちろん、僕はみんなを頼りにしてるよ」
「ヘルンファミリーは、きっとS級、いや、それ以上のパーティになれる」
「まあ、これだけのメンツが揃っているんだ、余裕だろう」
「はは、それもそうか」
ランクを上げるには、Bまでは協会が決め、Aからは既存のそのランクのパーティからの過半数の賛成が必要となる。
僕らは会長の助力のもと、C級からのスタートとなった。
これは実は超異例らしく、今のAランクパーティでさえE級から始めており、超エリートのみがD級から始めることが出来る。
まずはC級からB級への昇格か...
確かこれは相応の成績を出したら協会が認めてくれるはず。
うーん...
「どうやってB級に上がるつもり?」
「うーん、なるべく早い方がいいからね、大きな仕事を何個かこなそう」
「了解、じゃあ依頼板を見に行こう」
「依頼板?」
「うん、依頼が沢山乗ってて、推奨ランクとかも書いてあるの」
「そこからB級以上の依頼を探して受けていけば、すぐに昇格出来ると思うよ!」
「なるほど、じゃあ行こうか」
僕らは依頼板から、シルバーウルフの群れの討伐という、B+級の依頼を受けた。
「シルバーウルフって強いの?」
「私も知らないな、悪魔の世界には居なかったぞ」
「シルバーウルフは主に森に生息してて、たまに人里に降りて家畜とかを食べに来るの」
「一匹一匹強いのはもちろんだけど、数十体が集団行動してるから、軍でもあまり遭遇したくない魔物だね」
「なるほど、まあ大丈夫か」
依頼地はウォリアスを出て少し馬車で行ったところの小さな村だった。
すぐ近くには大きな森が広がっている。
馬車を降りると、村長らしきおじいさんが出迎えてくれ、依頼内容の確認を行った。
「シルバーウルフの群れの討伐依頼で合っていますか?」
「はい、シルバーウルフの群れにうちの家畜がやられてしまって、このままでは村がやっていけないのです」
「分かりました、すぐに完了しますね」
「ありがたい、シルバーウルフは危険度が高く、あまり引き受けてくれるパーティが居ないのです」
まあ確かに、ハネストから聞いた情報だったら、中途半端なパーティでは返り討ちにあってしまう。
シルバーウルフは夜間に行動する。
僕らは村長の家にお邪魔し、夜を待った。
雑談したり、ご馳走(と言っても美味しいが量は少なめだった)してもらったりしているうちに、時間は過ぎていった。
日が暮れ始め、少し肌寒い夜が訪れた。
「シルバーウルフ、出てくるかなあ」
「ヘルンは魔力を隠しているから大丈夫だと思うんだけど」
「どうだろうね」
その時、森の方から一匹の狼の遠吠えが聞こえた。
それを切り目に何匹もの遠吠えが聞こえだし、その音は徐々に近づいてきた。
「来たみたいだね」
「冒険者殿、よろしくお願い致します」
「お任せ下さい、僕ら強いので」
「さ、みんな、一仕事だ」
村長の家を出て、村の端に行くと、既にシルバーウルフの何頭かがこちらに来るのが見えた。
その数は見ている間にどんどん増えていく。
「ちょ、ちょ、多くない!?」
「私こんな群れ見たことないんだけど!」
明らかにおかしい、数十頭なんてレベルではない。
目に見えるだけでも百をゆうに超えている。
群れの集合の切れ目が見えたその時、一匹、他の個体とは比べ物にならないほど大きく、漆黒の毛を靡かせる個体が現れた。
「あれは...ブラックウルフ...」
「ハネスト、ブラックウルフってなに?」
「シルバーウルフの中で百年に一度くらいに生まれてくる、黒い毛を纏ったシルバーウルフの上位種だよ」
「大きくなるとシルバーウルフの何倍もの大きさになって、普通の群れとは比べ物にならないほどのシルバーウルフを従えて行動するの」
「多分、この森の主だね」
「なるほど」
「冒険者協会の冒険者が全員で駆り出されるようなレベルの相手だよ」
「ふむ、ちょうどいいね」
「僕は敵の大将を叩く」
「みんなはシルバーウルフたちが村に被害を出さないように牽制しておいて」
「分かったけど、大丈夫なの?」
「あんまり大技を使えば村に被害が出るし」
「かと言って基本技の強化で勝てる相手でもないよ」
「うん、まあそれは色々やってみるよ」
「村から離したり、弱点が見つかるかもしれないし」
「少なくとも僕が負けることは無い」
「心配しないで」
「分かった...」
「心配しないでハネスト、私たちのリーダーは神王なのよ」
「そうだ、あいつのことは心配するだけ無駄だ」
「言い方酷くない...?」
まあ、これくらいの緩さと信頼性を求めていたのかもしれないな。
「じゃあ、見てくるよ」
「気をつけてね!」
上へ飛び上がり周りを見渡すと、シルバーウルフたちはウォリアスの兵士たちを思い出す数だった。
ブラックウルフは群れの後ろから戦況を見ているようだ。
近づくと、突如冷たい目線でこちらを見つめ出した。
大将戦が始まることが分かったようだ。
―貴様、何者だ―
そのどこからか聞こえた低く厳かな声は、僕に語りかけるように話を続けた。
―貴様の魔力はこの中でも段違いの量と濃度だ―
―我と戦えばこの辺りは荒野と化すだろう―
信じられないが、疑う余地もない。
この声の主は、ブラックウルフなのだろう...
「あなた、魔物なのに喋れるんですね」
―魔物でも上位存在の中には人間の言葉を話すことが出来る者がいる―
「なぜ、この村を襲うのです」
「こんな小さな村を襲ってもこの量のシルバーウルフの腹を満たすことなど出来ないでしょう」
―それは少し違う―
―シルバーウルフの群れは、群れの中で栄養を共有している―
―つまり、一匹がちゃんと栄養を取れば、群れは生きていける―
―群れは皆で一つなのだー
「ではなぜ、村を襲うのですか?食料は足りるでしょう」
―栄養を共有するのだ、それなりの代償がある―
―シルバーウルフは必要な栄養分が他の魔物に比べてとてつもなく多い―
―だが、それでも今までは森の生態系でやっていけていた―
「それなら」
―森から突如として、魔物や動物が消えたのだ―
―理由は分からないが、それによって我の群れは窮地に立っている―
―我の邪魔をするのなら、群れのために貴様と戦おうではないか―
「なら、僕の仲間になればいい」
―は?―
「食料は僕が用意しますよ」
「一匹、あなたを満足させればいいだけなのなら、簡単なことです」
―だが、貴様に得がないだろう、そんな話を信じる訳にはいかない―
「僕としても、細かく動ける数の戦力が欲しかったところです」
「僕たちの願いは一致しています」
「僕はあなたと戦いたくない」
―ふむ―
「わー!可愛いねえー!よーしよしよし」
「クロは可愛いなあ」
「やめろ、あまり撫でるな主人よ」
えぇ〜なんでダメなの〜なでなでなで〜
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
ブラックウルフ率いるシルバーウルフの群れの襲撃を収めたヘルン、B級に上がることは出来るのか...
次の話もお楽しみに!
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